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真珠星  作者: 夢乃マ男
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仕事とオタク

「それじゃあ、アイドル2人はお前に任せるわ!お前のがオタクと仕事の線引きしっかりできそうだから。手出すなよ」


冗談混じりの警告はおれにきっちりとした線引きしてくれるラインカーになった。


たまにオタクが顔を出しそうになるが結界のように石灰石が風に舞いその忠告を思い出す。


日々順調に育っていく。若さは素晴らしい!で片付けてしまうのは申し訳ないくらい彼女達は努力してくれているのだろう。

三好春、いや舞台を観に来てくれるお客様の為に。

違う。自分自身の為に。

昔春に言われた。

「お客様の為にやるとかやめようぜ。誰かの為になんて思いなんかより自分の為にって気持ちのが絶対確かなものだから!人の為に書いて偽とか言うじゃん、ありきたりな皮肉。だけどさ、おれらがお客様の為にってのは要するに、自分らが作ったモノで楽しんでるのを見てる自分の喜びの為にってことだろ!?」


何回目かの稽古で彼女達にコピペかと思うくらいにそれを伝えると、笑いながら泣いて更に熱量をあげてどんどん変わって生く。

成長を見守り喜ぶ。

なんて自己満足なのだろう。

誰かが言っていた。


アイドルは成長していく姿を楽しむコンテンツ。


改めてその言葉を感じた。特等席で。

オタクと仕事の線引きできているのか?と問われたらおれは胸を張って嘘をつくだろう。


その一方で気になるのは、あの二流いや、三流役者だ。

日に日に良くなるどころか悪くなっていく一方。

暗くなっていく表情。


彼の事は春に任せていたので安心して彼女達に集中できていたが、そんな集中力を乱す程、彼はこの場で浮く存在になっていた。


春に聞いても、大丈夫。

顔を合わす度に春に聞いても、大丈夫。

メールを送っても、大丈夫。


なので彼の事は春に任せてある。と言うか手を出せない。アイドル2人と役者1人の中で。

更地の2人と地盤を固め始めていた1人。

初舞台の2人とキャリアがある1人。

他にもなんかしらの形でかってにプレッシャーを感じているのかもしれない。


あの三流役者も、おれみたいに春の台本に頭を悩ませてる最中なのだから、おれは関与せずに目の前の彼女達に集中する。

春のことだから、きっと何かを考えているのだろうと。


つまづいたり、転んだりしながらも彼女達はどんどん輝きを増していく。

さすが、流星風流の新メンバーオーディションを勝ち抜いた子達だ。

オーディション審査に携わった人たちの人を観る目が欲しい。どうやったらそんなモノを身につけられるのだろうか。


そして舞台初日。

大成功とは言えないまでも、良い舞台だった!と言える舞台だった。



三流の彼以外は。


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