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真珠星  作者: 夢乃マ男
43/50

現実との一致

「みんなに、前もって送った小説よんでいただけたでしょうか?」


僕は珍しく自ら会議を進行させる。


「実在するアイドルを題材にした小説なんですけど、少し悪趣味な内容になっていまして」


フィクションと書いてあるから、問題ない。


アイドルだって一種キャラクターのようなものだ。


ファンの書いた夢小説だろ、騒ぐほどでもない。


結局のところ誰も動き出さないグレーゾーンに話を落としこもうとする発言の多い中、部署内で唯一の後輩が発言する。


「これ本当におかしな小説ですよね、投稿日時見ると一年程前の事なのに、今朝のニュースでちょろっとやっていた握手会とミニライブ?の様子が一致しているんですよね」


投稿日時、そこにまで目が行っていなかった。てっきりミニライブのサプライズを企画していた学生の誰かの悪ふざけかと思ったが、メンバーの卒業やペンライトの色を統一させるサプライズを一年も前に文字に起こしている。


「なんだ、これ。気持ち悪いな」


「ですよね!これ読んでニュース見て投稿日時に気づいた時なんか鳥肌たっちゃいましたよ、僕」


「しかも誰にも読まれない状況にしてあるのに更新が止まらない。なにがしたいんだこいつは?」


「流星風流の人気に便乗して名前を売りたいとか?ですかね?」


「誰にも読まれないのにか?」


「じゃあ、僕ら側に名前を刷り込みたいとか?現にこうやって議論の中心になってしまってる訳ですし。」


「それか書くことだけで自己満足だとか。」


「なんか論点ずれてますね、こんなに予測一致しますかね。関係者とかが書いてるにしても一年先のことまで決まってるもんなんでしょうかね?」


自分が返事に詰まると、会議室は静まりかえりエアコンの室外機の音が低く響く。


そうそうに会議を切り上げたいと思っている人間が多いのでそのタイミングで部長がお決まりの一言で会議を閉める。


「とりあえず、ブロックは解除して若い芽潰さないように。話題になってくれればとりあえずそれで良し!解散!」


結局なにも解決しないどころか、もやもやした新たな謎が生まれるなんとも質の悪い会議だった。


一旦冷静になるために喫煙所に移動しタバコに火をつけ、缶コーヒーを開けスマホを取り出す。

自分らの世代の新三種の神器だ。


そして、その悪趣味な小説の閲覧を許可しながらふと思う。


このまま小説通りに事が運ぶと秋田憂は死んでしまうのか?


自分で笑ってしまった。どうやら自分で思っていた以上に自分には想像力があるようだ。

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