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アマカゼとのふれあい

 山猫村作戦は、2月18日開始となっている。誤解の無いように言うが、日付はワシとハテソラ師匠の間だけのものだ。

 皆の認識は、ワシが熊村に着いた日の7日後に山猫村集結、翌日から作戦開始となっている。


 実は、村々の間の経路の整備は順次進んでいる。丸木橋を渡したり、目印を付けたりといった(ささ)やかなものだか、意外と効く。

 トンビ村から山猫村には、朝出て余裕を持って夕方前に着ける状況になっている。

 ワシは2月16日を移動日とし、それまでの3日の休暇を得た。


「1日は私の為に使って貰いますからね。婚約者らしい事何も出来ていないんだから」


 最もな意見だが、この社会のデートって何をするんだろう? 恋人達が楽しめそうな施設ってなんかあったかなぁ?


「解ったが…恥ずかしい事に7歳児なので何をすれば良いか全く分からん。付近を散歩とかすれば良いのか?」


「……まあいいわ。様々な形があって良いことだから。今日は、お互いがよく行く場所、思い出の場所を紹介し合いましょうね。

 ついでに、仲の良い所を見せびらかしましょ」


「戦士小屋と機織り小屋には下手に近づけ無いから、見張り台とか、窯とか、岩場とか、広場とか、余り見て楽しめる場所が無いな〜。

 う〜む(・・;) ワシは、余り遊び慣れている方じゃ無いんだな」


「あきれた。でも、まあそれで良いわ。二人で仲良さ気に歩くだけで目的の半分は達成出来るから」


 その日は、1日アマカゼと二人でノンビリ過ごした。無論、邪魔も視線もあったが、別に恥ずかしがる必要はない。

 何となく、距離が近くなった気がしてワシは満足だ。アマカゼもそうだと良いな。


 残り2日は、カシイワ師匠と炉の設計の話し合いとハテソラ師匠のフブキ文書解読の付き合いで時間が潰れた。皆、何かしら前向きな仕事が出来ている。何とかこの状態を維持したいものだ。


 リフレッシュしたら、山猫村作戦だ。熊村作戦と被る範囲が広いため、山猫村作戦の対象は、3つと少なめだ。そして、打撃部隊をこの作戦から適用する。連合外のヘビ村(山猫村北東約7km)と白ヘビ村(山猫村東南東約13km)も援軍を出してくれる。


 その次は、ツバメ村打通作戦だが、正月から範囲が拡大している。スズメ村とツバメ村の間の打通のための殲滅2つに加え、ツバメ村の先の3村も打通する事になっている。

 ツバメ村の北東から東に掛けて、大リス、モグラ、白ネズミの3村が比較的固まって存在している。追加で3つの繁殖地を潰して、3村も打通し、大戦での援軍を50名増やす予定だ。


 これらの作戦は順調に終了した。嬉しい事に遂に飛行も習得出来た。直ぐにでも試して見たいが、ヒノカワ様に忠告されている。

『私は、何度か死に掛けているよw 高所からの墜落や地面への激突を甘く見ない方が良いよ。

 飛行は、私と同じぐらい…無意識に使える位まで落下制御を使いこなしてから、慎重に練習しなさい』


 一応、落下制御は、L3まで上げたが、飛行の練習は、トンビ村に戻ってからにしよう。


 3月4日、治癒術が使えるクサハミ婆さんを含む10人ばかりに見守られながら、飛行の練習を始めた。先ずは、身体を浮かす所からだ。

 1時間近く練習したが、疲労が酷い。疲労回復を掛ける必要があるな。



    ◇ 



「誰じゃ‼︎ 揺さぶるな‼︎ 左手が痛いんじゃ‼︎」


 うん? アマカゼか? 何故泣いておるんじゃ? クサハミ婆さんもみえるが?


「揺さぶっちゃいかん! 頭を打っているかも知れん!

 タツヤ! ババが見えるか? 痛いのは、左手か? 見せてみろ!」


 クサハミ婆さんが、慣れた手つきでワシの身体を診察していく。何があったんじゃ?


「骨に異常は無いな。打撲だけだろう。だが、念のためだ、治癒術を掛けておこう。

 祖霊よ神々よ。勇者に一筋の癒しを」


 ああ、痛みが引いていくようだ。


「良かった(T_T) 間に合って。タツヤが死んじゃったらと思ったら、ヒック、ヒック」


「アマカゼ、安心しなさい。見た通りピンピンしているよ。ババがいるから、もう何があっても大丈夫だよ」


 話している間にも人が集まってくる。何があったんじゃ? ワシら何をしていたんだ?……


「ワシ、墜落したのか?」


「ヒック、ヒック、飛んでいたタツヤがイキナリ真っ逆さまに落ちてきたの。あんな高い所から、ヒック、ヒック、酷く地面に叩きつけられて、意識も無いし。怖かった」


 アマカゼが、強く抱きついて来た。ワシは、アマカゼの背中を優しく叩きながら、何が起きたか思い返していた。


 すると、クサハミ婆さんが問いかけてきた。


「魔力切れでは無いな。とすると何が起きた?

 墜落する直前に、何か魔力が動くのが見えたが、何をしようとしたんだ? タツヤ」


「疲労回復の魔術を使おうとしたんだ。……墜落するのは当たり前か、飛行の魔術で疲労困憊の所に、更に魔術の多重発動をしょうとすれば……限界を超えるのは当たり前だ。

 落下制御のレベルを上げておいたから、無意識でも自動発動して、打撃を軽減したのか……ヒノカワ様の忠告が無かったら、あっさり死んでいたな」


 不吉な言葉を聞いて、アマカゼが更に強く抱きついてきた。押し付けられる柔らかい膨らみを、どうしても意識してしまう。


 ……しかし、こんなに心配してくれるのか、アマカゼが可愛く感じるな。……しばらく、アマカゼの優しさに甘えていよう。ワシら婚約者なんだ、構わないだろう。


次は、鉄生産の話です。


H29.11.28 山猫村から見たヘビ村と白ヘビ村の方位を修正しました。作者は、左右や東西が苦手みたいです。


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