二人の夜。
舞華と青のR12くらいですかね。
熱い、喉が渇く。瞬間、喉に水が流れる。唇に何かが触れていた。
温かくてなまめかしい、それは女の唇だった。たどたどしい様子から、慣れてないのをぼんやり感じながら、どこかで味わったことのある甘い飴の匂いが微かにした。
「ようやく起きた?」
気が付けば、唇は離れ、ぼんやりと目の前を見ると、黒髪を三つ編みに沢山縛ったロングヘアーの女性が居た。頭の中が起きたばかりで整理整頓出来なくて、
「…ここは?」
「ここは、アスガバラにある私の避暑地の別荘よ」
よく見ると近くには綺麗な調度品が並べられ、天蓋つきの白いレースのベットに横たわってるのが分かった。分厚い毛布は冷えた体を温め、この女性が掛けてくれたものだと分かると不思議と安堵した。部屋は広く豪華なシャンデリアがベッドの端の方から良く見える。アスガバラは定期的に季節が人間界のようにランダムで表れる土地で魔界の端の方へ位置する。気が付けば、ずきりと腹の部分が鈍く痛んだ。
「貴方をよろしくって、黒いマントの背の高い上品な男が私に貴方を託してどこかへ行ったわ」
契約したばかりなのに、自由気ままなものだ、とため息をつく。どうせどこかで見ていて、後でおちょくる気なんだろう。女から話を聞くと、分かれ道で別れた時には負傷しており、ウインク交じりで、スワロウが俺をよろしくと去って行ってしまったらしい。
と、後で合流すればいいのでそんな話はどうでもいいのだが、何だか目の前の女はのしっと上に乗ってきた。
「-重い」
「何ですってぇえ!私の名前は重いじゃないわよ!前に教えたでしょう!?」
相変わらず姦しい。勿論覚えているのだが、何だか素直に答えるのも癪で、つい意地悪したくなった。
「…キスしてくれたら思い出すかもしれないな」
何てとニヤッと笑って、真っ赤になる舞華を見ていた。喉をごくりと鳴らし、何かの覚悟を決めたようにまっすぐ目で射抜く。
「…何でも言う事を聞くって言ったわよね?」
「-ああ」
「私の物になりなさい」
急に顔が近づいて、バードキスを繰り返した後、深いキスを何度も繰り返す。そのうちに徐々に煽られ、気が付いたら二人でキスだけじゃ済まなくなっていた。甘い飴の味は徐々に強く、甘美な誘惑へと変化していく。
どこかでスワロウに伝わってしまっても、目の前の女を理屈じゃなく、本能が逃がしたくないと強くきつく抱きしめた。不意に見せる笑顔が、可愛いと何だか分からない胸の奥が自然と疼いた。
「舞華」
「何よ」
「俺の事が好きか?」
「…好きじゃない」
そんな会話を何度も繰り返しているうちに、好きだと言ってほしくなるのはまた次の話。
舞華との夜はまだまだ続きます。