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前哨戦

 予定通り、6月2日にヒノカワ様からの警報が出た。懸念していたテンヤ村長の娘さんは、トンビ村の幼児らとともに、ハヤブサ村に避難することになった。

 警報後すぐ、打ち合わせ通り、シカ村に飛ぶと、何故かヒノカワ様が待っていた。


「そう驚いた顔をするなよw 複数個所に言霊を飛ばす場合、飛行で近くによっておいた方が魔力の節約になるんだよw 少し考えれば、分かるだろw」


 確かに、その通りだな。


「さて、一休みしたら、特訓を始めようか」


 周りに戦士が沢山いる。本当の事は言えないな。


「よろしくお願いします。若輩者ですが、少しでも役に立つよう頑張ります」


 その後、ワシとヒノカワ様は、12㎞程度離れた空き地に移動した。2㎞ほど先に、普通の―この辺りでは脆弱な方だが―繁殖地がある。


「まずは、危険が少ない所で試してみる方が良いだろうね。ここなら、飛び道具を持つ妖魔が居ないから、危険は少ないだろう。何かあったら助けに行くから、存分に練習してくれたまえ」



    ◇ 



「練習した感じだと、飛行中に狙撃するより、一度着陸してから遠距離攻撃した方が楽かな。ヒノカワ様、妖魔王を倒す場合は、どうしておられますか」


「ああ、妖魔王について、十分説明していなかったねw 妖魔王をいきなり空中から狙撃するのは止めた方が良いよ。何らかの遠距離攻撃手段を持っているのが普通だからね。弓大鬼や魔術持ちより、射程距離もかなりある。

 ついでに言うと、名前付きから妖魔王に成り上がる時に、何らかの特殊能力を身に着けてしまうのが普通なのさ。色々、嫌らしい能力がある場合がある。空中からの攻撃は、タツヤ君の負担が大きい分、隙も大きくなるから、止めた方が良いと思う。

 とは、言っても地上から接近するためには、多数の取り巻きをどう排除するか? って課題があるから、地上も楽ではないんだけどねw」


 地上からの接近か、どうやれば良いんだろう。


「取り巻きの排除ですか、ヒノカワ様はどんな手を使っていますか?」


「取得している魔術を考えれば判る筈だけどね〜。焼き殺すか、押し流すかだね。技量が上がるまでは、苦労したよ。

 そういえば、タツヤ君は火や水の技量はまだまだだよね。今回は、僕が居るから良いけど、何か手段を開発しておいてね」


 ワシもまだまだなんだな。


 その日は、早めに切り上げてワシはシカ村に戻った。ヒノカワ様は、『男ばかりの場所を好む訳ないだろw』と言って、クジラ村方向に飛んで行った。


 もっともな意見と思うが、ワシは戦士達と少しでも話す機会を増やしたい。



    ◇ 



「た、タツヤ様……」


「硬くならないで、狼煙台(のろしだい)の見え方を確認しているだけだよ」


「ふ〜。心臓に悪いですよ。いきなり、空中から、近付かれると、知っていても驚きますよ。

 狼煙台は、よく見えます。彼方で、サボったら判るぐらいです。何度も訓練しましたし、目の良い代わりの者も何人かいます。任せて下さい」


「しかし、注意し続けるのは大変じゃない」


「コツが有るんですよ。勘所が身につけば、よそ見していても、狼煙台の変化に気付くようになります。

 ほら、あっちでも、タツヤ様に気付いて手を振っているでしょ」


 と、言われてもなw 肉眼ではよく分からん。遠視が必要か……確かに手を振っているな。ここも万全のようだ。


「クジラ村側から連絡する唯一の手段だけど、安心したよ。宜しくお願いします」


 そう、シカ村とクジラ村の間には、丘陵があり、お互いの見張り台を直視出来ない。だから、反撃のタイミングを確実にするのに、中継の狼煙台を作って貰った。外からの援軍と中から撃って出る籠城部隊、同時に襲い掛かれれば、被害は激減するだろう。



    ◇ 



 それから、ボス大鬼、弓持小鬼、魔術持小鬼と対象をより難しい奴に変えながら、練習を続けた。雨の日もあり、何時の間にか6月7日になっていた。今日も、一休みしながら、ヒノカワ様と二人で反省会を開いている。


「魔術小鬼は、かなり近寄らなければ狙撃できない。矢持が居る繁殖地では、矢の集中反撃を受けるからワシでは無理だな」


「魔闘術での防御も限界があるからね。空から近寄れば障害物がない分、多数の矢が飛んでくるから大変かもしれないね」


「弓持大鬼の射程は、どの程度だろう? 奴らも空からの狙撃は難しいだろうか」


「何を言い出すかなw 幾らなんでも、君より射程が長い訳はないよ。

 それより、シカ村への戦士の集結状況はどんな感じだい?」


「経路の村々で泊まる場所が足りなくて渋滞している。だが、狐村部隊やツバメ村部隊も強行軍なら二日の場所に居る。余裕で5日以内に集結が完了すると思う」


「それなら、明日から本格的に抹殺作戦を始めよう。先ずは、名前付きからだね。何か嫌な能力を持っていると不味いから、地上から最大威力の魔力矢で叩いてみよう。

 今日は通し稽古をしようね。

 低空飛行で一気に狙撃位置に移動し、大威力の魔力矢で狙撃する。当たろうが外れようが、着弾と同時に離脱を開始し、飛行で一気に距離を稼ぐ。一連の流れを完璧に出来るまで練習だよ。

 あと、退避する時にシカ村方向に逃げることも意識してね。憎悪を溜めれば、シカ村に誘引するのが楽になるかも知れない」


次は、妖魔王の誕生です。

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