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第104話(会話)

 最初の目的はこの城の人を操っている“操作の樹”を真っ先に叩き潰すことにした。

 そこでシーナが、


「“操作の樹”で操られた人が、マサトを拘束しているかもしれないしね。……そう簡単に殺されていないといいけれど」


 深刻そうにそう呟く。

 力目当てというだけではなく、相手を気遣うような……マサトのみの安否を気遣うようなものが表情から感じ取れる。

 だから俺はとりあえず小さく相槌を打ち、


「……そうだな」

「あ、ごめんなさい。マサトは貴方の友人でもあったわね。そういえばどんな友人だったの?」

「普通の友人かな。本の貸し借りをしたりバカな話をしたりそんな普通の友人の一人だった」

「そう、仲がよさそうね……捕まっているか、すでにここを離れていたならいいのだけれど」


 シーナがそう小さく呟いて、俺も頷いた。

 力を借りたいというだけでないものを感じた。

 そこでロゼッタが、


「セレン、ここから何階まで登らないといけない、といったことは分かります?」

「いいえ。ただまだ上の方から聞こえるとしか。ここはあそこの村のように開けた場所ではないので、反響もしてしまっているようですから」

「そう……でも、こうやって音を使って人を操るといったなら、私たち魔族用のものも今後作られるかもしれない。それは考えておかないと」

「でも触れられなければ大丈夫なのでは?」

「そうだけれど、シーナの城の惨状を見る限り……入り込もうと思えば入り込めるでしょうね」

「……」

「それに他人と接触しないようにといっても、町を歩いていればだれかとぶつかることもあるでしょう?」


 そうロゼッタがセレンを諭すのを聞きながら俺は、


「そういえばここに来る途中も、人が多いから人に俺はぶつかったな。手の部分だけだが……」


 ふと思い出して、妙に印象に残っているなと思いながら俺は口にしただけだったがそこでロゼッタがあきれたように、


「あなたの場合は特殊能力チート込みで、冗談では済まなくなるから気を付けて。もういっそ私達三人で囲みながら移動する?」

「……いえ、そこまで気をつけたほうがいいのか?」

「そうよ」


 ロゼッタがそう返してきて、シーナも気を付けて、という。

 だから俺ももう少し周りを気を付けないとなと今更ながらに思う。

 そうして階段を上っていく俺たち。


 ここまではあの箱の怪物にも人にも会わなかったけれど、その上の階は違ったのだった。

 



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