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魔術比べ

 会議後、魔術の練習だとヒノカワ様に言われて、全員で村の外にでた。警報の範囲内とはいえ村外、慌てて警備兵がかき集められた。


「私やタツヤ君が対応出来ない状況など思い付かないけどね〜。

 さて、私が知ってる魔術を一通り見せるから、魔力の流れを良く見ておくように。観る事も修行だよ。

 それと、無理にとは言わないが、他の魔術を知ってる人は、同じように実演して欲しい」


 新しい魔術を覚える機会など滅多に発生しないから有難いことだ。ヒノカワ様は、普通に善い人なんだな。


 ヒノカワ様が使える魔術は、半年前と同じだ。さて、ワシの番だ。


「ヒノカワ様が見せた以外の魔術として、鑑定と高揚がある。鑑定の方で協力して頂ける方はいますか?」


「構わないから私を鑑定しなさい」


 ワシは、ワシ自身とヒノカワ様を鑑定した。あれ、ヒノカワ様の発火がL5になっているな。


「この魔術は、相手の同意が無いと発動出来ないのかい?」


「いや、そんなこと無い。ただ、許しも得ず探るのは無礼だからやらない」


 リュウエンさんの問いにワシは事実を応えた。すると、ヒノカワ様が混ぜ返した。


「無意識のうちに若干は発動しているようだよ。私との初対面は見ものだった。

 そう、この魔術の本質は、術者自身の観察力を限界を越えて強化する事だと思う。鑑定対象と天の彼方へも少しだけ魔力が流れているが、一番多いのは術者自身を渦巻く魔力だ。

 話は変わるけど、魔闘術が私と同じ位熟達したと鑑定しているんだよね。だったら、試してみて欲しい事がある。

 イモハミ婆さん。地形を変えるような魔術を行使できる場所に案内して欲しい」


「下流の方の少し離れた岩場が丁度良いのかも知れんが、私は警報を張る以外では外に出ないし詳しく無いよ。戦士を呼ぶしかないね。

 おーい、何人か来てちょうだい」


「その間にタツヤ君には、神託で得たと噂の高揚を披露して貰おうかな」


「これも、戦士が居ないと効果が判り辛いのだが……丁度来たか。

 高揚の実演に協力して欲しい。

 力を合わせて、妖魔を倒し明日を勝ち取ろう。えい!えい!おー!」


 何故か、一拍遅れてスミレ坂まで掛け声を出している。さらに、数秒して、リュウエンさんが疑問を発した。


「幻影を見せる魔術? 何の意味があるんだ?」


「あはは、面白い。戸惑ってる。私と戦士達をよく見ると分かるわ。タツヤやヒノカワ様がまとっている魔闘術と同種のオーラが見えるでしょ」


「複数人に魔闘術を掛ける魔術だと! 人数によっては、相当の戦力強化になるぞ! 」


 スミレ坂のオーラは戦士達より強く、魔闘術L1相当にみえる。そっか……直接戦闘する予定の無い人にも効くんだ。しかも魔力が大きい分魔術士の方が効果が高いんだ。新発見だな。


 戦士達に案内され岩場に向かう間に、ヒノカワ様と魔闘術の使い方について少し話をした。


「魔闘術の何時もの使い方見せてくれないか、確か弓矢を使うんだったよね」


 ワシはヒノカワ様に促されるまま魔力矢を放った。岩の表面が少し削れた。


「これが、大鬼(おおおに)の即死を狙った威力の魔力矢です。戦局によっては、魔力の温存の為に弱めたりもします」


「? 弱めたら、大鬼を倒せないんじゃないか?」


「ある程度のダメージを与えたら、後は周りの精鋭戦士達が始末してくれます」


 また、リュウエンさんか、後で兄弟弟子にでも聞けば良い他の人と比べると真剣さが違うな。


「次は、魔力をもっと込めてくれないか? そうだな、開眼したてのハナハミ嬢の総魔力程度を頼む」


 言われるまま放った魔力矢で、人の背丈程もある岩が砕けた。


「威力はギリギリ合格点かなぁ〜。こうやって、魔力自体で弾を造る事は出来ない」


 ヒノカワ様が、隣の岩を砕いた。


「試してはいるのですが、こんな感じにしかならず、上手く出来ません」


「魔力操作と遠視かなぁ〜。タツヤ君、大戦までに、遠距離から妖魔王に魔力弾を叩き込んで倒せるようになっておいてね。おじさん歳だから、そろそろ楽がしたいんだよ」


 何事?本当に唐突な人だなぁ。でも、機嫌を損ねちゃ駄目だ。


「畏まりました。若輩者ですが全力を注ぎます」


 ……何か微妙な沈黙が流れた気がするが、変なこと言ったか?


「私らは、四大を修めた魔術士の末裔だ。ヒノカワ殿の魔術以外としては、土魔術が使える。土操作を紹介しょう」


 沈黙を破るようにリュウセツさんが切り出した。ワシは、クエスト達成の切っ掛けにする為に食い入るように見た。

 土操作は文字通り地面が生き物のように揺れ動く魔術だった。


「この魔術を利用して掘りが造れたりするのですか?」


 好奇心に駆られたワシが質問した。


「可能だ。実は、土壁という魔術が別途存在するが、今は誰も使えん。彼方此方壊れてもう使えんが、昔は壁がシカ村を取り囲んでいたんだ」


 防備を固めるのは得意そうだな。だから、自信を持って議論できたんだな。


 他には魔術を披露する人はおらず、雑談を続ける者も居たが、他は自然と解散した。




 ーーーー

 タツヤとヒノカワの鑑定結果


 タツヤ

 呪術士技能L1/舞踊L1/動植物知識L2

 布作成L2/石器作成L1/木工L1

 弓矢L3/斧L1/槍L2

 忍び足L3/周辺警戒L2

 魔力操作L1/魔力強化L2/MP強化L1

 治癒術L3/再生L1/解毒L1

 魔闘術L3/鎮静L1/高揚L1

 鑑定L1/警報L1


 ヒノカワ

 弓L4/槍L3

 魔力操作L2/魔力強化L2/MP強化L1

 治癒術L3/再生L1/解毒L1/

 洗浄L1/鎮静L1/魔闘術L3

 発火L5/火炎操作L5/鎮火L1

 水作成L4/水流操作L5/水温操作L3

 水浄化L1/乾燥L1/液化L1

 言霊L3/風操作L3/落下制御L3/飛行L2

 直感L3/警報L3/遠視L3

 地域情報把握(対象:魔物)L1


次は、リュウエンさんにスポットライトです。

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