三話 森の癒やし手
リングの起動時間内だったので、そのまま王都へ移動した。まさにノータイム旅行ってやつだね。セレヴィアンさんが迎えてくれると思ったら、豪奢な儀礼用の神官服を着た、神官さんが二人で待っていた。
「お待ちしておりました。リーグラスさま、こちらへ」
一人はプリムラを連れて、ボクとは別の部屋に向かうようだ。
「リィ、プリムラも心配しないで。わたしはここで別れるけど、この人たちに任せておけば大丈夫だから」
言葉の割に心配そうなエフィルさんも、ボクたちとは別の建物に向かう。いまさら取って食われる事も無いと思うけど、一人になると不安を感じる。いつもプリムラが側にいたし、それが当たり前になっていたからなぁ。
自分で思う以上に寂しがりなんだと、少し情けなくなった。
『不安なら、私が付き添いましょうか?』
えっと、いえ、一人で大丈夫です、エフニさま。さすがにこんな事で神さまを煩わせるのは恐れ多い。
『そう、ですか……』
そんながっかりした声で言われると、なんとも言えない罪悪感が……なんて焦ってる間に、奥の院の一室に到着した。初めて訪れる部屋で、来賓の人に宛がわれる部屋だそうだ。
今日はここに泊まって、式典は明日の早い時間から行われる。こちらの時間でカレの二刻と言うから、朝8時と随分早いスタートだ。
「夕刻には湯浴みの準備が出来ます。呼びに参りますので、身体を清めて明日をお迎え下さい」
神官さんはそう言い残して帰って行った。一人で部屋に残されると、初めてこの世界に来た時を思い出す。あの時はプリムラが側にいて、驚きはあったけど寂しくは無かった。
すうっと目の前に黒髪の美少女が現れる。美少女という表現は適切じゃ無いけど、美しい事は間違いないエフニさまだ。今日は市松模様の藍染めの着物で、おかっぱ頭に似合って日本人形のようだ。
「明日の式典が不安ですか?」
「そう、ですね。人前に立つのは得意じゃ無いし、てっきりすぐに説明があると思って来たのに、放置プレイですから」
プレイじゃ無いけど似たようなものかな。どんな意図があってか分からないし、ただ忙しいだけで他意は無いかもしれないけど。
「昔話をしましょうか、たいぞうと私が初めて出会った時の話です。退屈しのぎにはなるでしょう」
そうして話してくれたのは、ボクの知らないお祖父ちゃんの若い時の話だった。
「あの頃の私はカメラ店のショーケースの中で、お店に来るお客の姿を見ているだけでした。自分がどうしてこんな所にいるのか、いつからいるのかは覚えていませんでした」
「周りを見ても黒や銀や白に染められた、冷たく硬い金属の塊があるばかり。まさか自分もその一つとは思ってもみませんでしたが……」
「そのうちに、一人の若者が私をじっと見詰めているのに気付きました。誠実そうな顔付きで、短く刈った髪が活発な印象を与える若者でした。着ているものは所々が汚れて、お世辞にも身形が良いとは言えません」
エフニさまは何かを思い出したように、ふっと笑って少し頬を赤らめた。
「今にして思えば、あの時に私はたいぞうに一目惚れしたのかもしれません。それからは毎日夕刻に訪れる彼を、心待ちにするようになりました」
「何日かが過ぎた時、中年の男性が私の身体に手を触れました。私の身体と言ってもそれはレンズなのですが、不思議な事にレンズを触られる感触が、私自身にも直に伝わって来るのです。脂ぎった感じの嫌らしい手つきで、すぐに逃げ出したくて身が竦む思いでした」
「幸いにも店主の方が何かを言って、私は買われずに済みました。男性は顔を真っ赤にして怒っておりましたが、店主から二言、三言と告げられると、途端に機嫌を直したようでした」
