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第40話 あり得ないわ

 とりあえず俺は、お断りをすることにした。

 確かにこのロゼッタの申し出は、俺にとって非常に都合がいい。

 こんな戦闘などもせずにいられるならそちらの方が良いけれど、


「この世界に来て初めて出会ったのがシーナで、色々と教えてもらったし……出会って短いが、いまさら捨ててはいそうですかというのもちょっと」

「あら、この私の申し出を断るの? こんな危険なことをしなくても、ベッドでごろごろしていればいいような怠惰な生活が待っているわよ?」


 ロゼッタが面白そうにそう囁いてくる。

 ベッドでごろごろ、確かに楽ではある。

 休日の朝ほど幸せな眠りをむさぼれる時間はないのを俺は知っている。


 それに、シーナに関しては城の方を奪われてどうにか逃げ出してきて、今は追っても来たりしているという危険な状況だが……。

 俺には現在、特殊能力チートがある。

 まだまだ使い方は未熟だしそこまでは分からない。


 その力を俺は過信しているかもしれない。

 勿論戦闘は怖い。

 けれど、この世界にまだまだ残るのかもしれず、もしかしたならもう元の世界には……。


 ただシーナの話を聞くとどうも普通の俺が想像している異世界転移ではなさそうだが。

 そこでロゼッタが、


「そんな危険なことをしなくてすむのよ? 私達と一緒にその剣を持ってこちら側に来れば」

「……そうだよな、シーナは追われているし……でもここで見捨てるのはその、人間として……」


 口ごもりながらそう答える。

 そこでロゼッタが不思議そうな顔をして、


「追われている? 何の話?」

「シーナの城が得体のしれない存在に乗っ取られたらしい。知らないのか?」

「し、知らないわよ。え?」

「魔王のやり口にしては変だけれど、魔王軍の一人が女中に化けて入り込んできたんだよな?」


 そう俺がシーナに聞くとシーナは頷く。

 こういった事情もあるしロゼッタ達の援助が得られたなら、と思った俺だけれどそこでロゼッタがやけに深刻そうな顔になった。


「……あり得ないわ」

「何が?」


 俺がそう問いかけると、ロゼッタは言うのを戸惑ったかのように黙って、それから、


「魔王軍がそんな動き、するとは思えないわ。だって……いえ、違う。その追手というのは、どんな存在なの?」

「なんでも、シーナの城の人達を洗脳? しているらしい。何とかシーナだけは逃げてこれたそうだ」

「そう……なの……」


 それを聞いて再びロゼッタは沈黙したのだった。


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