表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

118/135

第118話(人払い)

 そこから先は徒歩での移動となった。

 その城の周辺はすでに人がいない。

 時間から考えると、避難させられたのだろう。


 誰がさせたのか。

 気になったので俺が聞く。


「シーナ、ここ周辺の人たちは誰が避難させたんだ?」

「さあ。ロゼッタたちが避難はさせたりする?」


 シーナがロゼッタに聞くが、そんな余裕がうちの軍にあるとは思えないと返される。

 それだけあの敵を、ロゼッタたちは警戒しているらしかった。

 また、ロゼッタの話を聞いたシーナが少し黙ってから、


「そうなるとあれね。マサトがいつものあれをやったんでしょう」

「いつものあれ?」


 俺はそう聞き返すと、シーナが楽しそうに笑う。


「人払いをするときにやる方法よ。怖い怪物……“なまはげ”の巨大なものの幻影を見せて、脅かして周辺から人をいなくならせるの」

「……あいつ、そんなことをしていたのか。でも結果としてそうすれば人払いができるな。そうすればちょっと強めの魔法も使えるし」

「でも修繕費もばかにならないからほどほどにしてね」


 そうシーナが俺に言うも、そこで、


ゴウウウン


 何か爆発が起きたらしく、轟音と黒い煙が上がり、シーナの城の尖塔の一つが崩れ落ちていくのが見える。

 そして崩れ落ちたそれは、城の中庭らしき場所に落ちたようだ。

 内部で魔法の尖塔が行われている? そう俺が思っているとそこでシーナが、


「行くわよ! ……最近緊縮財政なのに、何て事をしてくれるのよ!」


 そう涙目で叫ぶのを俺は目撃したのだった。







 城の中では何人もの人が倒れていた。

 すでに襲われていたがために倒されたらしい箱形の魔物の残骸も転がっている。

 これらは全部マサト達がしたことなのだろう。


 これで弱いってどういう事なんだろうなと俺は思いつつすぐに、“相性”の問題なのだろうと思う。

 この敵にはきっと、マサトの力とは“相性”がいい。

 そう思っていると上の方から大きな声が聞こえてきた。


『まあいいじゃないか。ここで……今度こそ、死にゆく君たちにこの私がどうしてこのような状況を作り出してしまったのか、教えてあげよう』


 知らない人物の声ではあるはずだが、この声は、あの人形が発していたものにとてもよく似ている。

 そう、敵が直々に動かしていたあの人形だ。

 だから本人の肉声かもしれないと思いつつ、


「どうして俺達に聞こえるように実況中継しているんだ?」

「承認欲求では?」


 言い切ったシーナに俺は、何か引っかかりを覚えたのだった。



評価、ブックマークありがとうございます。評価、ブックマークは作者のやる気につながっております。気に入りましたら、よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