初めて踏み入れた〝ホストクラブ〟という世界
夜の街を目的もなく歩く。
親が厳しく、一人で歩いてること自体新鮮で自由を感じていた。
完全に親の支配から解放されたわけではない。
でも、大学のために一人暮らしを始めた私は100%親の支配下に置かれているわけではない。
『夜の世界には足を踏み入れるな』
何度も親に言われた言葉。
だから、あえて私は夜の街を歩く。親の介入しないこの世界は完全に自由だ。
「目的もなく歩き、帰るのもいいけれど、何か物足りない。」
そんな気持ちが渦巻いて帰りたくなかった。
だから私はスマホで〝ホストクラブ〟と検索する。
近くに数件ヒットした。
適当に選んで目的地に向かって歩く。
緊張と好奇心が混ざり合ってワクワクしていた。
目的地について扉を開ける。緊張で扉がすごく重く感じた。
身分証を見せ、現実感のないまま初回が始まった。
緊張であまり記憶はない。
でも見た目がタイプな人を指名し、〝飲みなおし〟をした。
1時間の飲みなおし後、お金を払って帰宅する。
初めてできた〝担当〟という存在。
初めて踏み入れた非現実感が抜け切らず、まだ浮足立った感覚の中、帰宅する。
初めて味わった刺激に、心は満たされていた。
同時に、ホストクラブに行く前の私は心が空虚で、刺激を求めていたことに気づいた。
スマホの通知が鳴る。担当さんからのLINEだった。
緊張を感じながら返信し、寝る準備をして、一日を終えた。
いつもよりよく眠れた気がした。
〝死にたい〟そう感じていた。何年も。
でもホストクラブの中では感じなかった。帰宅途中も感じなかった。
毎日、起きている間はほとんどずっと、
感情に大きさに差はあれど感じていた〝死にたい〟という気持ち。
久しぶりに長時間感じていなかったことに気づき、私はまた行きたいと思った。
周りには言えないけれど〝ホストクラブ〟は、私に息苦しさを感じさせず呼吸をできる場所で、私を生かしてくれる命綱になると思った。
親の束縛が激しいほど、普通に生きれなくなる。
嘘と隠し事が上手くなり、親の知らないところで、親が禁止したところに足を踏み入れて生きていくようになるようになるなんて、とんだ皮肉だね。
最後までお読みいただきありがとうございました。




