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カメレオン(ラノベ風)

『もうすぐ夏休み。大学生になって初めての長期休暇にワキドキしてる事と思う。だからほら、課題をやるからとりあえずカメレオンを脱皮させてこい』


「…………」


冷房の効いた部室兼実験室の部屋で、私は細く長い息を吐いた。

半日パソコンを見ていたように目が疲れ目蓋を閉じると、この手紙を書いたであろう人物の顔が浮かんできた。

そいつは不精髭とワカメみたいな髪型で大学生に見えず、新入部員なんてまだ顧問の教授と勘違いしているのがいる。


「つうか何で私なのよ。馬鹿? 阿呆? 間抜け? あぁ駄目だ! 自分の語彙力の無さにムカつく!」


カメレオンがいわゆる隠語なのは私も知っている。

入部早々見込みがあるとかで、それの捕獲と皮剥きに付き合わされたから。

蝉のやかましい声にふと目線を上げれば、長方形の机に乱雑に置かれたフラスコやらビーカーやらが目に入った。

その机が実は蓋になっていて、中に『何か』が入ってるってのは、部員以外誰も知らない事。


「……とっとと終わらせよう。夏休みが無くなっちゃう」


机の上を片付けて蓋を開ける。

中の空洞は一見何も入ってないようだけど、私は確かにある物を掴む。

不可視のはずなのに、鋭利なそれが太陽の光を反射した気がした。

私にも見えないから振り回す際は気を付けないといけない、昔先輩の誰かが誤って腕を切り落としたらしいし。

私は部屋を出た。途端に熱気が私の髪を揺らし、不快感をこみ上げさせる。

ドアの横を見ると部活の表札が落ちていた。

誰だ悪戯したやつ、刻むぞこら。


『横田順彌著同好会』


……未だに読めないのは私だけかも。



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