第129話(不気味な予測)
取りこぼした四角い怪物は、それほど多くはない。
だからそれらはロゼッタたちにお願いすることにして俺は、攻撃してくる集団に向かって、特殊能力と剣の力で増幅した魔法で大まかに消し去る。
取りこぼしに敵が、俺に向かって襲うよう指示を出しているようだが、奇妙な方向にどれも飛んでいく。
マサトの特殊能力の影響だろう。
敵の攻撃は当たらず、こちらの攻撃は最大の効力で当たる。
「……俺の特殊能力とマサトの特殊能力があれば、敵はいないんじゃないのか?」
「確かに。こいつを倒してから、どこかに一緒に冒険にでも行かないか?」
「それは楽しそうだ」
と、倒した後の予定を話す。
敵にとっては不愉快なものであったらしく、その怪物をさらに倍増させてこちらに襲わせてくるも……その方が俺にとっては手間が省けただけに過ぎなかった。
やがて、唐突に四角い怪物が姿をあらわさなくなる。
少し待ってみたが音すらしない。
これは……と俺が思っていると、
「ば、馬鹿な……一万体だぞ? あの魔族たちに千体程度であれほどのだめーぃを与えられたというのに……それが、たかだか異世界人が二人程度とこの世界の人間数名で、すべてを倒しきるだと!?」
「……つまりこれであの四角い怪物は全部倒せたという事か」
「……まだだ、先ほど呼び寄せた魔物たちがこちらに到着するはずだ。それもあってあの町に集めておいたからな」
そういいだした敵に対してマサトが声をかけた。
「その魔物を呼び寄せる装置は幾つか破壊しておいたから、そんなにたくさん呼べないと思うぞ」
「愚かだな。ああいった雑魚だけではなくもう一体、お前たちがそう簡単に倒せに魔物も一つ、呼んでおいた。もしものためとそして……この国にまでわざわざ来てくれた魔族の軍隊にプレゼントするためにな」
「何を呼んだ」
「さあ、きてのお楽しみだ」
若干取り乱したかのような敵は、マサトにそういって笑う。
そこで今さらながら、気になったことを聞いてみる。
「そういえば聞いていなかった、お前の名前は何だ?」
「名前? そんなもの……アドリアンベレブレーズカジミールディディエエタンフロランゴーチェ……」
そう延々と“当たり前のように”幾人もの名前を語る“敵”。
俺はそこで、不気味な予測をしてしまう。
そう、他人を操るこの男はすでに……自分と他人の区別が、つかなくなっているのではないかと。
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