「その少し後にたいぞうが来て、店主の方に先程の出来事を伝えられて、驚いた表情で話を聞いていました。最後には突然床に頭を付けて、何度もお礼を言っていたようです。それから財布の中から数枚のお札を出して、それを渡していました」
そこでエフニさまが黙ってしまった。目を閉じて昔を思い出しているのか、しばらく静かな時間が続く。それを自分から壊してはいけないように感じて、ボクも黙っていた。
「……そうして、私はたいぞうのもの、になりました」
ものになった、という言葉がやけに耳に響く。聞いた瞬間に自分の耳が熱を持って、なんだか恥ずかしい気分になる。身内の秘め事を知ってしまったような妙な気持ちだ。
それから少しして湯浴みに呼ばれて、夕食を食べた後は元の部屋に戻って就寝となった。別れたプリムラともエフィルさんとも会えなかったし、二人がどこにいるかも分からなかった。
その日の夜は久しぶりにお祖父ちゃんの夢を見た。楽しそうに風景写真を撮るお祖父ちゃんの様子は、いつかエフニさまが一緒に見ていた風景なのだろうかと思った。
◇
翌朝迎えに来た神官さんと一緒に、奥之院の一室へ向かう。ここはセレヴィアンさんの部屋だ。
「リーグラスさまをおつれしました」
『中へどうぞ』
部屋で待っていたセレヴィアンさんは、いつもの神官長姿ではなかった。雰囲気も硬くて仰々しいし、何より着ている服が違った。ここまで連れてきてくれた神官と同様、儀礼服に身を包んでいる。
「よく来ましたね。少しお話がありますので、まずはお座りなさい」
部屋に二人きりになるよう人払いをして、ボクに正面の椅子を勧めた。セレヴィアンさんの服は、神官が着ていた儀礼服とは違う。それは夏のお祭りで見た、華美過ぎないシンプルなデザインの制服だった。
セレヴィアンさんが着ているのはずっと贅沢で、凝ったデザインの歴史を感じさせる衣装だった。
「見慣れない格好で驚いたかしら。今日はいつもと違う立場なので、この服でないとダメなのよ」
立場が違う? 神官長じゃないと言う事? テーブルに置かれたお茶は、セレヴィアンさんお気に入りの、蜂蜜入りのハーブティだ。もちろんボクも好物なので、遠慮せずに頂く。柑橘の香りとアニスの甘い匂いが同時に広がる。
「急な話で悪いわねぇ。ちょっと、周りがうるさくなり始めたのよ。わたしたちの目の届かない所でも、あなたたちを守れる立場が必要じゃないかと思って」
ボクだけでなく、プリムラも一緒にという意味だろう。神殿にいても噂話として黄金の林檎の事や、急に現れたボクの双子の事、『森の呪い』に関する事など色々耳にする機会が増えた。
「エフィルさんがやった事にする、と伺っていたのですけど、タネを明かしてしまっても良かったのですか?」
「度重なれば顕るる、ということでしょうね。そう何度もエフィルだけが、と考えた者がいて、真相を探られたとしてもおかしくないわ。それに、なにしろイドゥンさまが来る人に吹聴していらっしゃるそうだし」
ちょっw、女神さま何してんすかwwwwww
それはあれか、林檎を頂いて以来訪れない、ボクに対する嫌がらせか何かか。ホントに困った女神さまだなぁ。お礼しなきゃと思うけど、言うべき事はしっかり伝えよう。
他に差し迫った問題は無いかと思案していると、セレヴィアンさんが珍しく驚いた顔をしていた。
「お初にお目もじします。エフニさまであらせられますか?」
「ご丁寧に痛み入ります。この者の守護を担っております」
