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第133話(特殊能力者)

 魔力の中に“情報”を“保存”する、それが昔のこの世界の人たちであったらしい。

 そして俺は黙って聞いていると、


『そうして、肉体という不完全なものを捨てて、魔力そのものとなり一つになれば、この世界の人類が直面した人類同士も含めたあらゆる災厄はこれで解決した……かに見えたのだけれど、そんなわけはなかった』

「? なにがあったのですか?」

『そうだね。例えば君の周りに好ましくない人物がいたとしよう。それと一体化したいと思う? 変な人がいたら、君だって逃げるだろう? そういったことが起こって……なんというか……結局の所、どれだけ時間が経過したり進歩しても、人間は“自分”を捨てられなかったんだ。それで、一つになったものが分裂したというわけ』


 そこで一度言葉を切った声の主。

 そして俺は俺なりに今話した内容について考える。

 例えるならば、某巨大掲示板について考えればいいだろうか?


 匿名性のある中で、“俺ら”といった集合体になって年齢性別のすべての垣根を取り払った形で会話をしているが……たまに現れるおかしな人物に関しては沈黙し関わらないようにしたり、こういった人物とは違うのだと主張するように、結局の所、自分は自分以外の何物でもなく、他の誰にもなれないし、なるつもりもない唯一の存在なのだ。

 だから、一つになろうとしても無理なのだ。

 共感して繋がる事は出来るかもしれないが、それ以上にはなれない。


 そういう事なのだろうと俺は思っているとそこで、


『でも分裂時には肉体何て不要と言ってそういったものは全て捨ててしまっていたため、“魔力”で肉体を作り始めた。それに長い時間がかかって、その間に過去の文明の記憶やらなにやら……そういったものを保持するだけの魔力の余裕がなくなって消えてしまったんだ。文明崩壊だね。そしてまた再び進歩を繰り返して今に至る。魔力に“記憶”を保存するようになったためか、魔法は使いやすくなったかな。でも、特殊能力チートといった物は、魔力になったがために、大昔に比べ使える者がほぼいなくなってしまった』

「どうして特殊能力者がいなくなったのですか?」

『それは、この世界の人たちが肉体を捨てたからだよ』


 そう俺に声の主は返してきたのだった。

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