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西方打通作戦の開始

 4月6日の昼過ぎに、山犬村に到着した。その時、既に次の様に十分な戦力が集まっていた。これなら、予定通り明日から作戦が始められる。

 ・打撃部隊:ワシ含め25人

 ・狼村隊:25名

 ・親衛隊:15名(上記以外の七村の若衆は親衛隊で一括)

 ・フクロウ村隊:15名

 ・スナメリ村隊:15名

 ・南方村々義勇隊:15名

 ・西方村々先遣隊:15名


 計画では、山犬村から海沿いの大イカまでの村々を一気に打通し、包囲環を作ってしまう。そして、打通した所から経路の整備を進めて貰い、戦力の高速移動を可能にする。

 もっとも、大イカ村からシカ村までは、6日以下にする事は難しいだろう。直線的に移動出来れば、たった28kmなのに……


 村間の位置関係と標的の繁殖地は次の通りだ。

 ・山犬村からスナメリ村:南西約12km:1つ

 ・スナメリ村からフクロウ村:北西約7km:1つ

 ・フクロウ村からヒヨドリ村:北西約8km:1つ

 ・ヒヨドリ村からキジ村:西北西約10km:1つ

 ・キジ村からテン村:北西約12km:1つ

 ・テン村から大イカ村:北北西約10km:2つ


 この後、他の村への打通を優先するか、無人地帯の掃討を優先するかは、まだ決まっていない。

 ワシとしては、打通が終了したら、シカ村の防衛設備の強化を先にした方が有利じゃないかと思っているが、まだ議題にすら挙げていない。


 戦士の構成が変では? と思う者が居るかも知れない。実は、山犬村に集まった戦士のうち全期間参加するのは、打撃部隊、親衛隊、南方村々義勇隊だけだ。作戦の進捗に合わせて、近隣村の戦士団を順次入れ替えて行く予定だ。


 考えていると、ブナカゼさんが近づいて来た。


「シカ村の防壁の修復、流石はタツヤだ。観に行かせた者の話を聞いて、熊村の戦士達も大いに盛り上がっている。『完成すれば、大勝利間違いない』とな。

 ただ、最後までは見届けて居ないようだったが、タツヤから見て完成度はどの程度だ」


「一応は、形になったが、もう少し補強したり、工夫したい部分がある。欲張ったらキリがないが、大戦までにもう一度手を入れる機会を持ちたい」


「そうか。なら、作戦会議の議題にしよう。

 シカ村の防備が強化される事は、私らも切に願っている。村長の立場で公平を欠くかもしれんが、母さんが生き延びる可能性が高まるからな。

 神託に従いあの歳まで努力を続ける母さんには、ノンビリ出来る余生を確保したい。この大戦の勝利を一つの区切りとして欲しいんだ。

 それと、私からも提案だが、土壁の魔術を聞いて一つアイデアが浮かんだ。シカ村の西方向の海岸に小規模な基地を作れんか?

 長槍程度の間隔で土壁を作って、その上に簡単な屋根を乗せれば、寝る場所だけは作れるんじゃないだろうか?」


「高さを控えめにすれば、土操作との併用で短期間に作れると思う。屋根の上に薄く土を被せて固めれば、多少の雨にも対応出来ると思う。

 だが、何に使うんだ?」


「大イカ村からシカ村の安全圏内に舟で直接移動出来る様になる。

 ウオサシと議論したが、その位置に雨風を凌いで寝泊まり出来る小屋があれば、大イカ村からシカ村に2日で移動出来る様になるそうだ」


 実は、シカ村の北には、半島がある。前世の地形に対応させると、糸島半島とほぼ同じ形だ。

 大イカ村から、クジラ村に移動する場合、その半島を迂回する分大回りになる。しかも、途中に安心して停泊可能な村が無い。一人前の舟乗り兼戦士の試練として使われるような、素人には厳しいコースである。その為、戦士を舟で移動させる事は考えられていなかった。


「非常に重要な話だね。近い北西方向の湾かな? それとも、少しシカ村から遠くなるけど、真西の湾の方が良いのか? いや、防衛戦力を割かれて、逆に不利なのか?

 どちらにしろ、ワシとしては、飛行の中継点としても何か基地があると助かる。なんで気づかなかったんだろう」


「土地勘がない私には、場所については何とも言えんw 海岸の村の衆とシカ村に議論して貰う必要がある話だw

 ただ、この話の問題点は船酔いだ。移動の対象になる打撃部隊と親衛隊の者には、舟に慣れる期間が必要だ。少なくとも、魚類型魔物との闘いに邪魔にならぬ程度には」


「その間に、シカ村の防備も固めるのか……うーん、人手が足りるのか? 時期的に田植えや、避難小屋の仕上げ、米の輸送、他にも色々な仕事がある。下手をすれば、去年よりシンドクないか?」


「今更何をw 皆々休みが少ない。疲れた。と感じているw だが、士気は高く表立った反発は少ない。女も、老人も、未成年者ですら、進んで力仕事に参加してくれる。皆、大戦に大勝利して、新しい世を迎える事を信じている。

 そうだな〜『怯えない時代』はまだまだだが、『大戦に殴り返せる時代』にはなるだろう」


「新しい世か……確実に到来させる為、もっと沢山策を練る必要があるな。頑張ろう」


 作戦会議は、ブナカゼさんの支援もあり、順調にワシの考え通り進んだ。有難い事だ。


次は月食です。そして、最終章のシカ村の大戦に入ります。

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