第38話 ある疑惑を持った
伝説の“なんちゃらカリバー”の石の部分に触るとそのような取扱説明書? のような光の板が出てきた。
そこには異世界人しか抜けないように設定されたり、その異世界人の特殊能力に影響されてこの剣は何かができるらしい。
異世界人専用の武器らしいが、ご使用上の注意には、周りの状況を確認して他の人の迷惑にならないよう……といったような、どこかにありそうなご使用上の注意が書かれている。
ただ書いてあるのは当たり前のような気もしたが、何かがおかしい気がする。
確かに周りの状態を戦闘時に見るのは当たり前だが、これは剣でありおそらくは魔物などと戦うのに使用することになるだろう。
その時の破壊は周囲に及ぶだろう。
これは本製品の免責事項という名の、使う人の責任発言も兼ねているのでは、などと俺は勘ぐった。
そこでその説明をのぞき見したらしいシーナが、
「……これ、持ち主の特殊能力によって性質が変わるみたいね。前の持ち主の特殊能力は、ものがよく切れる系の特殊能力だったのかしら? もしくは武器の性質強化?」
「かもしれない。でも俺の“効率チート”をつけて、何になるんだろうな」
「武器にそのまま特殊能力が付けられるのなら、切りつけると同時に攻撃を切った断面から破裂させられるから、強い攻撃になるのでは?」
「それはそれでありかもしれないのか。なるほど……。でも剣の扱いなんて俺、自身がないな」
「そうなの? でも正人はそう言いながら次々と県を使って敵をなぎ倒したりしていたけれど」
シーナがそう不思議そうに聞いてくるが、友人であったはずのマサトは剣道を授業でとっていたので、多少使えたのだと思う。
まさかこの世界にやってきた途端に剣の扱いが上手くなったりはしないだろう。
……しないよな? と俺は、ある疑惑を持った。
と、そこで、
「ぁああああ、セレン、貴方が道に迷うから、またシーナに負けたじゃない!」
「うう、もう無理ですよ、あの人すごく運もいいですもん、ロゼッタ様、勝てないですよぅ、というかもう一度ここを通ったら変な入口が出来ていたって、どうやって確認するのですかぁあああああ」
「く、それもそうね。まさかこんな偽装された入り口があったなんて……でも、見つけてどこまでもつてくるとは言っていないわ。だから出会った町までに……その剣を奪って走りこめば私の勝利よ!」
などとロゼッタは言い出したのだった。
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