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74話 兄は心配してるのです

ダニエル視点

最近、目にいれても痛くないくらいに愛くるしい私の天使……妹の様子がおかしい。

加えてジェードの様子もなにやらおかしい。


二人に何かあったのだろうか、けれど聞いたところで簡単に話してはくれないだろう。

どうしたものか。


「……ダニエル様、顔色が優れないようですが何かありましたか?」


声を掛けられてハッとする。


いけない、今はジュリア嬢と一緒だった。


少しずつではあるが私は彼女と二人きりの時間を作ることにしていた、近々行われる剣技大会が終わればまた学園での生活に戻る。

そうすれば卒業するまで彼女とは会えなくなってしまう、その前に一緒に過ごしておきたいと考えたのだ。


「せっかくいらして下さったのに申し訳ありません、少し心配事がありまして」


「まぁ……王女殿下のことですか?」


「えぇ、よくお分かりになりましたね?」


そんなに分かりやすかっただろうかと苦笑を浮かべると、ジュリア嬢はコロコロと愛らしく笑う。


「ダニエル様は王女殿下が本当にお好きですものね」


「アリスは可愛い妹ですから。もちろん、愛しているのはジュリア嬢ですよ?」


そう告げて彼女の手を取りその甲に口付ける素振りを見せれば一瞬硬直した後、頬と耳を真っ赤に染めた。


「そういう、意味ではなくてっ…ですね…!私は兄弟がいないので…う、羨ましいなと…」


慌てふためくその様子にアリスに感じる愛しさとはまた別の愛しさを感じて、両手で彼女の手を包み込む。



まさかここまで、ジュリア嬢を愛しく思う日が来ようとは…



以前の私達なら考えられなかったかもしれない。

ジュリア嬢も私も、いい方向に変われたのだと思う。


「そ、それで…ダニエル様は王女殿下の…何を心配していらっしゃるのですか?」


私の手を意識しないようにしているのか視線を落として尋ねてくる。


「実は…アリスが何か思い悩んでいるように見えるのです、聡いあの子の事ですから取り繕ってはいますが心配で…」


部屋の隅に控えるジェードにちらりと視線を向けるも表情は変わらない。

反対にジュリア嬢は心配そうに眉を下げた。


「それは…確かに心配ですわね…。あの、私で良ければ王女殿下とお話してみましょうか?…殿方より同性の方が話しやすいこともあると思いますから」


「是非お願いします、もし何か分かったら教えていただけますか?」


「もちろんですわ!それに…」


ジュリア嬢は赤みが引きつつある顔に嬉しそうな微笑みを浮かべて、彼女の手を包んだままの私を見つめた。


「私、王女殿下に『お姉様』と呼んでいただきましたの。ですから…もし王女殿下がお悩みなら力になりたいのです」


まるで本当の妹を溺愛する姉のように綻んだその表情に、一瞬呼吸を忘れてしまいそうになる。

そのくらい私は彼女に見惚れてしまった。






「妹と恋人が愛らしくて生きるのが辛い」


ジュリア嬢が帰った直後、私は両手で顔を覆い天を仰いだ。

しかしジェードはピクリとも反応を示さない。

今までこう言った発言をすればすぐに呆れた視線が飛んできたがそれすらもない。


「殿下、そろそろ公務のお時間です」


それどころかいつにも増して冷たい気がする。


「…………ジェード、私には言えないことか?」


アリスと何かあったのだろう?


含みを込めて問い掛けるがジェードが表情に出すことはしない。


「言葉の意味が分かりかねます」


あくまでもしらを切るつもりのようだ。

アリスとジェードに一体何があったのか、大事な妹と友人の関係に不安を抱きながら私は小さくため息をつくのだった。






◇◇◇◇


ジュリア嬢にアリスの事を話した数日後、私は彼女からアリスに何があったのか聞かされた。


「王女殿下はどうやら想い人に想いを受け入れて貰えなかったらしいのです」

驚く私にジュリア嬢はこう付け加えた。


「しかし諦めることができなくて、その方に少しでも近づけるように努力なさっているとも仰っておられました」と。


成る程、それで二人の態度がおかしかったわけか。


アリスはそれでもジェードを求めるのか……兄としてはかなり複雑だが、応援してもいいと思える。




けれど、その前に。

可愛い妹を傷付けたあいつを血祭りにあげよう。







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