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遭遇殲滅戦

 スナメリ村とフクロウ村では、特に変わった事は無かった。当然、彼等は彼等なりに情報収集と状況分析をしているから、話は早い。


 流石に、シカ村の決断は初耳だ。非常に驚き賞賛していた。また、シカ村への誘引に成功した場合は、戦士を派遣してくれる事になった。

 無論、自分の村が標的になった場合の援軍派遣の約束と引き換えだ。この位置までは、既に判断を下しているので問題ない。


 彼等の参考にする為、現時点の作戦大綱を説明した。既に約束がある参加戦力は次の通り500名程度である。(シカ村での迎撃の場合)


 シカ村:約150名(女性や老人の参加者含む)

 七村連合:約200名

 三村連合とツバメ村:約100名(早期打通作戦が前提)

 その他:約50名(ヘビ、タヌキ、サバの三村が約束済)


 誘引に失敗するケースも考える必要がある。ヒノカワ様からの連絡があり次第、七村連合は、次の様に戦力を配置する。

 シカ村へ100名

 トンビ村へ50名

 狼村へ50名


 七村連合以外は、全てシカ村に集結だ。そして、誘引成功の連絡があり次第、トンビ村と狼村の戦力もシカ村に向かう。

 なお、治癒術士は一部を除きクジラ村に集結し、勝利後にシカ村に向かう。


 連絡手段、移動経路、糧食、武器の補充、事前に考える事は多数あり、各村の戦士長が知恵を絞っている。


「500名? 幾ら何でも多過ぎでは?」


「? 欲を言えばもっと必要です。多くの村の最上の好意と解っていますが、最悪の場合……敵の数の方が多くなる可能性がある。

 三倍以上の数で闘った狼村での大規模殲滅戦でも、戦死者が出ました。少しでも有利になるよう、まだまだ努力が必要です。

 何卒、一人でも多くの戦士を派遣して下さい」


 フクロウ村長とワシとの問答だ。何故か、フクロウ村側の後方で、『戦にぶっ飛んでいるから戦鬼なのか』と失礼な呟きが聞こえる。だが、何を言われても良い。戦死者を減らしたい。


 雪が降ったのでフクロウ村で1日留まり、1月19日の朝ヒヨドリ村に向かった。寒さは厳しく、薄っすらと雪が積もっている。

 ヒヨドリ村は、フクロウ村の北西約8kmで距離は其れ程ない。一方、シカ村からは南南西約27kmとかなり離れている。此処からシカ村までは、大戦で村が滅びた無人地帯だ。


 一時間程進んだ時、閃いたとしか言い様のない感覚がした。


「右後方、900歩、敵多数。戦闘準備」


 ワシは、イメージトレーニングしてきた通り、声を上げ遠視の魔術を発動した。


「真っ直ぐ向かってくる。敵数、大鬼3、小鬼20以上、遠距離攻撃を開始する」


 数が多いな。魔力が持つかな?


「タツヤ。こっちだ。少し高くなっていて見通しが利く」


「大鬼1撃破、二撃目発射。了解すぐ行くよ」


「大鬼2撃破、三撃目発射。敵は、突撃を開始した」


 ワシは、オオカゼさんに指定された位置に到着した。その直前に大鬼3は撃破した。忘れない内に高揚も掛けよう。


「敵400歩まで接近、連続攻撃開始します」


 一連動作で小鬼6匹を倒した時には、既に直視できる位置にいた。

 皆が、一斉に連射を開始した。勿論ワシも魔力矢を連射している。タビスケさんが予備の矢筒を渡してくれた。


 30m、土操作で目の前に窪みを作った。前進する奴、迂回する奴、我に返って逃げる奴に別れた。ワシは、迂回する奴を魔力弾で一匹ずつ始末する係りだ。


 接敵し、短い応酬で敵は全滅した。魔力はまだある。ワシは逃げた奴を遠距離攻撃で掃討する。


 周りを見ると味方にも何人か怪我人がいる。歩くのに支障がある三人を治癒術で対応した。魔力があまり残っていない。鏃だけ回収して、フクロウ村に舞い戻るしかない。旅に予定外は付き物さw


 最終的戦果は、次の通りだった。

 ワシ:大鬼3、小鬼18

 他:小鬼12


 うん? 繁殖地には殆ど残っていないんじゃない?



 血まみれになって戻っ来たワシらを見てフクロウ村は慌ただしくなった。村長と戦士長が、事情を確認し、忙しく戦士達に指示を飛ばしていた。

 その間、ワシは魔闘術も直感も切って負傷者の回復を急いだ。汚れたり傷んだりした装備の整備に、フクロウ村が何人かの男女を手伝いに出してくれた。


 夕方近く、村長が再びやって来て、負傷者の対応を依頼された。何でも、繁殖地の残敵掃討で損害が出たそうだ。

 消耗品や装備の補修の費用を計算していたワシは「有料ですよ」と呟きながら、指定された小屋に向かった。

 行くと、身動き出来ない重傷者が2名がいた。他にも手当を受けている者がいる。出発した後に化膿とかされると嫌だなぁ。傷口だけは塞ぐか。

 重傷者の対応後、他は、傷口の修復を優先して対応した。無論、先に傷口を綺麗に洗って貰った。


「傷口は塞ぎましたが、中は完全には治っていません。アザや痛みが残っている間は、回復を優先して無理はしないで下さい」


 その途中で、失礼な呟きを吐いた男が、何故か土下座で謝罪に来た。


「戦鬼と言われて仕方ない事をしていますから、謝罪は不要ですよ」


 謝罪の趣旨が今一解らなかったので、そう言って収めて貰った。


 日が沈む頃、村長から、戦勝を祝う宴に誘われた。ワシは、食事だけとって、魔力回復を口実に早めに抜け出す事にした。


 そうしたら、タビスケさんがワシを追いかけて来た。何の用だろう?


次は、笑顔重要です。

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