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初恋。

青のこの話はHP上に載せてませんでしたね。

青のコイバナです。+改稿しました。

魔法が指先を駆け巡りくすぐったいような感覚に見舞われる。


光の羅列が見たこともない文字となり、柔らかな赤い灯が自分を包みこんだ。


赤い灯が、ゆらゆらと、幻想のような淡く儚いー…


そしてそれらが炎の礫になり、ごぉっと音を伴い反射するように燃え上がる。


「魔法が使えた…!」


自身でもびっくりするくらいそれは俺にとって「奇跡」に近しかった。


自分でも魔法が使えない厄介者だと思ってたのだが、くらくらするような眩暈を感じるとともに生み出されたそれは。


正真正銘「初めての魔法」だった。


文字は古代文字、幻の初期魔法、それは今は亡き古代魔法であり、


何人もいや何百人、何千人が欲しくて止まない渇望の芽吹き。


それを何歳で彼の物とするには惜しいくらいのー財産であり、危険なギャンブルのような危うさ、手にしてはいけなかったのか、手にして良かったのか、それは彼も誰も知らない。知ってるのはあの方だけー…あの方は口を歪めて笑うだろうか。


もう二度と会えない時の人。


貴方が愛しい。


名すら知らぬ忘却の中、


貴方の名前はー?


そう聞いた幼い頃。


何度も会いたいと焦がれても、

何度も声を聴きたいと乞うても、


もう二度と会えない、


そんな切なさの中目が覚める。


「…何で今更こんな夢を…」


その答えは。


「…後悔はしていない」


じわりと暖かくて、

心の中が鈴のように軽やかに鳴る。

その心音を聴きながら、


もう会えない貴方を想う。


幼い頃の、


初恋の切なさともどかしさを。




昔の俺は、魔法が使えなくて、学校に行くにしろ何にしろ馬鹿にされたし虐められた。

それだけではなく、ただでさえ自分でももいでしまいたいほどに羽根の色の違いがもどかしかった。

黒かったり白かったり、みんなどちらかの色に染まっているクラスは好奇の目で俺を見た。たまに敬語になったり荒れていたりする言葉遣いも悪かったのだと思う。貴族カブレ気どり、とくすくすとご近所の噂になり、唯一仲の良かった紅だけが傍にいた。


「お兄ちゃんは悪くないもの!気にしなくていいのよ!!」


少し気の強い紅はクラスに馴染んでも、俺は馴染めない。学校へたまに行くのを辞めて、陰で魔法の練習をしていた。クラス中が使える魔法を、何故自分だけ使えないのか、それが苛むほどにじれったい。


光がふよふよと蛍のように舞うことはあるのだが、なまじ形にならない。


そんな中、学校の倉庫に閉じ込められてしまう。自分が掃除当番だったと思い慌てていくと、

またいつもの苛めが始まり、鍵を閉められてしまう。誰も助けてくれない、と悲しくなって泣こうか悩んで、涙を堪えて、


「誰か…!」


声が弱弱しく枯れるほどに叫んでも誰も来ない。徐々に体が震え、情けないことに鍵をいじるあまり壊してしまい絶望に嘆く。倉庫の小さな窓を割ろうと何度もレンガを積み重ね、上に登っては落ちる。高い位置にある窓からの光は、徐々に弱まり暗闇へと染まって真っ暗になった。


ガタガタ体を震わせ、何だかお腹も空いてきた。


耳元から「私を呼びなさい」そんな声が聞こえてきたような気がしてはっと「  」とその時何故か、何度この時の事を思い出しても何を呼んだか分からない怪奇な現象を身に起こす。


「  !!」


その言葉は、もう誰も耳にも口にもしない、合図のような魔法の言葉。


人生初めてその時共鳴するような感覚を覚える。


キィィンと目の前が開け、ぐにゃりと形を変えていく世界。


くらりと全身に力が入らない。


目を開ければ、


そこには見たこともない森林と泉があり、光が世界中に溢れていた。


神々しいと称するに値するほどに現実味がない世界。


ぐしゃと、木の破片を踏むと自然と光の強いほうへ歩いた。


歩いて歩いて、自分自身怖いのか問いかけていた。


答えは決まっていて、寧ろワクワクするような高揚する気分に侵される。


そこには背の高い妙齢、性別不明な何とも形容しがたい緑の長い髪をした背の高い人物がいた。

グラデーションが綺麗な布地を纏う姿に胸がどきどきした。


「何じゃ、愚者よ。私の住まうところに来るとは、どんな実力者か幸運の末にただたどり着いた者かと思えば軟弱ものじゃないか」

「軟弱者とは失礼な。」


胸が熱くて、顔が赤くなる。単純にとても美しいと世辞じゃなく、心から思う。

何だろうこの気持ちはー…目が離せず、心がとてもウキウキしている。

女性か男性かもわからず、何でこんな気持ちになるのかも分からなかった。


「…お主の境遇に同情してしまっての。私の干渉が足らずな為に迷惑を掛けたの」

「…-?お前には関係のない事だろうー?」

「うんにゃ。そうでもないのだが…いずれ分かることだろう。

ここに至るまでの経緯は私に全責任がある。お前さんに願いを叶える権利を与える。

一つだけ願いを叶えてやろう」


心の中の本当の願い事を伏せて、


「じゃあ、魔法を使えるようにしてほしい!!」


口にはほかの言葉が自然と流れていた。結果的にこれが自分の人生を変える節目となる事に自分でも薄々気が付いていて、


この感情を見抜かれているーそんな事にも気がついてはいた。


「-いいだろう。お主の願い叶えた」


指先からおでこを伝って、彼女の熱と魔法が流れ込む。マグマのように熱く体中が燃えそうで、吐息が熱くなりくぐこもる。熱いー何かが流れ込む。魔法の理、昔魔界と天界が別れる前、魔法が生まれる事による起こる真意、血族の秘密、魔法のルーツが全部俺の中に流れ込み、血となり肉になる。燃え盛る炎を体中に焚かれてる気分だ。肌がチリチリいや時々ジリジリと炎が痛むほどに激しい。


「はぁっはぁっ…く…ぅ」


頭の中に掴め!と声が聞こえる。目の前の何か分からない物を必死に手繰り寄せ、掴んでねじ伏せてやる!と満身の力を込めて握りつぶした。


それが、


それっきりになる彼女の出会いと知っていても、


後悔などしたことがなかった。


彼女が何者かなどは、


どうでもいい。


ただそんな彼女に、


今一度会いたい。


もう二度と会えない、


会っていい干渉していい存在じゃない。


雲の上の存在。


吐息が熱くなる、彼女の事を考えると胸が焼けるように痛いんだ。


「後悔はしてない…」

いずれ分かるとの事ですが、そのことも前の連載で書いてなかった為、今回はきっちり書こうと思うのでお楽しみに☆彡

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