いつの間にかボクの後ろに立つエフニさまと、セレヴィアンさんが挨拶を交わす。出てくる時は一言くらいあってもいいんじゃないか。
「神さまは美しい姿の方が多くいらっしゃいますが、エフニさまも随分とお綺麗な方ですね」
いえ、そんな事……と、背中から照れた様子の声がする。神さまです、キリッ! ってタイプのはずなんだけど、おだてに弱いエフニさまだった。
「よろしければエフニさまも、一緒にお耳を傾けて下さい。今回のリーグラスの『聖人』認定は、功績を鑑みれば異例とまでは言えません。ただし……」
「ボクがドライアード、なのが異例なんですね?」
「話が早くて助かるわ。過去に例の無いことなので、一部の氏族たちからね……ま、どうこう言わせるつもりはないけど」
ニッコリ笑う笑顔に凄味を感じる。今日のセレヴィアンさんは美人司書の趣を捨てて、老舗旅館の美人女将な感じだ。
「理由はやっぱり、『森の呪い』と黄金の林檎ですか?」
「そうね、その二つで十分なんだけど、あなたがもたらした別世界の知識のこともあるから、充分以上の功績ね」
今までも特別扱いして貰っていたと思うんだけど、これ以上となると悪目立ちにしかならないんじゃ。ボクとしては気が付いた事は改善したいし、それを自分の手柄にしたいとは思っていない。
たぶんプリムラもそうだし、神殿で暮らしていると周りがそんな人ばかりなので、無私無欲の精神が養われる。
コンコンと扉が鳴って、先程案内してくれた神官さんが着替えを持って入ってきた。
「間もなく式典が始まります。リーグラスさまはこちらのお召し物に、お着替え下さい」
セレヴィアンさんが立ち上がりながら、目を細めてボクを見詰める。何だか嫌な予感をさせる、悪戯を企んでいるような目だ。
「さきに行ってるわね。リーグラスはきちんと着替えて、威厳を持った態度でいらっしゃいな。何しろ今日から『森の癒やし手』と呼ばれるのだから」
ちょうど飲み干そうとしたハーブティを吹き出してしまう。ちょ、なんですかその厨二くさい呼称は!?
「え!? あの、セレヴィアンさま?」
「聖人に認定されると、二つ名が与えられるのよ。それはイル・ド・リヴリンの国王から下賜される正式な名称だから、断ることは出来ないわ。良かったわね~」
いや、なんですかその満面の笑みは! 絶対楽しんでるでしょ! 誰かー、ここに悪い大人がいるよー!
◇
式典は王城で行われると思っていたら、そのまま王都の神殿で行われた。建物こそ奥之院から大聖堂へ移ったけど、徒歩何分というレベルの話だった。
そしてボクは今、猛烈に緊張している。目の前の空間に、左右の壁際にずらっと並ぶエルフさんの集団に、人生初のピンチを感じていると言ってもいい。
何よりも真横にいる人が……
「エフィルさん?……」
「エ・フィ・ルね? 緊張してるみたいだけど、大丈夫?」
大丈夫だったら、こんな表情してないですよー、ヤダー。
「今日のわたしは、リィのエスコート役だからね。難しいことは無いから、黙って付いてくれば平気よ。さぁ、前に進みましょう」
エスコート役という彼女の頭には、碧い宝石のちりばめられた銀細工のティアラと、胸元に大きな真珠をあしらったネックレスが輝いている。
着ている服もいつもの白を基調に紺色で縁取られた、どちらかと言うと質素な神官服とは違っていた。いつかの晩餐会の時のようなドレス姿だ。
そう言うボクの服も神官見習いの物とは程遠い。薄い水色の神官服に、頭から肩までを覆う白いヴェール、首から胸元に垂れる金糸で刺繍された、幅広の帯という出で立ちだ。この帯はストラとか言うのだっけ?
