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始めての戦闘

 トンビに戻って10日程の間に、魔術が2つも使えるようになった。

 最小限の治癒術に加え魔力を巡らせて身体能力を強化する事が出来るようになった。クサハミ婆さんによると、他には猪村の大魔術士ヒノカワが使え、魔闘術と言うそうだ。

 弓も練習場の的相手なら、問題なく早弓が出来るようになった。その後、練習場所は森や湿地に変わり、どんどん実戦的になっていった。


 帰還してから一カ月後、戦士長を含む腕利き5人に同行する形で森の奥へと進んでいった。1時間程進んだ所で身を隠すよう指示があった。どうやら、敵が近くに居るらしい。ハンドサインで指示された方向を注視すると、50メートル程先に小鬼が3匹歩いているのが見えた。その間にも皆は次々と配置についていった。

 ワシのそばに槍を構えた二人、左右に少し離れて弓矢が一人ずつ、見えはしないが一人は退路を断つ為に回り込んでいるはずだ。


 30メートル程に近づいた時、合図があった。


 ワシは、素早く弓を連射した。一匹あたり2本ずつ計6本命中させ、教えられた通り後退した。左右からも同時に射られており、すぐに槍で止めがさされ、集合の合図が出た。

 そして、矢だけ引き抜いて急ぎ村に向かった。本来なら、有用部分の剥ぎ取りも行うが、ワシの安全を優先するため、反省会も村に戻ってからだ。


「敵が見えるだけとは限らない。周りの警戒を忘れるな。音も大きい。もう少し上手く気配を隠せ。標的の優先順位も甘い。当てやすいものではなく、効果が高いものを何時でも考えろ。それと、当てた後に油断するな」


 皆から多くの反省点が雨あられと浴びせられた。


「とはいえ、初戦とは思えぬ動きだ。戦士としても十分やっていける。タツヤよくやった」


 最後は、戦士長が褒めて締められた。正直、誇らしさと嬉しさが込み上げた。


 それから、5日間実戦訓練が繰り返され、様々なシチュエーションを経験した。自分のミスで気付かれたケース、足止めに失敗し接近を許したケース、ワシだけ二つ目の敵に気付かなかったケース、様々な失敗をし、自分の至らなさを痛感した。


 しかし、20匹以上は倒したはずだが、クエストが完了しないのは何故じゃ。


 6日目の実戦訓練で急に退却の指示が出た。訳が分からぬまま、身を屈めて進むと、突然戦士長が叫んだ。


「まずい、気付かれた。ここで迎撃する。まずは、小鬼の足止めだ」


 5人が即座に弓の連射を開始した。みると70メートル位先に、小鬼が5匹と一際(ひときわ)大きな妖魔が一匹いた。あれが、話にあった大鬼(おおおに)という奴か? ようやくワシも連射に参加した。


 しかし、遠いためか大鬼には矢が刺さらない。いや! 遠いせいじゃない。硬いんだ。それから10位数える内に、20メートル程度まで接近された。その間に、4人が前進し大鬼に槍と斧で対抗し始めた。

 あっという間に大鬼は傷だらけになったが、全く怯んでいない。一人が大鬼の棍棒に吹き飛ばされた。腕が変な方向に曲がっている。


「大丈夫だ、タツヤ! 二人で離脱するぞ!」ワシの横にいた戦士に大声で退却を指示された。


「でも、このままじゃマズイよ」反射的に反抗しながらワシは何か手がないか考えた。


『そうだ、矢に魔力を込められないか?』思いつくまま矢を射たところ……大鬼の上半身が吹き飛んだ。一方、ワシは急速に視界が暗転していき意識を失なった。



      ◇ 



 気がつくと何人もの顔が見えた。ワシが左右を見渡すとほっとした空気が流れた。


「タツヤ、そのまま横になって居なさい。無理に動こうとしては駄目だよ。

 おい、アマカゼ! 直ぐに粥を作って来なさい。塩をケチるんじゃないよ」


 村長の声だ。続けて状況を説明してくれた。ワシは丸一日意識を戻さなかったらしい。寝息が安定し、そろそろと思い、皆で起してくれたそうだ。


「安心しろ。ナガオノを含め皆の怪我は治っておる。話は明日じゃ。今日は、粥を食べて休んでいろ。アマカゼも控えさせておくから、何でも頼んでくれ」


 そう一方的に言い捨てて、母さんとアマカゼを残して皆は去って行った。


 母さんとアマカゼに事情を聞いてみたが「身体を休めるのが先」と全く取り合ってくれなかった。恐らくは、魔力の使い過ぎで身体を痛めたのだろうが、何の説明も無いのは不安なものじゃ。ただ、粥を食べるために身体を起こした感じでは大した事なさそうだ。


 しかし、暇じゃのう。どうやら、アマカゼは歌がレベル2みたいじゃのう。その事に気づいてワシは目を大きく開けた。


【魔物狩りクエスト完了】

 クエスト報酬:鑑定1Lv


 鑑定とは、他人の技量を見破るスキルなのか?いや、人だけでは無いようだ。目を凝らせば、他にも色々見える。


【クエスト:魔術のレベルアップ】

 高レベルの魔術は、いずれも決定的なパワーだ。

 いずれかの魔術を3Lvまであげて、偉大な力としよう。


 クエスト成功時報酬:選択した未知魔法一つ1Lv

 クエスト失敗時罰則:無し

 クエスト期限:10年(目標7年 )


補足説明:

 1SPは通常の修行一年分に相当する。魔物狩りによるSP取得は、数に加え戦果への貢献度も関係する。魔術のレベルアップに必要なSPは、才能が通常の場合レベル3までで35SP程度である。


 またクエストか……まあ、じっくりすれば良いじゃろう。


 そう言えば、自分も鑑定出来るのか?


 呪術士技能L1/動植物知識L2

 布作成L2/石器作成L1/木工L1


 魔力操作L1/治癒術L1/魔闘術L1/鑑定L1


 弓矢L3/斧L1/槍L1

 忍び足L2/周辺警戒L1


 うーん、転生前に聞いた全素質とやらの影響か?やたらとチート臭がするな。

大鬼を一撃で倒した技に関心が集まります。

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