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第117話(仕込み)

 すでに集まりつつある魔族の軍勢。

 その正面の一角に指揮官らしき人物がいる。

 ロゼッタはその人物に向かって馬車で走るようお願いする。


 馬車の中ではセレンが涙目で、


「ロ、ロゼッタ様、いったい何をなさる気なのですか!?」

「介入はあまりよろしくない行動なの。だから、猶予期間を少し伸ばしてもらうのよ」

「だ、だからいったい何を……」


 セレンがさらに焦っているとそこで、指揮官のそばに馬車が来ると“走ったまま”扉を開けてロゼッタが身を乗り出して、


「お久しぶりね、レジェン」

「! ロゼッタ姫様、どうしてこのような場所に!」

「この国のお姫様のシーナと組んで、あいつを追っているのよ。あの操り人をね」

「! なんという危険なことを! 今すぐ戻られ……」

「残念だけれどこれから、私達で彼らを倒すから、貴方たちはここで待機していて。そして、本国への連絡はよろしくね」

「姫様!」


 そう指揮官らしき人が悲鳴じみた声を上げる。

 よく見ると顔が蒼白で、魔族の兵の人たちも口を開けてあっけにとられてこちらを見ている。

 そしてロゼッタはやり切ったような表情でドアを閉めて、座る。


「ふう、これで良しと」

「よしじゃないです、どうするんですかロゼッタ様ぁあああ」

「セレン、貴方も一緒に頑張るのよ。それにこれで一時間程度猶予はできたわ。確実に」

「う、うう……」

「それにそこに異世界人のアキラもいるし、彼の能力をさらにまじかで見れる機会だわ。その様子を見て、どう私達の国に来てもらえるか考えましょう」


 などと言い出してシーナが、


「いい加減諦めなさいよ」

「でもこんな優良物件はそうそうないもの」


 そう言って笑うロゼッタ。

 そんなすぐそばでセレンがうつむいているので俺は気やすめだが、


「俺の能力もあるし、シーナたちだって強いからそこまで心配しなくても大丈夫だよ、きと」

「……はい」


 そうセレンは小さく呟いて俺の方をちらりと見ながら頬を染めた。

 何かが変な気がしたが、多分気のせいだろうと俺は考えた。

 そして、ロゼッタとシーナが言い合いをしている所で御者の人が、


「あそこにマサト様達を運んだん馬車がありますね。どうしますか」

「ではここまででいいわ。……魔法戦になると周りの被害も大変な事になるから、ここで……待っていなくていいわ。マサトを送ってきた馬車と一緒にエリス共和国に戻っていいわ。後でうまくいったらこちらから連絡します。……お礼も兼ねて」


 そうシーナが言ったのだった。


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