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真珠星  作者: 夢乃マ男
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監督 三好春

監督 三好春


まず名前すらあまり知られていないだろう。さらに監督と言いながらも、珍しい2人組で監督業をやっている。


おれと大学の映画サークルで一緒だった春と。

三好春と言う名前は売れない漫才師みたいな2人の名前を合わせただけのそのままのものだ。


大学サークルで競いあったおれらが、


監督が2人いたら、俯瞰的な見方をお互いの拘りに持てる様になって偏りすぎないより伝わり易いものができるんじゃないか?


と、呑みの席で結成したのが三好春の始まりだ。


あいつから言わせたら行き当たりばったりのおれに対し、おれから言わせたら心配性で打算的すぎるあいつ。


地道にやってきたおかげで大学卒業後もなんとか趣味を続けられている。仕事とはまだ言い難いのが現状だが大きな話が振られてきた。


芸歴の短い若手のみで行われる舞台を3つ同じ観客に見せ、その場でどの作品が面白かったかを投票させるものらしい。

しかも一日二公演1ヶ月間毎回ランキングをつけられる。


その中の1つの作品のオファーが掛かった。

優劣をその場でつけられるのはあまりにも心に響きそうだが、得られるものと月間で一位の回数が多ければ、続編すら約束されている。


三好春は声を揃え、やらせていただきます!

と発したのだった。ここまでくると双子タレントのようだ。


しかし、おれらはよく衝突をする。

当たり前だ。指揮棒が2つあるオーケストラのようなものなのだから。


今回の舞台において最初に衝突したのは、キャストオーディションの日。


「そこのショートカットのお前、お前が主演だ。この舞台と心中しろ。」


勝手に主演に決めたからだ。

演技力なんかほとんどないルーキーばかりのオーディション。姿を見た時のインスピレーションが大事だ。

演技力なんか求めてない。

話題性だ。今朝からこいつはニュースを賑わしている。

そして、おれが大好きな流星風流の新メンバー。

成功すれば流星風流の仕事に携われるようになるかもしれない。

そんなおれにつっかかってきたのだ、春は。


「そんな決め方しても失敗は目に見えてる。聞いたら、きのう事務所所属になったばかりの子じゃないか。そんなのこんなに若い子すぐ潰れるぞ!本当に若い才能を舞台の失敗で心中させるぞ!」


舞台だけでなく、役者の将来にまで目をやる余裕はおれにはなかった。

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