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真珠星  作者: 夢乃マ男
5/50

親友から僕に

昼休み突入の合図とともにあいつが来るのはルーティン。

少し壊れてる日常を日常に戻してくれる存在はありがたい。

「なぁ卒業は悲しいけど、こっから結果残したら今いるメンバーも希望になるじゃん?

だからさ、行ってみない?握手会!!」


昨今のアイドルグループはファンとの距離を近づけるために、数秒握手できる機会を定期的に作っている。

僕は今まで在宅勢。つまりテレビで活動を見守ってそう行ったイベント事には参戦していなかった僕には突拍子の無い一言だった。

横綱相撲をとっていた力士がいきなり猫騙しかまして来たくらい衝撃的だ。


「それでさ、今回の握手会ってさ、握手会前にミニライブやって握手会じゃん!!そこをお前の推しのペンライトで統一して、それから卒業する娘のカラーで統一しようぜ!!それで感動してくれたらめっちゃ面白くない?最高のプレゼントじゃない?」


推しとは、自分が一番好きな娘。一番推してる娘のことだ。そんな形で彼女が注目される事はなかなからないので、ブログでその光景の感想なんて来た日には興奮冷めやらない夜をいくつ過ごす事になるのだろうか。その提案になんにも反応する余地もなかった。むしろ賛同した。昼休みはこいつに踊らされている。アイドルはテレビで観るからこそ輝いてみえる特別な存在。そんな僕の固定概念と呼ぶには痴がましいただの金銭的余裕がない自己完結を簡単にも見事にぶち壊した。

さっきまで鬱陶しかった太陽光がスポットライトみたいに感じた。そして、カーテンは僕のわくわくにBluetoothで連動してるかのようにおどりだした。

「でも、ライブ会場を統括するような事なんてむずかしくない?」

「大丈夫!おれ顔広いし、流星風流今地味に流行ってるから」

あぁそう言えばそのキーワードで話しかけられる事ふえてきてたもんなぁ。


握手会、当日。会場は同窓会?朝礼?とも言えるような知り合いばかりの顔ぶれで埋まっていた。あいつの顔の広さはこの会場より広いのかもしれない。

心理カウンセラーとかメンタリストどころじゃない。

人の心理や流行を見抜き何かをプロデュースするのが彼の才能なのだろう。あいつのちょっと引くぐらい秘めてる能力が垣間見えた。

開催場所の立地の良さもあったのだろうが、自分が好きだったものを皆が認めてくれた気分で嬉しかった。


そして親友の思惑通りにペンライトの色が変わっていた。が、そこに親友の姿がなかったのが少し悲しかった。


ライブ中も握手会中も今日を忘れないと言ってくれた我が推しの今にも泣きそうな嬉しそうな顔は凄く美しかった。テレビの中よりも。

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― 新着の感想 ―
[良い点] わかりやすい言葉でまとめられた純文学系は、胸にすんなりと入ってくるので好感が持てます。 [気になる点] 良いリズムで進んできた物語ですが、この話で崩れたように感じました。 語尾『た』の連用…
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