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今日は、魚が獲れた。
拠点の西側エリアに小川があることを数日前に発見した。もちろん安全地帯の外側にある。危険はあるが、ウサギの肉にも飽きてきた頃だったため、嬉しい発見だった。
魚を釣るには道具がないため、拠点の東側にある森で採取した蔓を使い罠を作ることにした。
籠を編む要領で本体を作り、入口付近を徐々に狭くしてみる。以前見たテレビ番組を参考に、罠を3箇所設置して、1日時間を置くことにする。ここまでに要した時間は3日。成果を期待したいところではあった。
1箇所目は、何もなく、2箇所目は、罠が壊れていた。やはり失敗したかと、3箇所目の罠を乱暴にあげてしまい、魚が獲れていたことに、慌てたのはいうまでもない。徐々にではあるが、サバイバル環境に慣れはじめていた。
獲れた魚を拠点に持ち帰り、早速、食事の準備をする。
魚を捌くことは初めてだったが、解体スキルで難なくこなせた。
火をおこすため、腰にある袋から火打石をだし、カチッカチと、二度ほど打てば、火がつく。便利な道具だが、使用回数が5回で、あと2回使用すれば、粉々になり消える消耗品だ。
魚が焼ける間に、今日の成果を袋から出す。チャージしたいものを選別し、それらを意識しながら、チャージと念じれば、まとめてものが消え、頭に機械音が流れる。
『合計28ポイント、チャージしました』
今日のチャージ率は少ないが、魚が獲れたのでよしとする。
それにしても、まとめてのチャージは、便利だ。この機能に気づいてよかったと心底思う。はじめは一つ一つ、チャージしていたが、時間がかかる上、頭に流れる連続した機械音で、プチノイローゼになりそうだった。俺自身のレベルが低いので、精神耐性が低いことが要因だと思う。
衣食住を快適にするため、お届け便をフル活用しているが、無駄遣いがないか確認することも忘れない。ポイントを獲得するのは、容易ではないし、どんな商品が購入できて、商品のポイントがいくらなのかが、不明だからだ。
唯一それがわかる機能が、お届け履歴だ。
お届け便には、お届け履歴があり、過去に届けた商品と消費したポイント、在庫の有無がわかる仕組みだ。
初期のポイントが、18300だとわかったのは、この機能のおかげである。
「お届け履歴」
ピザ 12000
水 5500
鑑定E 100
木の棒 100
状態異常解除 10
棒術G 10
気配察知G 10
状態異常解除 10
状態異常解除 10
状態異常解除 10
袋 100
火打石 10
解体D 500
料理G 10
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透明なプレートが目の前に表示されると、お届け履歴の一覧が出てくる。
過去に購入したもので一番高いものは、ピザだった。
死ぬほど美味しかったけど、12000は高すぎると思う。何らかの効果があったかもしれないが、それはいまとなっては、謎だ。在庫は有なので、ポイントにかなり余裕ができ、生活が安定したら、再購入を検討してもいいとは思っている。ほぼないに等しいが……。ピザの空箱は大事に袋へ保管してある。
次に水だが、これは大当たりの商品だった。
瓶が割れない限り永久に水が復活するのだ。それで5500は、相当なお値打ちものだと思う。ただこの水は、お届け履歴ではグレーアウトしており、入荷予定なしとの記載があった。瓶が割れれば、二度と手に入らない商品のため、大事に袋へ保管している。
ちなみに、このお届け履歴からは、商品を購入することはできない。「〇〇が欲しい」と言葉にするか、念じなければ、購入できない能力なのだ。
お届け履歴の中で、状態異常解除が多いのは、あの緑の玉が大活躍したからだ。
安全地帯の負荷軽減は、数値はわからないが、ものすごく効果があることがわかった。安全地帯をでてすぐに、リンゴの木を見つけた時は、助かったと思った。
緑の玉もとい状態異常解除は、常備所持はしている。
スキルもランクにより、ポイントが違うことがわかった。
ただそのランクを指定することは、できないようだ。
基本は一番下のGランクのスキル玉がでる仕様のようだが、言葉や状況により高ランクのスキル玉もでるようだ。
お届け履歴からだと、鑑定はEが、解体はDがでてきた。
これは俺の推測にすぎないが、俺の能力を説明できる鑑定ランクが、Eからだったため、鑑定Eのスキル玉がでてきた説が高いと考えている。解体も、ウサギの解体ができる能力が欲しいと願い、解体Dを取得したからだ。
ただ商品のポイントがわからないため、むやみやたらに注文をつけて願うことはできない。解体スキルで500ポイントを使ったことを知らず、そのあとも購入し続け、ポイント不足になったことは、とても苦い経験だ。
あとスキル玉の色には、系統があることはわかっている。
例えば、棒術は赤い玉、気配察知は青い玉と、能力の系統において色が管理されている。
はじめはランクわけかとも思ったが、同ランクの棒術と気配察知が違う色ででており、鑑定と料理が同じ白い玉ででたことから能力の系統であると認識した。色分けをしている意味があるのかは、わからない。
またこの世界には、魔法がある。
スキルといえば魔法だと、棒術を願う前に、火魔法を願ってみたが、例の『ポイントが不足しています。チャージして下さい』との機械音が流れた。他の魔法も全滅だったが、ポイントさえあれば、魔法が使えることがわかり、年甲斐もなく喜んだ。何歳になっても魔法は使いたいだろ。
わかっていた事実だが、スキルの能力により、ポイントが違うことも判明した。魔法は高ポイントで、500以上であることは確かだ。いままで購入したスキルが、軒並低ポイントだったのは、幸いだった。
魚の焼けたいい匂いが辺り一面に漂う。
肉と果物以外の食事に、お腹がギュルギュルと鳴り、催促している。
「いただきます」と、手を合わせ、すべてのものに感謝した。