第28話 森にやってきた
やってきた“東の森”の前では、門番のような人が立っていた。
朝早くからやってくる冒険者はそれほど多くないようで空いているせいか、あくびをしている。
そんな彼の前に俺たちは向い、
「これがギルドカードです。中に入ってもかまいませんか?」
「どうぞ」
といったような会話がなされて俺たちは簡単になかには入れた。
これで第一関門は突破だ、と俺が思って周りを見渡す。
町から出て、木々が茂る森の中の道をこれまで歩いてきた。
すでに“東の森”に入っているのでは、という気がしていたがどうやらそういうわけではなかったらしいと気付く。
「ここ周辺の森は、全体に紫がかっているけれど、その分有毒な植物が多いの。とはいえそれらも、使い方次第で有用な魔法薬になるのだけれどね」
「そうなのか……燃やしたりすると有毒な煙が発生したりしないのか?」
「そういうものもあるけれど、ちょっとした炎の攻撃は跳ね返してくるわよ。ここの植物は“根性”があるから」
とのことだった。
植物に“根性”があるのか、異世界は凄いことになっているなと思いながら森の中に俺たちは入り込む。
そしてしばらく歩いてある場所でシーナは立ち止まった。
「とりあえず、先に剣だけ回収して、ロゼッタたちを仲間にしましょう。人出が多い方が良いし、あの子は中々強いもの」
「そうなのか? ライバルみたいだがあのロゼッタとシーナとはどういう仲なんだ?」
「たしか、豪商の娘だったはず。ロゼッタは自分で言っていたわ。ちなみに私はとある貴族の令嬢って話になっていたから、話は合わせておいてね」
「分かった。でもそうなると何処で会ったんだ? 城ではないんだろう?」
「ええ、城を抜け出して街に出ていた時に遭遇して、後は魔物を倒していたりしたときに遭遇して顔見知りになりライバル化して……という感じかしら」
「そうなのか……でもシーナがずっと勝っているんだろう?」
「実力を隠しているから負けるのよ。しかも私にはいまだに隠せていると思っている」
そう笑うシーナに、シーナの方が一枚上手だなと思いつつ、それでも勝利し続けているのならシーナの勝ちと言えるんじゃないか、シーナも本気を出していなそうだしとも俺は思った。と、
「さて、ここなら周りに人はいないから、まずは……“異世界人”の作ったものだからそれを探すようにして、剣のありかを見つけてもらえる? アキラ」
シーナの言葉に俺は頷いたのだった。