表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王を倒した元勇者、元の世界には戻れないと今さら言われたので、王国を捨てて好き勝手にスローライフします!  作者: あけちともあき
スローライフ二年目

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

117/500

第117話 セントラル帝国で、さっくり作戦開始

 セントラル王国上空で、サクッと今回の作戦を決定する。


「俺が帝国に乗り込んで、反乱軍を怪我しない程度になぎ倒すわ」


「じゃあ、ショートを陽動にして俺が皇帝の弟を確保する」


「この国もユイーツ神教でしょ? あたし、宗教側から皇帝の弟を批判する声明出させるから」


「では宮廷の人々との折衝は私が担当しましょう」


 ということになった。

 ダンガンバビュンを分離し、パワースを反乱軍の方に飛ばす。

 ヒロイナは寺院に。


 俺とブレインの二人で、帝国の城に降り立つのである。

 突然、皇帝の間に続くベランダに俺たちが出現し、辺りは騒然となった。


「な、何者だー!!」


「無礼者めえー!!」


 突っかかってくる兵士がいるので、怪我しないように文字通り小指で転がしてやる。


「ほいっ」


「ウグワーッ!」


「落ち着けお前ら。俺はあれだ。元勇者だ。俺の顔を見忘れたか」


 堂々と宣言しながら、皇帝の間に入ってくると、そこに集まっていた連中の視線が集中してきた。


「本当だ」


「勇者殿だぞ」


「どうしてこんな非常時に勇者殿が」


「もしや我らに手を貸してくれるというのか……!?」


 奥の方の、めちゃくちゃ豪華な玉座に皇帝が座っていた。

 かなり居心地悪そうな顔をしている。


「勇者殿、反乱を収めてくれるのか……?」


「そのつもりで来た。魔王を倒して一年ちょっとで、こんなでかい戦を起こされて堪るか。俺も皇帝も、必死になってあの大戦を駆け抜けて、民と国を生き延びさせて来ただろうが」


「うむ、そうだ。朕も勇者殿も、あれを戦い抜いた。お陰で国は疲弊した。それでも、再び作物を育てられるほどに国は回復してきたのだ。それを、国が疲弊したのは朕の責任だと言って、あの阿呆が……!!」


 皇帝の弟は、魔王大戦の間、ずっと責任ある立場につくのを恐れて逃げ回っていたらしい。

 どう考えても負け戦だったもんな、魔王大戦。

 俺の登場で、人類側の戦況がひっくり返り、魔王軍を押し始めた。


 そして魔王が倒され、平和になり、国土から作物が取れ始めるようになって、いきなり皇帝の弟は反乱軍を立ててクーデターを起こしたわけだ。

 クソクソのクソである。

 よく考えるとめちゃくちゃむかつく野郎ではないか。


「いいか! 俺は! この馬鹿げたクーデターを、明日の昼飯までに終わらせて帰る!!」


 俺が堂々と宣言すると、この場に集った幕僚たちから、うおおおお、というどよめきが漏れた。


「そんなことが可能なのか、勇者殿!!」


「可能か不可能かじゃない! 締切が決まってるんだからやるんだよ! 間に合わせる! 俺も家に可愛い嫁と娘が待っているんでな」


「なるほど!!」


 この場にいるみんなが納得したようで、ほっこりした顔になった。


「勇者殿も人間だったのですなあ」


「うちも戦争が終わってから、孫が次々に産まれましてな」


「平和な時代しか知らぬ子たちです。戦争など起こしたくはありませんな」


 幕僚たちが盛り上がっていく。

 いいぞいいぞ。


 セントラル皇帝は、長いあごひげを撫でながら、うむ、と頷く。


「そうであれば仕方ない。それこそ、勇者殿にとっては国の一大事にも勝ろうな。ともに手を取り合い、この馬鹿げた戦を終わらせようぞ!」


「おう! ということで、連絡役としてブレインを置いておく。今、勇者パーティ全員がこの国にいてな。同時に作戦行動をしている」


「なんと!」


 どよめく一同。


「では頼むぞ! ブレインのコルセンターを通じて俺には連絡できる! だが俺は多忙だ! これから徹夜でこの反乱を片付けまくる! 重要な案件以外で連絡したらウグワーッて言わせるからな! あ、ちなみに何が重要かどうかは全部ブレインに聞いてくれ。こいつが重要と判断したなら、それは間違いなく重要だから」


 それだけ告げて、俺は巨大なベランダから飛び立った。

 向かうは戦場……ではない。


 ハオさんのところだ!!

 居場所はしっかり把握している。


 一瞬でハオさんの家まで到着した。


「ハオさん! 無事か!!」


「ショートさん! 無事よ!」


 家から飛び出してきたハオさんと、抱き合って再会を喜び合う。

 ともにお米を愛する仲である。


「お米はどう……?」


「倉庫に用意してあるね。だけど、反乱に乗じて暴れてる連中がいるよ。うちのお米も持っていこうとしているね!」


「なんだと!! ゆ”る”さ”ん”ッ!!」


 俺は羅刹の形相になった。

 ハオさんに案内されながら、倉庫街へやって来る。

 そこでは今まさに、暴徒化した民衆が倉庫を打ち壊しているところだった。


「やめるのだーっ!! 暴風魔法、タツマキ(俺命名)!!」


 俺の両手から、連続でタツマキが生み出される。

 それは暴徒をひょいひょい吸い込むと、上空まで巻き上げていった。


「ウグワーッ!」

「ウグワーッ!」

「ウグワーッ!」


 暴徒の悲鳴が聞こえる。

 この戦争が終わる明日の昼まで、そのままでいるがいい。


 俺は倉庫に飛び込むと、お米の無事を確認した。

 そしてハオさんに対価を払い、お米をアイテムボクースにひょいひょいと放り込む。


 よし、よしよし!

 短粒種米をゲットだぜ!!

 後はサクッとこのクーデターを終わらせて、家に帰ってから米を育てる!!


「ショートさん。戦争が終わって初めて取れた種籾よ。これを作るために、みんな必死で働いたよ! これ、横から掠め取られていいものじゃないよ!」


「分かってる。だからこそ、クーデターしてる反乱軍はクソクソのクソなのだ。俺がこの手で片付ける!!」


「頼んだよショートさん!」


「任せてくれ! はあーっ!」


 ハオさんの声援を受けながら、バビュンで飛び上がる俺。

 向かうは、帝国軍と反乱軍がぶつかり合う戦場なのだ!



お米を守り、帝国を救うのである。


やるじゃん!と思っていただけましたら、下の【☆☆☆☆☆】からスーッと星に色が付いてるやつを増やしていっていただけるとありがたいです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 高橋英樹かな?
[一言] えっ!? 皇帝の弟、ダメじゃん! 兄貴の仕事の成果を、掠め取ろうなんて!
[一言] >「倉庫に用意してあるね。だけど、反乱に乗じて暴れてる連中がいるよ。うちのお米も持っていこうとしているね!」 >「なんだと!! ゆ”る”さ”ん”ッ!!」 シュートくんのお怒りに触れるわ…。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