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七村連合最高会議(後編)

 ほんの一瞬沈黙が支配した。それを破ったのはブナカゼ村長の爆笑だった。


「がははははは。タツヤには無茶ばかり押し付けて心苦しかったが、神々の方が更に無茶振りだった訳かw

 そこまでの重圧に晒されているなら、時々大馬鹿者になったり、訳の解らぬ事を口走るのは、当たり前だw

 タツヤ笑ってすまんが、必要な事は何時でも言ってくれ。何でも手配する。

 のお、ヤクモ殿もそう思うだろ?」


「お、おう。難しくて良くは解らんが、子々孫々まで安心して暮らせる世を作りたいのだろ? そんな夢のある話に、惜しむ手間が有ろう筈が無いな」


「ヤクモ殿と議論していた件も決着だな。連合が拡がっても神意に反する事は無い。私もヤクモ殿の提案に賛成する事とする」


 ヤクモさんが根回しをしていた?何だろう。


「クマオリ殿もタツヤも話だけは聞いてやって欲しい。山犬村の処遇についての提案だ」


 カスミユリさんの次女夫婦を山犬の村長にし、将来山犬村が力を回復した時に連合のメンバーに加える提案の説明があった。


 明後日の会議までに提案を真剣に検討する事を約束した所、他にも周りたい所があるのか、ヤクモさんは足早に去って行った。


 なんか、ここでの用事の半分が済んだ気がするな。クニの基盤にする為に、七村連合を拡大する口実がないか悩んでいたのがバカみたいだw


「そういえば、タツヤも何か根回ししたい事があるのだろ? 効率の戦鬼のお前が挨拶だけとは思えん」


「やだなぁw アマカゼの寝床の相談だけだよ。ワシら男は、おしくらまんじゅうして寝るのに慣れてるから良い。だけど、アマカゼにはもう少しましな、少なくとも男が来ない寝床が欲しいから、カニハミさんに相談しに来たんだよ。

 もちろん、時間があれば色々話のネタはあるよ」


 ブナカゼさんの問いに、用意してあった口実を答えた。


「ああ、女性の寝床は考えてあるよ。狭いけどね〜。え〜と、トンビ村からは、村長夫人とアマカゼちゃんだけだね。それなら、悪いけどアマカゼちゃんは機織小屋にいるシオハミの所に行ってくれないかい。夜までに来る女性の数に応じて、シオハミが対応するからね。村長夫人と呪術士は全員隣の小屋だよ。既に、何人か来ているからね〜

 それで、話のネタってのはなんだい〜?」


「え〜と、会議までに根回が必要なのはシカ村への返礼の使者と西側の村々への事情説明の使者だね。

 村々の連絡方法の改善と会議小屋の相談とかは、アイデアの紹介だけ。子供への呼吸方の教育はイモハミ婆さんが、根回しを進めているんだよね。

 後、会議の後で良いのでカニハミさんに貝貨について当たり障りの無い範囲の事を教えて欲しいな。誰か他に詳しい人がいるなら、紹介して欲しいし」


「どこが、寝床の相談だけなんだいw

 え〜と。貝貨は御免ね。公式には私が責任者なんだけどサッパリでね。前村長の娘が仕切っているんだよ。口は堅いけど利発な女性だからね。後で、紹介するよ」


 カニハミさんとの掛け合いの後、ワシはワシの根回しを行った。そして、翌日は参加者其々が根回しに駆け回った。根回しが大変なので、村々の取引の交渉は、会議後に後回しにされた。


 会議は、大きめの小屋で行われた。席次をハッキリさせる事を重視した村が複数あった為、次のようになった。


 中央、議長のイモハミ婆さん

 東1位、タツヤ

 西1位、熊村のブナカゼ村長

 東2位、タコ村のキバヤリ村長

 西2位、狼村のヤクモ村長

 東3位、トンビ村のクマオリ村長

 西3位、山猫村のネコヅメ村長

 東4位、クジラ村のシオフキ村長

 西4位、クラゲ村のウオウミ村長


 この9人に加え補佐する人間がそれぞれ複数おり、小屋の中は、非常に狭苦しかった。その為だろうか、会議は根回しが済んでいる事を決定していくだけで、短時間で終了した。


 広い小屋が必要じゃな。


 ワシは、この後シカ村に行き、繁殖地の偵察を行う。その(あと)で山犬村の従属の儀に顔を出し、西側の村々への事情説明の旅に出る。帰ったら一度鉄鉱に近いムササビ村を見に行くつもりだ。口実は、ブナカゼ村長が作っておいてくれた。それと、大戦にツバメ村を参加させる為に打通作戦を行う事も了解された。

 さて、山犬村の従属の儀は15日後の1月15日だ(ワシの個人暦基準)。張り切りて行こう。


 午後は、広場に人が集まって、次の儀式が行われた。

 ・イモハミ婆さんによる新年祝賀の辞

 ・今年の七村連合の活動方針の説明

 ・祝賀に来ている他村の使者の紹介

 ・ウオサシとスミレ坂の祖霊への結婚報告


 他村の使者は、遠方を含め11組もあり、結構時間が掛かった。

 一方、スミレ坂の花嫁衣装は豪華で集まった人々が目を細めていた。親衛隊の好みに合わせ、彼女は最近装飾の多い服を着る事が多い。それより更に派手な衣装だが何処か上品だった。目利きがいるんだよな〜。後でカニハミさん辺りに聞いてみよう。


 そして、和やかな雰囲気で恒例の宴会に雪崩込んだ。

 イモハミ婆さんの「解毒しながら飲めば大丈夫だよ」の一言でワシも酒に付き合う事になった (o_o)


 子供の味覚では美味しく無いんだよ‼︎


次は、シカ村に向かいます。

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