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真珠星  作者: 夢乃マ男
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僕と親友

突然の卒業発表。

なんだかもやもやした気持ちのまま僕の1日は始まっていく。

気持ちや考えとは関係なく肉体が覚えている行動的記憶のせいなのか、気づいたらしっかり学生服に身を包み、校則違反ギリギリの誕生日におねだりして買ってもらった派手な腕時計に目をやると、なんだかんだいつもの時間に校門をくぐり抜けてる事に気付き、僕も日本人だなって思った。


僕もこのまま校長室に行き


すいません、卒業したいです!!


って、宣言して卒業できたらいいのにな。


駐輪場の横を抜けるとこまで歩みを進めると、そろそろあいつが僕の顔色を見てお決まりのセリフをかけてくるのでいつものやりとりの準備をする。


「お!今日も機嫌良さそうだな!」

「今の俺が機嫌良く見えるならお前は常に不機嫌なんだろうな!」


こいつは決まって僕が不機嫌だったり物難しげな顔をしていると、逆撫でするように


「お!今日も機嫌良さそうだな!」


って言ってくるので、どこまで考えを読まれてるのか怖くなる事があるが、今日はさすがに誰が見ても表情が暗いであろう自覚があったから準備できていた。

屈託の無いと言えば聞こえは良いが何考えてるかわからないくらいにいつもにこやかに話してくるこいつは僕の親友だ。


「今日から始まったイベントログインボーナス景気いいなぁ!」


あぁ、登校中にもはややってもいないアプリだけど、ログインすることでもらえるプレゼントだけを目当てにログインしては閉じる。自分でもなんでこんな事してるのかわからない惰性なルーティンを忘れてた。

やっぱり今日は小さく何かが僕の当たり前を壊している。


廊下に貼り付けられてる

「挨拶は誰とでも元気よく」

できなかった日に限り目に付くこのポスターとも格言とも言えないこの文字が今日はやたらと逆鱗に触れたのでガラにも無く親友に


「おはよー!やべぇ今日バタバタしてまだアプリ開いてないわ!やべぇ、休み時間忙しくなるわー!」


不自然に明るく振る舞うと


「じゃあ、校長室行って卒業宣言して来ようぜ!!そしたら時間できるし飛び級でカッコいいじゃん」


こいつは心理カウンセラーかメンタリスト系の何かの才能があるのだろう。

家族以上に僕を見透している。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 読みやすい文体で、すらすら読めました。これは中々出来ないことです。 シンプルなのに情景が浮かぶ辺り、理想の書き方だと思いました。 [一言] 頑張ってください!
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