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決戦(前編)

 6月10日の昼過ぎ、ヒノカワ様とシカ村に到着した。シカ村では、歩行障害物の設置等の籠城準備が急ピッチで進んでいた。ワシらは、シカ村長やイモハミ婆さんが詰める小屋に進んだ。


「妖魔王が誕生した。残念ながら、呪い付きだ。それと、タツヤ君の鑑定によると、人間の分布を把握する能力を持っているようだ。特に、何もしなくてもよい。確実にシカ村が戦場になる。

 偵察で疲れたから休ませて貰うよ。詳しいことはタツヤ君に聞いてね」


 そう言って、さっさと隣の小屋に移動したヒノカワ様の代わりにワシは質問攻めにあってしまった。


「妖魔王殺害後は、ヒノカワとタツヤの援護は期待できないということか。とは言え、それほど問題は無いじゃろ?」


 イモハミ婆さんの問いにリュウエンさんが、素早く応えた。


「元々、タツヤくんだけに手柄を上げさせるつもりはないからね。これだけの勇者が揃っているんだ。例え、妖魔王が相手でも十分に勝てるよ。そうだろう?皆」


「「……「「うぉぉぉぉぉぉ」」……」」


 は⁉︎ 何故、小屋の内側と外側で同時に雄叫びが起きるんだ。謎過ぎる。



 ◇



 その日の夕方、ワシはヒノカワ様を捕まえて、幾つか質問する事にした。


「シカ村への誘引を確実にするため、軽い襲撃を繰り返して、憎悪を溜めるのは有効だろうか? 逆に、恐れをなして別の方向に向かうことはないだろうか?」


「奴らは非常に好戦的だから、恐れをなして逃げ出すって事は無いと思う。特に、妖魔王はそうだと思うよ。

 第一、恐れをなして行動を変える知恵があれば、大鬼、小鬼を集めたりしないはず。大鬼、小鬼が集まるから、邪気不足が酷くなる。邪気不足で飢えて、出来るだけ多くの人が居る方向に攻めてくるのがパターンで、これまで例外を経験したことがないよ。

 比較的戦士が多い村の方に攻めてくる理由が、これまで謎だったけど、昨日の鑑定で氷解したんだ。周辺情報把握?で人が多い方向が分かるんだね。だから、放っておいてもシカ村に攻めに来ると思うけど、不安なら襲撃してみたら良いさ。この何日か見てきて、きみは十分に考えて闘っていることが分かったから、任せるよ」


「それと、今後の敵の動きはどうなるか、これまでの経験から推測できないだろうか?」


「ああw 気づかなかったよ。そういえば、敵の大まかな動きを把握出来るのは僕だけなんだ。

 そうだね~、多分、明日の夕方には妖魔が集まってしまうんじゃないかな。

 妖魔は夜行性じゃないし、夜動く事はあまりない。また、何故かもたもたすることもあるけど、明後日の昼ぐらいまでにはシカ村への移動を始めるだろうね。そうすると、シカ村を襲撃するのは早くて明後日の夕方、遅くて明々後日の朝じゃないかな。

 これも、タツヤ君から皆に周知しておいてくれないかなw」


 ……案外、ヒノカワ様もお茶目な部分があるんだな。こんな重要な事を伝え忘れているなんて。


 翌朝から、挑発のための襲撃を繰り返すことにした。狩りでもしているのだろうか? 案外小部隊が散らばっている。シカ村に近い側から襲撃して踏み潰している。4回目の襲撃に成功した後、背筋が寒くなる感覚がした。直感に集中してみると……シカ村側に回り込まれた。ワシを包囲して倒すつもりか! 生意気な‼


 即座に反転しながら、遠視を飛ばした。敵の数は……弓持10に魔術持が1だと? いや、他にも左右から接近する部隊がいる。手こずると本当に包囲される可能性がある。さっさと叩き潰してやる。


 300m距離で着地して遠距離攻撃開始。


 敵も此方に突撃し始めた。


 5匹倒した時点で、150m程度に接近された。


 トップスピードの飛行で一気に接敵だ。突然飛び込んできたワシに驚いている。


 驚いている間に、魔術持ちと他2匹を斧に魔力を込めて粉砕した。返り血と何か気持ち悪い物がワシの体に降り注ぐが気にしない。


 3匹がバラバラに逃げている。1匹を魔力弾で粉砕


 反撃の弓矢だ! 魔闘術で防御


 一匹を飛行で追いかけて叩きのめした。同時にもう一匹に魔力弾だ。


 ふうー、蹴散らせた。一度、シカ村に戻って手順を考え直した方がよさそうだなw


 血(まみ)れになって帰ってきたワシを見てシカ村は大騒ぎになった。『返り血だよ』と言っても納得してくれない。衣服を剥ぎ取られた上でイモハミ婆さんに洗浄を掛けられてしまった。


「別に、ケガは無い様だね。替えの服があるから着替えな。状況をキチンと説明してもらうよ」


 イモハミ婆さんだ、結構怖い顔で怒っているな。説明した結果、納得してもらったが、包囲される事を防ぐために、策源地は必ずシカ村にするように言い渡された。それだと、襲撃回数が稼げないが……止むを得ないな。


 昼飯後も襲撃を続けたが、上記の理由で2回しか稼げなかった。


 ヒノカワ様の予想通り、次の日の昼前に妖魔の軍勢がシカ村に向けて移動し始めた。

 ワシは、その日も襲撃を続け、シカ村1㎞の位置で奴らが野営するまでに4回の襲撃を行った。妖魔王誕生からの計10回の襲撃の戦果は、次の通りだ。

 槍持大鬼1

 斧持大鬼1

 その他大鬼1

 魔術持小鬼1

 矢持小鬼12

 槍持小鬼5

 斧持小鬼5

 その他小鬼6


 さて、明日朝から本格的にシカ村の攻防が始まる。準備は万全だし、士気も高いが……戦死者が何人でるのだろうか……


次は、後編です。

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