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大規模殲滅戦(後編)

 ワシらは、戦力の集結の日も修行を続けた。

 その結果、500mにも及ぶ超射程の魔力矢を編み出した。放った後で何度も魔力操作で加速させるので、既に弓矢とは原理自体が異なる何かだが。


 ただし、流石に一発でバテてしまう。悩んでいるとリュウエンさんが秘策を教えてくれた。普通なら魔力の無駄使いで忌避される事だか、治癒術を自分に掛ければよい。

 酷く非効率だが、治癒術でバテた体力を回復させる事ができる。

 試して、検討した結果、魔力と体力両方振り絞れば7発は打てる。ただ、ボス属性の大鬼は強めの魔力で叩きたいし、予備も考える必要がある。現実的には5発だ。

 優先順位は、弓持大鬼、ボス大鬼、魔術小鬼、その他大鬼だ。ただし、『魔術持ちの小鬼には当て難いだろう』とリュウエンさんから指摘された。シカ村に伝わる知識では、魔術持ちの妖魔は魔力が観えるとの事だ。


「僕が火炎操作と鎮火で対抗するよ。とはいえ、全体はカバー仕切れない。矢を集中させて魔術を使う余裕を与えないように、弓矢の名手達には十分周知して。」


 遠距離で倒せなかった場合の対処方法をリュウエンさんが提案した。


 一方のリュウエンさんも、護衛の火矢と連携する事で70m程度の有効射程を確保する目処が立った。慣れが必要な矢の軌道操作は、今回は諦め照準は護衛に任せる事にしたそうだ。何でも乱戦の中で敵だけ正確に射抜ける名手だそうだ。断って鑑定すると、弓矢がレベル4だ。


 魔術だけでなく戦術的新機軸も幾つか考案された。


 七村連合でもシカ村でも、ワシら魔術士が弓矢の集中攻撃を受ける事を強く懸念している。その為、頼んだ簡易防具を第一第二遊撃隊分造った。それに加え、ワシの体重ほどもある木の大盾を何枚も連ね、簡易的な防壁を作る事を決定・準備していた。

 何でも、間に合わせる為、戦士としてはリタイアした老人まで動員し、血豆を潰しながら作業をしたらしい。大盾の方は、丸木舟を何艘も切断して造ったそうだ。

 ノコギリも無いのに? 『どうやってあんな大きな物を木目に逆らいながら短期間で?』聞くと石斧で徹夜で切断したそうだ。

 そうか〜、防具が無いのは費用の問題もあったのか。前世で当然の鉄器に比べ、石器だと木工の速度も精度も段違いだよなぁ。意識していた筈だけど、泣ける話を聞くと辛くなる。

 テントだって、木工の精度を上げて織り機を改良すれば、そして鉄針があれば、解決する筈だよな。鉄造りの計画により力を注がねばならん。


 もう一つは、リュウエンさんの協力で成立した事だ。ある種の野戦病院だ。繁殖地から約1kmの位置に土操作で深さ2m程の蛸壺陣地を掘って貰った。そこに、警報の魔術を張った上でスミレ坂に籠って貰う事になった。そう、最近スミレ坂も警報を取得したそうだ。


 無論ウオサシ以下の親衛隊? の警護も付いている。驚く事では無いが、全員決死の形相で志願したそうだ。スミレ坂は女神(・・)様だからな。また、信者が増えるだろうな。


 他の6村全てクサハミ婆さんが担当する事にして、狼村に治癒術士を集中させた万全の体制も整え、決戦の日を迎えた。


 野戦病院に伝令要員を含め15名、情報封鎖と逃走阻止に35名分派して、残り160名で500m位置に布陣した。矢の打ち合いなら腕の差を含め10倍程度の優位は稼げるだろう。

 時間も昼少し前で高揚分の魔力は回復している。


 ワシも体力温存用の背負子(しょいこ)から降ろして貰い配置に着いた。まずは、超遠距離攻撃からだ。


 弓持大鬼命中・即死、ボス大鬼命中・即死、魔術小鬼避けられた! しかも遠視にも気付かれた。通常大鬼A命中・即死、通常大鬼B命中・即死


 ふう〜、此方の位置に気付いていなければ良いな。疲労を回復できる時間があれば有利になれる。


 昼間なのに、フクロウの声が、合図だ。……駄目か、こっちに向かってくる。でも連射は体力的に無理だ。200m位置から、一匹ずつ狙撃する。


 通常大鬼C狙撃成功・即死


 不味い敵が突撃を始めた。


 敵の前衛と後衛が分離した。


 弓持小鬼A、B、C即死


 弓矢の距離に到達、味方の弓矢攻撃開始だ。


 やばい! 敵は此処を集中攻撃する気だ。


 弓持小鬼D、E


 敵から火弾が! あ、リュウエンさんが防御した。


 魔術小鬼は何処だ⁉︎ え! 小鬼で壁を作っているだと?


 火弾二弾目が別位置に‼︎ 此処は無駄って気付いただと‼︎


 大威力の魔力矢で壁ごと吹き飛ばすしかない。


 成功。魔術小鬼は肉塊に変わった。


 もう魔力が無い。乱戦も始まっている。


 何⁉︎ 弓持小鬼が味方に構わず矢を放ってる‼︎


 え! 火事⁉︎ 一気に燃え広がる???


 ああ、リュウエンさんか、弓持小鬼を焼き殺す気か。


 接敵から30秒、既に立っている敵は居ない。でも、味方も酷い状態だ。しかも、ワシもリュウエンさんも殆ど魔力が残っていない。二人でたった4人分しか対応できなかった。


 5分もしない内にスミレ坂が背負子(しょいこ)に担がれて到着した。余りの惨状に吐いている。でも、()(かか)えられながらも救命対応を開始した。年頃の女の子なのに、酷い仕事をさせているな。


 こんな手順を考えたワシは、本当に人の心を持たん鬼かも知れん。


 なんか、一方的過ぎて、闘いの緊迫感が描けていませんね^^;

 力不足ですいません。


 次は、酷い目に合わせたスミレ坂様への、謝罪と償いが必要です。

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