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遠い過去の記憶

作者: KENKEN

あなたはばあちゃん子ですか?そうでなければわかりにくいかもしれません。少しでも共感できたら幸いです

「もうすぐ迎えが来るわ。」

ばぁちゃんがいった。

病床でひとまわり小さくなったばぁちゃん。


私はその時6歳…この時の言葉は19歳の今でも忘れず覚えている。


両親が共働きだったこともあり一人っこだった私の面倒を4歳までずっと見てくれた。昔はやんちゃだったらしく仕事から帰ってこない両親を泣きながらばあちゃんと一緒に待っていたと母親はいった。

嫌な顔せず私の側にいてくれたお陰で私は幼いながらも人思いな人間になれたと思っていた。ある日保育園の親子参観があった。

以前にも触れたのだが両親は共働きだったのでばあちゃん家が親子参観にきてくれた。

腰に手をあてゆっくりと歩いてくる。私は我慢できずばあちゃんに走り寄る…

その日の参観で私の家以外母親か父親が参観に来ていた。そうだ今日は日曜日なのだ、しかし両親は仕事が忙しかった為にばあちゃんがきてくれたのである。


話はそれたが本題へ移ろう。

その日の授業は竹馬作りであった。察しの通り老婆が制作できる代物ではない…

ばあちゃんは顔を曇らせ先生に何かいっている。

先生が寄ってきて「じゃぁおばあさんと先生と一緒に作りましょうね」

といわれた。

幼かった私には全く理解ができない展開であったろう。いや訳を説明しなかった保育士にだって説明する義務があると思うのだがその時の空気は大体私にも伝わっていたのかもしれないと昔を振り返った。


次にわかっていたかのような事が起こった。ほとんどが先生によって作られたのである。

あの時ばあちゃんじゃなくて父親か母親がきてくれていればあんな惨めでどこかにいきたい感覚はうまれなかったであろう…本当にどう表現すればよいのがわからないこの感覚は私の目から涙を流した。


あの時ばあちゃんの気持ちになれなかった。

ばあちゃんには私の気持ちは痛いほどわかっただろう…でも体は無理をできない。

苦汁の決断だったんだろう…。

無事竹馬制作が終わりばあちゃんと一緒に家に帰宅することになった…

その時の家は保育園から約10分のところにあったのだからやり切れない気持ちの私は最後の信号を渡るとばあちゃんを置いて走ったのである。保育園から一言も言葉をかわすことなく私は走った。

後ろからばあちゃんが私の名前を呼んでいた。

「ばあちゃんなんて嫌いだ」

私は今日の嫌な気持ちをばあちゃんにぶつけた


私が玄関の前に座っていると遅れてばあちゃんが歩いてきた。

「ばあちゃんでごめんな」

ばあちゃんはいった。

「なんでばあちゃんがきたの?なんでお母さんじゃないの?」

今でもいったことを覚えてる。悪い足をひきズリながらばあちゃんはやっとの思いで保育園を往復した。

なのに何もしらない私はばあちゃんにあんなことをいってしまった。「ごめんね。ばあちゃんでごめんね」

なく私を撫でながらばあちゃんはいった。




ばあちゃんも泣いてた。






なんて謝ればいいんだろ?ばあちゃんは何をしてもずっと私の味方だったのに。行きたいところだって言えば連れてってくれた…

足が悪いのに落ち着きのない私の歩幅に合わせてくれた。



なのに。



19歳の時母親から教えてもらった紛れも無い事実に胸を引き裂かれた。



思いだせば涙がでてくる。ときどき物置に置いてあるあの時の竹馬をだしてみる…なんて軽いんだ。私の胸くらいしかない竹馬…片手で持ち上げることができるほど細く軽い竹の棒に先生と一緒に作っていたばあちゃん。どんだけ辛かったんだか今わかった…




あの日6歳の時に聞いたことばはあの何十年たったらわかるのだろう…。



あと何年たてば許されるのだろう。



笑ってたばあちゃん

泣いてたばあちゃん



全部のばあちゃんが好きだった。

いやっこれからもずっとばあちゃんは忘れない。




ありがとね










※この物語はフィクションです。

最後までありがとうございました。もういないばあちゃんは何を自分に問い掛けたかったんだろう?もし今ばあちゃんと話ができたらなんていうだろう。眠れなくなってしまいます(笑)

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