胸元にはフレイ神殿の紋章でもある、弓と麦の穂を象った銀製の首飾りも着けていて、派手さは無いけど身分が高そうに見える。
進むにつれて周りの大人たちに、異様に思えるほど注目されているのが分かった。事前に言われていた異例という事実への反応なのか、ボクの手を引いて先を歩くエフィルさんの養子という事への視線なのか。
今まで表立っての行動は無かったし、ほとんどは神殿のお手伝い、誰かと一緒に行動する事ばかりだった。自身が表に立って注目される機会は無かったと言っていい。
緊張で右手と右足が同時に出そうな感覚に襲われながら、なるべく周囲と目を合わせないようにゆっくり進む。もう少しで王様の前という所で、強烈に目を惹かれる人に目が留まった。
明るいブルーグレーの肌に、栗色の巻き毛。切れ長の目は青くて、耳もとがっている。エルフさんの肌の色をダーク系にした……まさしく、ダークエルフに見える。
ボクが立ち止まったのに気付いたのか、エフィルさんが小声で教えてくれた。
「彼女はケラッハ・ヴェールから来た特使よ。あの国から使者が来るのはとても珍しいわ。それだけリィが注目されているのね」
いつもの自分なら、ダークエルフきたー! なんて調子に乗ってるだろうに、とてもそんな気分になれない。エフィルさんの説明を聞いても、意味を理解するのでやっとの心境だ。どんだけ緊張しいだよって、自分で自分を叱りたくなる。
ようやく玉座の前に到着して、そこで恭しく膝をついて頭を垂れた。エフィルさんはそのまま玉座の後ろに進んで、セレヴィアンさんと王様の間に立った。ん? 神官長だけかと思ったら、大神官も関係あるのかな。
「よく来たね、リーグラス。私が27代イル・ド・リヴリン国王だ。この度の働き、誠に見事だった。国民は皆、大変に感謝している。普段の神殿での働きも、フレイヤさまの巫女に恥じない優秀さらしいね。偉大な先達に名を連ねるのも、神の思し召しかな」
頭の上から聞こえて来るのは、王様と言うには随分と軽い口調で、緊張していたのが馬鹿みたいに思えてがっくりきた。しばらく呆けていると玉座の前に立つ神官さんに、立って王様の前に進むように言われた。
下を向いたまま深呼吸してゆっくり立ち上がる。動作は深呼吸だけど、意識の上では大きなため息だった。ボクの正面には綺麗なアッシュ・ゴールドの、長髪のイケメン中年が居た。
エルフさんなので外見上は、中年と言うより二十代後半くらいに見える。それでもこの世界で一年近く過ごす内に、エルフさんの年齢は目元と声に表れる事が分かった。王様は見た目よりはだいぶお年を召した方に思う。
「偉大なる聖人に列なる者として、『森の癒やし手』の称号と共に、この証を授けよう」
そう言って王さまが手ずから、ペンダントをボクの首に掛ける。胸元には二個のペンダントが並ぶ事になった。着け慣れていないのもあるけど、妙に気恥ずかしさを感じる。
「ほぅ……そうしてみると、なかなか堂に入ったものだね。義理とは言え、私の孫に相応しいたたずまいだ。これからはリーグラス・クーラ・ヒルメネルを名乗るように」
さすがに王さま自らに褒められると照れる……ん? ちょっと待て。
なにか今、とんでもない事を口にしなかったか、このイケメンオヤジ。
「えっと、あの、いま、『まご』って……」
「そうだよリーグラス。娘の養子となったのだから、当然私の孫になる。これからは王族の一員として、相応しい振る舞いに励むよう期待してるよ」
娘の養子? えーと、ボクはエフィルさんの養子になっただけで……ギギギと音がしそうなくらい、ぎこちなく首を向けた先に、ものすごくいい笑顔のセレヴィアンさんがいた。あの顔は絶対に、全ての事情を把握している人の笑顔だ。
「ごめんなさいね、リーグラス。この子ったら、昔から悪戯好きで。黙っているよう頼まれていたから、今まで説明出来なかったの」
「お祖母様、いい加減子供扱いはやめて下さい。これでもこの国の王なのですよ?」
「100年ちょっとしか生きてないのだし子供じゃない。こんな小さな子相手に、意趣返しなんて考えるし。言われたくないなら、もっと大人におなりなさい」
