第135話(エピローグ)
どう考えても説明不足だろう! と劇場にかられながら、そこで俺は目を覚ました。
と、そこには心配そうなシーナの顔が見えた。
他にもロゼッタとセレンが俺を心配そうに少し離れて俺を見ている。
そして、戦闘時にいた所に似た天井が見える。
細かな端の方の装飾や模様が良く似ている。
ぼんやりとそんなことを考えながら俺は、
「……ここは」
「! アキラ、起きたわ」
そうシーナが叫ぶと、俺の周りにマサト達も集まってきた。
そして俺が倒れた後のことを話として聞く。
ここにいる全員でエリス共和国や魔族の国などにも、事の次第を説明することになったらしい。
大変な目にあってからすぐだが、話を通しておいた方がいいという判断らしい。
また、情報の共有も兼ねるのだそうだ。
あの敵の人物のこれまでの動きからどういう人物だったのかも探るらしい。
もっとも、俺が目を覚めてからの予定だったそうだが。
ちなみに俺の体調を見て俺はここに置いておくかどうするか決めるらしい。
他には町の被害はそれほどなかった、といった話を聞いて俺は安堵する。
あまりこの世界に来て日がたっていないが、大変なことになっていなくてよかったように思う。
また、今回倒したあの人物のこれまでの……歩んできた道を調べるそうだ。
彼が一体どうしてこのような凶行に及んだのか、見極める必要があるとのことだった。
そういった話をしつつ、ようやくこの世界で友人のマサトと再会して話したりしたはいいのだが、
「まさかアキラまで来るとはな。あと、敵に操られていたらしい異世界人の女の子、ミコだったか? アキラの知り合いらしいんだが」
とマサトに言われた。
後に再会すると、同い年になった頃の近所の女の子だったことが判明。
なんで俺の周りにいるような人たちが、こんなに俺の周りにいるんだろうという気がした。
そしてまだしばらくこの世界にいることになったらしいとシーナに告げると、
「どうしてわかったの?」
「聞いた」
と言って夢の話の一部を話すと、シーナが嬉しそうに笑った。
この世界に来て大変な事ばかりだったから、この世界がもっと楽しくて魅力的な場所であると知って欲しいとシーナは言っている。
だが、ふとシーナが楽しい事って何だろうと俺は思って、そういえばこのロゼッタと競争して冒険をしているような話をしていたと俺は思い出して……もしかしたなら、これまでと変わらないのではという気がした。
俺は普通がいい。
そう心の中で俺は思う。
また、一番初めにたどり着いたあの町のミゲロには無事、マサト達と合流できた話をしないといけないと俺は思う。
それも兼ねて、あの町でミゲロに一度挨拶をしようといった話にもなる。
そんな風にほのぼのしていた所で事件が起こった。
なんとマサトの周りにいる女の子たちがマサトの取り合いを始めたのである。
正確には抱き付き合いだが、これがハーレム主人公かと羨ましく俺が見ていると、シーナが俺の片腕に抱き着くように絡んでくる。
そしてロゼッタはもう片腕に抱き着くようにして、セレンが、私は後ろから、と抱き着いてきた。
何が起こったと俺が思っていると、
「羨ましそうにみているからよ。嬉しい?」
「それはまあ」
「ふふ♪」
何故かシーナがすごくうれしそうで、これはどうなんだろうと思っていると、
「負けませんわ」
「私もです」
とロゼッタとセレンが言って……これはどんな状況だと思う。
別な意味で嬉しいが大変なことになりそうなこの状況を俺は、思考停止で逃げた。
人間に備わっている素晴らしい機能の一つに、問題について考えないようにするというものがある。
何も解決しないが、少なくとも今は……少し俺だっていい思いをしてもいいだろうと思うのだ。
ちなみにこの後、俺は大変な目にあったが、それは別の話である。
こうして異世界に飛ばされた俺が巻き込まれたとある事件は、ようやく終わりを告げたのだった。
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