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ミナミカゼの決意

「自分がその立場になると分かるじゃろ? 羞恥プレイだと」


「うぅ。でも、タコ村に独りで残りたくない。お父さん。本当にありがとう」


「バカ話するのも道中の楽しみだ。存分にやりなさい」


 アマカゼは、再度の強行軍で筋肉痛が酷い。オオカゼさんに背負われている。それをスミレ坂にからかわれている。


 スミレ坂は、本当に恥ずかしいんだろうな。同情したワシは、思わず口を挟んでしまった。


「作戦の都合で申し訳無いが、スミレ坂は何度も背負われて移動しているな。何か女性が早く移動出来るような、まじゅ、もとい道具が必要だな」


「うん? 聞き捨てならないな。早く移動出来る魔術に心当たりあるの?」


「スミレ坂も知っているだろ。魔闘術だよ。あれは速さにも効果があるから、意識すれば早く歩けるようになる。

 うん? よく考えたら、スミレ坂が背負子に乗せられる必然性がないぞ? あれあれ? どうなっているんだ」


「あはは〜、面白いw ウオサシ! 気付かれてしまったようだ。此れからは、高揚を掛けて貰って普通に歩くよ」


「そんな〜(T_T) スミレ坂との貴重な触れ合いを楽しみにしているのに、タツヤさん。う・ら・み・ま・す」


 何事‼︎ ウオサシとスミレ坂が何を言ってるのか判らない。怖いよ(°_°)


一寸(ちょっと)! 止めてよ! タツヤが怖がって引いている。下手(べた)な冗談が好きな、似た者夫婦って事は判るけど、少しは控えてよ」


 なんだ、冗談かw アマカゼはよく見ているな。良かった。




 トンビ村への道中、二人の異次元の夫婦漫才にずっと悩まされ続け、頭が痛くなったが……思い出すのは止めよう。惚気の一種だと思って封印しよう。


 熊村の衆もトンビ村に一泊する事になり、イモハミ婆さんとブナカゼ村長夫婦は、ワシの家に泊まる事になった。新婚のウオサシ・スミレ坂に旅人用の小屋を割り当てる為だ。


 密談には丁度良い。


 夕食後、ワシ、イモハミ婆さん、クサハミ婆さん、クマオリ村長、ブナカゼ村長、ミナミカゼさん、トリハミさん、カシイワさんで集まって密談を開始した。勿体無いが、解毒を掛けて酒は抜いている。


 何故呼ばれたのか判らないトリハミさんはオドオドしている。


 話は、まずミナミカゼさんとトリハミさんが、努力し立派になった事の褒め言葉から始まった。ワシの時と同じだが、逆に不安になるよね(^^;;


 そして、クマオリ村長が本題を切り出した。


「ここから先は、ここに居る者だけの最高機密だから、受ける気が無いなら、正直に言って欲しい。

 他村の村長になる気は無いか?」


「???熊村には立派な村長候補が何人もいるわ?何の話なの???」


「違うよ。トリハミ。山犬村と同様に、知らぬ所に村長として乗り込めと言う話だろう。しかも、大っぴらに出来ないような何か特別難しい問題が有るんだろう。

 カシイワさんが居るから、窯に関連する何かだろうが……新作焼物や窯の改良程度で此処まで手の込んだ事をするとは思えない。

 あの新作焼物が目眩まし程度にすぎない何かが有るんだよ。覚悟が必要だろうね」


「そんな…私たちには小さい子供も居るのよ。

 タツヤ‼︎ 私達に酷い事したら祟るからね‼︎」


「落ち着きなさい。トリハミ。此処に居るのは、殆ど身内ばかりだ。父さんやトリハミの母さんも居る。酷い話を持ってくる訳はない。信頼して難しい仕事を任せられる人が必要なだけだよ。きっと。

 お婆さん。すいませんが。トリハミに鎮静の魔術をお願いします」


「あいよ。祖霊よ。可愛いトリハミに慈愛を」


「わたし。何を口走って…タツヤごめんなさい。不安だったの」


 ミナミカゼさんとトリハミさんの意外な面が見えたな。


「続けるぞ。とは言え…概ね、ミナミカゼの推論通りだ。難しい仕事になるが、決して二人や孫を犠牲にする気はない。どうだろうか? 暫く二人で考える時間が必要かな」


「いや。想像した中では、最もやり甲斐が有りそうな話だ。どんな難題があるか判らないが、僕やトリハミが青春を掛けた努力が活かせる仕事だろう。

 子供らにも将来を約束してやれるかもしれない。この話受けるよ。トリハミも協力してくれるよね」


「あたな……分かったわ。信じて付いて行くわ。で、具体的には、どんな話なの?」


「相手はムササビ村だ。仕事の詳細は、タツヤが説明してくれ。」


 クマオリ村長がワシに話を振った。


「端的に言うと鉄を造りたい。ムササビ村を連合が保持する鉄造りの拠点にしたい。成功すれば、魔物に怯えない生活に向けた大きな一歩になる」


 そして、此れまで他の人に話して来た事を含め、鉄造りに付いての構想を述べた。

 最初は、木炭と耐火煉瓦の大量生産体制が必要だ。だが、この段階で直ぐにムササビ村の体力を超えるだろうから、援助が必須だ。

 最初の鉄造りは、火魔法兼用方式にするつもりだ。ワシも頻繁に出入りする必要がある。並行して、試行錯誤を繰り返して貰い。ワシを抜きにした鉄の鍛造方式を確立させる。

 より高度な爆風炉(古代中国にあった高炉)の開発を目標にすべきかは……正直判らない。石炭の確保? 水車? 原料の輸送体制? 林業の確立? 地域の経済規模? 鉱毒の処理? 経験が無いと判らない事が多すぎる。


 そして、技術的な問題以上に、どうやって拠点を人々が産まれ育ち働く村として維持していくか……其方には、参考になる知識が、ワシにはない。


「やり甲斐が有りそうだねw」


 ミナミカゼさんが、明らかに強がりと判る笑い声をあげた。


 巻き込んでごめんなさい。でも、お願いします。



トンビ村での話が続きます。


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