「そ、そうは仰いますが、エフィルから話を聞いた時どれ程お……」
オホンッ! と咳払いが響いて、二人のじゃれ合いが止まる。先程の神官さんが、少々恐い目で王様を睨んでいた。まぁねぇ、国賓も招いての式典なのだろうし、二人ともくだけ過ぎてる気がするよ。
その後は式は粛々と進んで、神官長のセレヴィアンさんによる、フレイ神の祝福の祈りや、氏族の人たちのお祝いの言葉があった。お祝いを受ける立場なので、途中からは玉座の左、エフィルさんとセレヴィアンさんの間に立って来賓を迎えた。
物珍しそうな目、明らかに媚びを売ろうとする目、ボク自身に興味がありそうな目。色々な人の思惑に晒された時間だったと思う。
『大丈夫ですか? あなたは昔から、ハレの場が苦手だから心配です』
心配そうにそっと心に話し掛けてくれるエフニさまに、大丈夫です、と心で返す。そうか、エフニさまは昔のボクを知っているんだな……
最後のお祝いの人が列に戻って、式典は終了となる。本来ならこの後は各自で御歓談を、となるのが慣例だけど、ボクは聖人とは言えまだ子供。大人の相手はエフィルさんに丸投げして、セレヴィアンさんと二人で大聖堂を後にした。
二人とも最初からそのつもりだったので、特に問題は無いらしい。
「疲れたでしょう。必要な事だったけれど悪かったわ。エフィルの事も今まで黙っていてごめんなさいね」
「えーと、やっぱり王女さまってことに?」
「そうよ。あれが遅くに作った子で七番目の王女なの。下にもう二人、妹と弟がいるのよ」
「セレヴィアンさまも、お祖母様って呼ばれてましたよね?」
「あれの祖父、先々代王のお后さまだったのよ、こう見えて。息子の代まではフレイの森を中心に、あちこちで戦火が広がっていて……わたしと孫だけが生き残ったわ」
初めて見た寂しそうな笑顔だった。落ち着きがあって知的で、少しお茶目で素敵な女性だと思っていた、セレヴィアンさんにこんな過去があったなんて。いつか触れる事があるかもしれないけど、重そうだなと思う。
「それにしても……聖人って、王様が認定するものなんですか?」
「あら? あなたが前にいた世界では違うのね?」
「えぇまぁ。前に少しだけ話しましたけど、こちらで言う神さまを奉る概念が、『宗教』と呼ばれる系統化された教義と組織になっていて、聖人はその宗教の教義に応じて、最高責任者が任命するものです」
「んーそうすると、わたしが任命者ってことになるのかしら。私たちの場合は『聖人』は国の役職みたいな物ね。常設では無いし、推薦は私たち神官の位の高い者、正神官といわれる十階位以上の者が行うの。今回の推薦者はわたしね」
えぇ、それは良く分かってますよ。エフィルさんは立場上推薦し辛いだろうし、神官長なら異を唱える人もいないだろうし。
「以前の世界では聖人は神の使い、奇跡を起こす超人のように思われていました。でも、こちらではそうでは無いみたいですね」
「そんなおとぎ話みたいな人物じゃ無いわよ。過去の聖人もたいていはドラゴンの討伐だったり、魔王と戦って追い返したり……」
「ちょっ、ちょっと待って下さい! ドラゴン? 魔王? ナンデスカソレ」
「言ってなかったかしら? いるわよこの世界には。ドラゴンは、最近見なくなったわねぇ……魔王も私は会ったことも見たことも無いけど」
話だけ聞いてると、かなりおとぎ話の住人な感じしかしないんですけど。ホントに聖人って実在の人物なのか? それよりも問題はドラゴンだの、魔王だの物騒な存在がいるらしいって事だ。
そりゃあ妖精や精霊が普通に存在する世界だし、魔物って危険なものも出るしで、いてもおかしくないとは思うけど。詳しく調べないとダメかなぁ。
「そうそう、あなた以前に王都で本を調べたいって言っていたでしょう? 図書館……だっけ、そういう施設は無いのだけれど、過去の出来事を記録して本にまとめる仕事をする人はいるのよ。王城にいるから聖人になった今なら、自由に会いに行けるわ」
おっと意外なところで望外の優良情報が。早速その人の名前を聞いて、時間を作って会いに行く事を決めた。せっかくだからプリムラも一緒に連れていこう。




