第44話 謎の人物
そこにいたのは俺達と同じくらいの年齢の男性だった。
こっちだというかのように手招きしている。
そして背後には得体のしれない敵がこちらを追っている。
このまま彼の手助けを受けずに逃げきれそうだが……事情を知っているのかもしれない、そう思って俺はそちらに向かう。
するとシーナたちもこちらにやってきた。と、
「む……女の子ばかりが三人に男が一人。これは……マサト同じ異世界人の匂いがする」
「! マサトをご存じなのですか?」
シーナが驚いたようにそう聞くもそこで目の前の男が指を一本口に当てる。
慌てたように自分の口をシーナが抑える。
そこで男が、俺達が来た道の方に何かを投げる。
すると薄い石のような物が道をふさぐように広がった。
ここに道がないように擬態する道具であるらしい。と、
「音は漏れやすいからしばらく静かにしてくれ。いいな」
そう言う。
だから俺達はしばらく沈黙する。
ざわざわざわ
段々に喧噪のような高い耳障りな音が聞こえてきて、それがすぐそばで大きく聞こえる。
同時に地面を進むようなそんな音が聞こえる。
気色の悪い不気味なその音を聞いてしばらくすると、やがてその音が段々にここから遠ざかっていくのが分かった。
念を押して完全に聞こえなくなるまで俺たちは待つ。
そして、
「聞こえなくなったみたいだ」
俺が呟くとそこでシーナが、明かりをともした。
するとそこで先程手招きした男が、
「ふう、どうにかなったな。ようやくここまで上がってこれたというのに変なのにまた遭遇するところだった。途中であれのせいで別の助けた冒険者とははぐれるしな」
そう愚痴る。
なんでもここの深くまで入り込んだところで、別の冒険者が先程の怪物に襲われているのを目撃して助けて一緒にだ出しようとしたものの、再びはぐれてここに来てしまったらしい。
その時隠れてやり過ごそうとこの方法を使ったら意外にうまくいったとかなんとか。
また、炎で攻撃するとそちらの方に自分から飛び込む個体もいたらしい。
「おそらくは熱源に向かう性格があるんだろうな。……炎に突っ込むあたり、その設定はまだ適当ではあるらしいが……それでもそう簡単に倒せないくらいに防御力が高いのが難点だった。はあ、まさかこんな怪物が大量に繁殖しているとはな。“トレジャーハンター”の名が廃るぜ」
などという話を聞いて俺は気づいた。
「ひょっとして貴方は、ミゲロさんですか?」
そう俺は問いかけたのだった。
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