第131話(ドラゴン)
現れたドラゴンという巨大生物。
皮膚はオレンジ色で、蛇のような光沢感が表面にある。
うろこのようなものも幾つか見える。
どこからどう見ても凶悪な敵だ。
最後にこれを残していったのはどうだろうと思いつつも周りの様子を見る。
あの敵以外は全員無事だったのは、運が良かったのか。
だが今度はあちらの敵を倒さないといけない……そう思っているとそこで、俺の足に力が入らなくなる。
「アキラ!」
シーナの俺を呼ぶ声が聞こえた。
そして腕を掴まれる。
「大丈夫? さすがに魔力を使いすぎた?」
「そうなのか? だが目の前のあいつは倒さないといけない」
そう俺が返すとシーナが少し黙ってから、
「これまで集めた全部の魔石を、今、アキラに渡すからそれを使って」
「え?」
「アキラの特殊能力とその剣で、一番うまくそれを使えるはず。……魔力を使いすぎると、私達は消えてしまう。アキラがそうなるかは分からないけれど……そうなって欲しくないから、渡す」
シーナが俺に、そういって魔石の塊を渡してくる。と、
「では私もお渡ししますわ。……どのみちこれで勝てなければ私達が終わり。一番強力な魔法を頼みますわ」
「強力な魔法……ロゼッタの魔導書のあれか?」
「それが一番強力だと思うのなら、それで」
ロゼッタが自慢げにそう答えるのが聞こえた。
実際にあの魔法が一番効果がありそうな気がする。
そこでドラゴンが上を向く。
そのまま炎を吹き出す。
マサトが俺に、
「とりあえずは意識がこちらに来ないようにしておく。その間にけりをつけてくれ。……ずいぶん使ったせいか、俺もあまり余力がない」
「わかった。……俺だけでどうなるか分からないから……俺の攻撃に合わせて、全員で総攻撃でいいか」
それに頷くのを聞きながら魔石を手に持ち俺は、剣を通して攻撃の魔法を行おうと、“意志”を持って俺は、その魔法を……できるだけ沢山発動させよう、そう思いながらつぶやいた。
「“紡がれる鎖の監獄”」
これが俺のすべてだ、そう思う。
目の前に光の魔法陣がいくつも現れていく。
10、20……そのドラゴンの前に次々と描かれていくそれ。
その魔法人が強く輝き、次の瞬間ドラゴンへと攻撃する。
周りの全員が絶句しながらも魔法攻撃をしているのを見ながら、光の鎖がそのドラゴンに向かっていき……最後に俺が感じたのは、風船があれるような大きな音とそして、そのまま宙に浮いてしまいそうな体の軽くなるような浮遊感だったのだった。
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