表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真珠星  作者: 夢乃マ男
39/50

千秋楽

秋田憂活動再会報告のブログをわちゃわちゃしてる舞台後の楽屋で知り楽屋はお祭り騒ぎになる。


さっきまで注目の的だったおれそっちのけで、みんなはしゃぐ。


憧れの先輩から

憧れのアイドルから名指しされて喜ばずにはいられないだろう。


おれだってそうだ。是非名指しで次回の舞台の主演を依頼したい!

監督やっててよかった!と、自身が作り上げた舞台を目の当たりにして感慨深い気持ちだったのだが、好きなアイドルが観に来てくれた!ってミーハーな気持ちで、監督やっててよかった!の気持ちは一瞬で更新された。


熱気冷めやらぬ楽屋。

その熱はそこのみで完結することがなかった。

その日から連日より一層熱い日々が続いた。


一流も開き直ったらしく、アルコールの力に頼らずに道化を演じ続ける。日々新しい笑いを求めてアドリブを用意してくる。

おれらスタッフや共演者も演技を忘れ笑わせれてしまう。もちろんお客様も。


そして、アイドル二人もどんどん洗練されていく。


2.3位の繰り返しが嘘だったかのように1位を独占し続ける日々の中、千秋楽を迎える。


「監督、みんなで円陣組みましょう!」


セイカのその一言でスタッフも交え関わった人間全員で円陣を組み、気合いを入れ直す千秋楽。


「泣いても笑っても今日が最後だ!!全部出し尽くせ!!」


おれの掛け声と共に声があがり、円陣がばらける。

なんて熱い舞台なんだ。皆で皆を引き上げあってる。



大好きなシーンから幕があがり、冬が来て春が訪れ夏が主張し始める。

そして秋のように徐々に冬を予感させながら緊張していく客席。


いつもと違う冬が来た。

二葉を殺す為にナイフを持って登場するはずのセイカが裁ち切りバサミを持って現れる。

衣装さんのものだろう。


そして台本通り二葉を殺す。が、セイカはとんでもないアドリブを始める。


「あなたが憎かった!私に持っていない全てを持っているあなたが!あなたは自分を殺したことはある?私はある!毎日殺してる!自分を!」


そう言い放つと長く自慢であろう綺麗な髪を切り始める。

それだけの色艶を保つのにどれだけの時間と手間を使ったのか。

ザクザクと大胆に二葉と同じくらいに髪を切る。


「僕は私を殺した!!私は僕だ!」


一度しかできない演出。なにしろ長い地毛をリアルに切るのだから。

人前で髪を切って話題になったのは力士を除けばこの子が初めてなんじゃないか?


そね大胆なアドリブはストーリーそのものに考察の余地を残す大胆不適でいて、他では見れない思い切った演出で、堂々の一位を勝ち取るどころかネットニュースだけでなく、テレビSNSいたるところで話題になった。


もちろん不安だらけのスタートだった舞台だが蓋を開けて見れば、最多トップ賞、総合ポイント賞を取り、大成功で幕をおろした。


この日の事は忘れない!と思っていたが、打ち上げ後、二次会で春と飲みすぎ打ち上げからの記憶がない。


しかし、その様子を撮ったどの写真を見ても三好春は良い顔をしている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