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第103話(二つの音)

 相変わらず耳障りな音がする。

 この怪物の集団も、形はこんな立方体ではあるが、黒いという点で共通しているのがあの黒いアイツ……そう、G(仮称)である。

 そしてそれが集団でこちらに来るのである。


 もっともこれらは、あのG(仮称)と違って“空は飛ばない”。

 時々空を飛ばれたあの瞬間の悪夢を思い出せばこの程度造作もない、と俺は自分に言い聞かす。

 そこで視界の端にセレンがぐったりしたような顔で走っているのが目に映る。


 確か、洞窟にいた時はこんな表情はしていなかった。

 だから俺は、


「セレン、洞窟の時のあの黒い物体たちの音の時はそんな顔はしていなかったな?」

「……はい。あの音もざわざわして気持ちが悪いのですが、今はそれと一緒に、あの村で聞いたような、ねちょねちょした粘着質な音が、反響したりして混ざっていて……体の力が抜けますぅ」

「そうなると、このセレンに聞こえる音は、“人間専用”ということか。そして、だから人間の耳には聞こえないと? ありえそうだな」


 そう推論を述べた所で、目の前にまで来た黒い箱。

 この前の洞窟で出会った集団よりも数は半分程度だ。

 少なければ少ない方がいい。


 そう思いながら俺は剣を奮う。

 同時にロゼッタやシーナたちも魔法攻撃を行い……周りにそれほど被害は出ずに、それらを倒すことができた。

 ただその時近くの壺が、小さく音を立てたような気がしたが、俺は気づかなかったことにしたが。


 そして更にざわざわいうような音は聞こえなくなった。

 どうやら上手くいったようだ。

 当面の危機は去ったからいいがと俺は思いながら、


「それでこれからどうする? 音のする方に移動すればいいが……シーナはこの城について知っているか?」

「一応は以前招待されたことがあるけれど、そこまで詳しくは覚えていない。でも、途中にいくつか階段があってその場所はうろ覚えだけれど覚えているわ」

「なるほど。セレン、音はどこから聞こえてくる?」


 そこで音の聞こえる方を聞くと上の方だと答える。

 だから俺たちは階段で上の階を目指すことにする。

 そうして移動する間に俺は、


「さっきの話の続きだが、人間にしか聞こえない音を出しているのなら、ここの城の人たちは全員操られているとみていいか?」

「……そうね」

「事情を聴くならまず、あの“操作の樹”を破壊するのを一番の目的にした方がよさそうか」


 そう話したのだった。



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