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第36話 先入観

 えばられたものしか引き抜けない伝説の剣。

 それが大抵岩に刺さっているものだ、という先入観が俺にはあった。

 だがそれはシーナにはよく分からないらしい。


「相変わらず異世界人は変なことを言い出すわね。さてと、岩から剣を回収しましょうか」

「……ソウデスネ。でも、なんでも切れるような剣なんじゃなかったのか?」

「そういえばそんな話をしていたわね。でも話を盛っているだけじゃないかしら。この岩に突き刺さって入るし」


 そう言ってシーナが指さした剣は岩に突き刺さっていて切れる様子がない。

 だから噂に尾ひれどころか足まで生えてきたのでは、といった冗談を言いながらシーナがまず様子を確認する。


「魔法の気配はないわね。それも防御するようなものは何一つない……引き抜ければいいって事かしら」


 シーナが恐る恐る手を伸ばして剣の柄に手を触れて引くも、


「まるで溶けた石と一体化しているように感じるわ。何なのかしら、これ」

「そうなのか? というかこの石は何なんだ? そんな切れ味のいい剣を受け止めるようなそんな石なのか?」


 俺がそう言うとシーナが黙って石を詳しく見るようにしゃがみ込む。

 それから手で軽く触ってから何かをして……驚いた顔をする。


「“ゴレア石”。まさかと思って魔法を使ってみたけれど、魔法吸収もするし受け流すし、しかも非常に硬くてよっぽど強い力で調整しないと加工ができない石……そんなものに突き刺さっているなんて」

「剣ごと魔法で吹き飛ばすのか?」

「そんな事をすれば剣が壊れてしまうかもしれない。いったいどうやってこれを引き抜けというの? というかどうやってこんな石に突き刺したのかしら」


 シーナが悩み始めるが、現状では、


「引っ張って抜くしかないのか?」

「……それ以外に何か方法があるのかしら。伝わっている口伝の何かがあったりするのかな」


 そうシーナが剣を見ながら呻いてすぐに何かを思いついたらしく俺を見た。


「案外異世界人が引っ張ると抜けるんじゃない? 異世界人は色々と“変”だし」

「そんな無茶な」

「それに男の人の方が力はあるでしょう? だったらアキラにお任せすべきよね」

「……シーナもなかなかの腕っぷしだと思います」

「ほう」


 そこで怒ったようにそう呟くのが聞こえたので、俺は慌てて剣の柄に手を伸ばす。

 そんな異世界人だからという理由で抜けてたまるか、と俺は思ったのだがそこで、


『トクシュノウリョクヲ、カクニンシマシタ』


 そんな声が聞こえたのだった。



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