第31話 ダンジョンに入り込む
シーナがダンジョンといった場所。
そこは崖の一角にある大きな洞窟だった。だが、
「明かりが灯っているような?」
俺はそれを見てそう呟いた。
一定間隔に洞窟に明かりがつけられている。
それこそ、坑道か何かのように。
不思議な光景に俺が呟くとシーナが、
「当然だわ、今でこそ冒険者しか立ち入りが禁止されていたけれど、普段は普通の人もここに来るのだもの。ここの毒草は少量なら風邪薬に使われている物もあるし、個々の洞窟内でちょっとしたものを一般人が手に入れたりもしていたのよ。……どういった事情があるのかは分からないけれど魔物が増えたらしいけれど」
「そうなのか。という事は普段は魔物はここにあまりいないのか?」
「町の近くだしね。冒険者だけでなく冒険者のような一般人や武器を持った一般人も来るし、危険な魔物が出たとなると討伐体も出る程度に動きもあるし、浅いほうのダンジョンに物を採りに行ったりもする一般人もいるから、そこまでなら明かりも灯っているでしょうね」
そうやら日常で使っている部分は、整備されているらしい。
だが今回の俺たちが取りに来たのは、伝説の剣。
それが日常的に知られている場所にあるのだろうか?
「シーナ、その伝説の剣とやらはここでは有名で場所までは分かつているのか?」
「あるって噂があるくらいだと思う。そうでなければ“観光地”にされているか、すでにその剣は回収されているんじゃないかしら。強そうな武器だし」
「そうか。それにそのマサトについて知っていそうな人も探しているようだったしまだ見つかっていないと考えていいか」
「そうね。そして剣を見つけてロゼッタを仲間にしてからその、マサトのヒントを探さないと。それで地図はどんな感じ?」
「ここのあたりだと思う」
「あと五層は下がらないといけなそうね。もしかしたら明かりが途切れるかもしれないわね」
「明かりを生み出す魔法はあるのか?」
「あるわよ。ただ魔物が更に多くなるかもしれないけれど」
「これまで覚えた魔法も含めて頑張ろう」
そう俺は答えてさらに進んでいく。
大体三層くらい下がった所で明かりが途切れる。
そこでシーナが、カンテラを取り出してそこに明かりをともす。
真っ暗闇で時々何かが動く音がするあたりが、結構怖い。
そうやって俺たちは、魔物と戦闘しながらも更にダンジョンの奥深くに潜っていったのだった。