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真珠星  作者: 夢乃マ男
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現実とファンタジー

自分というものは本当に邪魔くさい器である。

今の自分を傷つけない為、人の目を気にしてする行動、いろんなモノから自分を守る為に世間の常識、一般的な考え方、そんな事を考えながら自分を形成していく。


それが大人になる事だと思っていた。自分の損得感情で動くことよりも波風立てぬように損を選んでしまう事があった。


世の中にファンタジーが存在する可能性を望みつつも、そんなものがあるわけないと世間一般的な考えにいつからか染められていたのだろう。


霊感。大人よりも子供の方がその力が強いとか、子供の内に体験しないと大人になってからは体験しないと言われる霊体験。

それって実は純粋な子供は周りにその体験を躊躇なく話せるだけであって、大人になると周りの目を気にして話せなくなったり、世の中が作りあげた一般から脱する事を恐れて口にしにくくなるだけなんじゃないだろうか。


一般人よりマイノリティな存在である芸能人の多くが不思議な体験を口にするのはそこに要因があるのかもしれない。

コリン星ももしかしたらどこかに存在するのかも知れない。

霊体験を多く発信するのが最近では芸人さんが多いのは、普段からオモシロイ事を言う人たちなので話半分で周りが聞いてくれる事も一因かもしれない。


突拍子もなくこんな考察に自身を置いているのは自分がよくわからない体験に直面しているからなのだ。


例の悪趣味な小説だ。

ことごとく現実とリンクしてきているからだ。


業界関係者、もしくは登場する人物達がSNSで発信したものを拾いあげ分析して未来を予測して書いただけの小説だったらよかったのだが、新メンバーオーディションを始め、合格者の名前まで見事に一致した。

仕事と銘打ちアポが取れた登場人物に取材と看板を掲げ

「SNSで夢を語ったり、未来について発信した事はありませんか?」

と、質問したが答えは全てNOだ。

そして、まるでおかしな質問をしたかのような視線を返される事になる。


挙げ句の果てにあの作者と連絡が全く取れなくなった。それだけではなくネットにあげられていた小説も消えてしまっている。


小説に関してはバックアップを取っているので問題はなかったが、この時代を何度も生まれ変わっていると言ったあの作者に聞きたい事が山ほどある。


「最後の日は平成最後の誕生日」


それが秋田憂の最後の日を指しているのなら、残り1ヶ月を切っている。

年末年始、平成最後の〇〇と名前のついた企画がたくさん開催された。

秋田憂の誕生日、1月22日。

自分に素直になるのならファンタジーを信じる。

このままだと秋田憂が死んでしまう。


もし足蹴にされて連絡を拒否したのでなく、その役目を終えて連絡を絶ったのであれば作中にヒントがあるはず。


毎日の様にスマホと睨めっこだ。

馬鹿馬鹿しい。と、笑ったら負けだ。


今日もテレビに流星風流のメンバーが出ている。

彼女たちの笑顔を見ているとこの悪趣味な小説、いや予言の書はやはり嘘のように感じる。


ただもしも本当だったらそこに待っている未来は悲惨なものだ。

ネガティブな妄想ばかりが頭をよぎる。


そこにSNS上で頼もしい発信を見つける。


秋田憂生誕祭実行委員会。


生誕祭。アイドルの誕生日を祝う為に有志が集まり自己的に何かを企画し実行するものの集まりだ。その多くは誕生日に一番近い握手会などで活動し成果を残している祝花を飾ったり会場に飾りつけを行う。

そして、アイドル達も握手会の休憩時間や握手会終わりに感謝の言葉を言いに現れたり、そこにいるファン達と写真を撮ってブログにあげたりする。


長らく流星風流オタのアカウントをやってきたお陰でほとんどオフ会のようなものには参加していないにも関わらず、毎度イベントの度にDMが届く。


今回のこの誘いもいつもだったら、丁重にお断りしていただろう。

少し自分に素直になろう。ファンタジーを信じてみよう。大好きな人を助ける為に、自分を殺すのはもうやめにしよう。


思うがままに行動しよう。


秋田憂生誕祭委員会委員長にDMを送る。


なんだか緊張した。タバコに火をつけホットミルク片手にリラックスを身体に無理強いする。

自分らしくいることってこんなにも疲れるのかと。

それを常日頃やって、人に認めてもらうあの少女達の葛藤を少し疑似体験。

自分がアイドルが好きな理由の多くが自分が諦めたものであり、彼女達は希望を見出し続けているからなのだと改めて気づかされた。

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