第34話 目的の場所
魔石などを拾って俺達はさらに進む。
魔石に関してはそのうち加工をしてみるのもいいだろうとのことだった。
そう話を聞きながら俺達は歩いていく。
そこで俺は気づいた。
「あのロゼッタ達は全然こちらの方に来ていないな」
「見当違いの所を探しているのでは? その方が私達にとっては好都合よ」
「そうだな。実は後ろをつけてきていて、俺達が手に入れた所を奪おうと考えているとか?」
「まさか、そんな事なんて……事なんて、ありうるわね。ロゼッタなら」
「そうなのか?」
「勝つためなら手段を選ばない所があるから。そのあたりも注意していきましょう」
そういった話をして俺は再び明かりを生み出して投げる。
先の方まで見えてそこを歩いていくが……俺はそこで立ち止まった。
地図が見えていたから立ち止まったと言っていい。
この立体の地図、ちょっとした隙間から中の様相を確認しているらしい。
だからよく見ると薄い壁のようなものがここにあらわされているのが分かる。
つまり入り口が壁で隠されているのだ。
とりあえず壁面を俺は軽くたたいてみる。
こんこん
中に反響するような音が聞こえる。
同時に壁にひびが入った。
「ま、待て、俺、そんな強い力でたたいていないぞ」
「そうなの? 私も叩いてみるわ」
そう言ってシーナがたたくけれど、特にそれ以上の変化はない。
俺の額に汗が浮かぶ。
「まさか身体能力も強化されているとか?」
「ありうるわね。そして最適な形で力が加えられているからこうなると。“効率チート”はある程度無意識のうちに発動しているのかしら」
などと言われてしまった。
それはそれでどうなんだと思いつつも、そこでそばにあった石を壁にあててみる。
特に何ともないく壁に跳ね返される。
やはり発動条件が分からないなと思いながら、もう一度壁を軽くたたく。
今度はそれほど影響はなくひびも入らない。
次に多少痛いのは覚悟して強く壁をたたくと、
ビシッ
その大きな音と共に、壁が崩れて小さな小石になる。
それを見て俺は、
「痛いのは嫌だから勝手に発動するのか?」
「自己防衛の極みね。それでこの中にその伝説の剣があるのかしら」
「おそらくは。暗くてよく見えないから明かりを……っと」
そこで俺は明かりを中に向かって投げつける。
そこは、そこそこ広い部屋のようだった。
では伝説の剣はどこだろう、そう思って俺は一歩中に入り込んだのだった。
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