表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お届け便  作者: フクフク
本編
11/23

11




 基礎本は、とても有意義なものだった。

 俺が知りえたかった、この世界の基礎知識が詳細に書かれていた。

 現時点では、すべてを読みきれていないが、判明した情報の一覧を忘れないうちに作成しようと思う。

 えっ? 言語のお勉強はどうしたのか?

 俺なりに、頑張ってはいる……。

 ほんの先ほど、頭がパンク寸前になり「あーー」と、大声をだして、机の上に顔を伏せたけど。

 その声に反応した白銀が、寝ていた体をわざわざ起こして、俺の膝に顔を乗せ「キャン?」と、上目遣いで心配してくれた。そのあざとかわいさに、悶絶していたところだ。


 白銀の頭をなでながら、袋からペンと紙をだす。

 このペンと紙は、お届け便の素敵アイテムだ。

 ペンは、折れない限り使用できるし、紙はB5サイズの大きさで、紙を切り取るごとに、復活する。こちらも紙の外枠が、破れない限り使用できるのだ。

 どちらも消費ポイントは100。分野はちがうが、水の5500と比較すれば、相当なお値打ち品だとわかる。

 お届け履歴では、入荷未定と表示され、グレーアウトしている。ここで注目する点は、入荷未定。入荷予定なしではなく、入荷未定なのだ。一定の期間で、在庫復活すると予想している。

 お金が必要になったら、これらを売るのも一つの手だと思う。まあいまのところは、お金を必要とする機会もなければ、人と接触する機会も皆無なので、出番はない。

 ひとまず、いま訳せたと思われる部分をメモにとり、袋へ保管した。ポイント節約中のため、節約期間が終了したら、翻訳の玉で、答え合わせをしよう。


 さて次に、いままでに判明した情報のメモを取ることにする。

 まずは、この世界の基礎情報。

 三つの大陸があり、人族、魔族、多種族で、大陸が分かれている。

 人族の大陸は、十二ヶ国の国があり、生活様式は異なる。最近起きた領土紛争で、十二ヶ国となった。一部国に属さない地域もある。ほとんどの国が、魔族を敵対視しており、多種族との仲もよろしくない。

 魔族の大陸は、代々魔王が治めている。人族とは犬猿の仲で、多種族に興味はない。

 多種族の大陸は、獣人の国が二ヶ国あり、それ以外の地域を他の種族が、種族ごとで村を形成している。主な種族は、獣人、エルフ、ドワーフ、小人族、妖精族など。一部の種族は、人族を毛嫌いしている。魔族とは、仲良くなりたい。

 各大陸には、魔獣や魔物などが生息している。

 各大陸を渡るには、ポートを使用することが、一般的である。ポートとは、空間にできた歪みのようなもので、渦のような形をしていて、その中に入ると、別大陸のポートへ移動する。

 ポートは大陸ごとに、厳重に管理されている。

 突然ポートが、現れることもあるが、そのほとんどが一時的なものだ。稀に固定するポートもある。

 その他に、海を経由して大陸を渡る方法もあるが、かなりの危険を伴うため、確立されていない。

 この世界のすべての生物に魔力がある。

 人族のほとんどが、魔力を使えない。

 魔族、獣人以外の多種族のほぼ全員が、魔力を使える。獣人は、半数ほどしか、魔力を使えない。

 魔獣や魔物、鉱石などからとれる魔石を使用して、魔道具を作製している。

 魔石は、魔力の塊で――――。



「んーー」と、手を挙げ伸びをする。

 慣れないことをして、さすがに肩が凝った。

 書いてて思うに、人族嫌われすぎ……。現在進行形だけど、過去の行いが悪すぎる。

 俺も人族だけど、関わるのは、すごくいやだ。

 国の中心にいる上層部の人たちの思想がこれだとなあ……。偏見はだめだが……でもなあ、この多種族との戦争は、特にひどいんだよな。

 一部の国だとわかっていても、俺のポリシーに反する。

 それに比べて、魔族は多種族からの評判がいい。

 魔力が使えるので、生活水準も高く、魔道具などの製作も盛んだ。

 日本への帰還には、魔力や魔石の高い知識が必要だと考えているので、魔族とは、是非とも仲良くしたい。

 だけど残念なことに、魔王が次代へと代わる周期に入っていて、鎖国中なんだよな……。

 多種族は、仲間意識が高いので、まあ無難にお付合いだよな。

 まあそもそも俺が、どの大陸にいるのか、わからないんだけどね。

 地図のレベルを上げれば、地域などの詳細がでるのだろうか。

 これは熟練度を上げて、レベル上げるしか、答えはでないので、保留だな。


 レベルといえば、俺自身のレベルだ。

 誰に文句を言えばいいのかわからないが、文句を言いたい!

 平均10だ。何の数字かわかるか?

 この世界に誕生する赤ん坊の平均レベルだ!

 おかしいと思ったんだ! 責任者でてこい!

 この世界は、体力や精神に日々負荷がかかるため、母胎の中で、環境適応レベルまで上がってから、生まれるそうだ。

 稀にレベルが高すぎたり、弱すぎる子も生まれるそうだが、世界の平均レベルは10。この世界で安全に過ごせるレベルだそうだ。

 この世界にきた時、俺レベル1ですけど? 誰かその説明してくれませんか?

 もう過去のことだが、理不尽すぎて、眉間にもシワが寄る。

 俺、かなり根に持つタイプです。

 もし俺をこの世界に飛ばしたやつがいて、実際に会えたなら、誠心誠意の謝罪をしてもらう。そして、俺と同じ経験を1日してもらうのだ。

 あの精神崩壊寸前の二度と味わいたくないどん底の気分をたっぷりと経験して欲しい(・・・)


『承りました』


「えっ?! 待って! いまのは、まじで待って!」


 無情な機械音に、口にした言葉の意味を考え、血の気が引くのと同時に、ひどく狼狽する。

 俺の慌てぶりに、白銀が椅子の周りをウロウロと動き、魔樹のツルが空中でウネウネと動いていた。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