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65話 侍女の域を越えてるようです


「そこまでですわ!」


突如として響き渡る声に、今にも剣を振り下ろしてルパートの首を切り落とそうとしていたジェード様はピタリと動きを止めた。

声の方に目を向ければそこには傷を負ったわんこを従えているメアリーの姿。


「刑を処すのは国王陛下のお役目です」


そう言ってメアリーは倒れたままのルパートの頭を足蹴にして、ふふふと可憐に笑って見せる。


わあ…怖い程に素敵な笑顔。


「まぁ…五体満足で陛下の審判を受けることが出来れば、の話ですけれど。私の可愛い可愛い…愛してやまない姫様に狼藉を働いた罰は受けてもらいませんと。ねぇ、ルパートさん?」

「う、ぐ…」


呻くルパートの頭を踏みながら楽しそうに笑うメアリー。



どうやらかなり怒っていらっしゃる様です……いつものメアリーじゃない……。



ドン引きしながらその様子を見ていた私とジェード様に気がついたのかメアリーは居住まいを正して、ふんわりと柔らかく微笑んだ。


「姫様、すぐにダニエル殿下が御到着されますゆえもう暫くお待ちくださいね」


「ハ、ハイ……」


頬がひきつるの感じながら返事をする私にいつの間にか傍にきていたわんこは満足そうに鼻を鳴らすのだった。






◇◇


迎えに来た兄と合流し無事に城へ戻ることができた私は直ぐにお風呂に案内され、走り回った時についた泥を洗われピカピカにされた。

今は綺麗な服に着替え落ち着く作用があるという薬湯を飲みながら、自分が誘拐された後城で何があったのかメアリーから説明を受けていた。


「姫様に渡した匂玉の香りをこの子が嗅ぎ付けてお部屋に踏み込もうとした時、ガラスの割れる音がして慌てて飛び込んでみると姫様のお姿はなく……フィオナ様だけが倒れている状態でした」


そう言ってメアリーは足元にお座りしているわんこを一撫でした。

この子はメアリーが拾い躾し、鍛え上げた警察犬といっても過言ではない能力を持つわんこだったらしい。

名前はセバスチャンらしく、私の手についた匂いを辿って見つけ出してくれたとか。

ありがとうとお礼を言ってみたところぴんと背筋を伸ばして「わふ!」と返事をしてくれた。このセバスチャンも凄いが、それを鍛え上げたメアリーも凄い。

私の侍女をやっているのが不思議なくらいだ。


「騎士団の調べにより…フィオナ様が賊であるルパートにより操られ手引きして姫様を誘拐したということがわかりました。フィオナ様だけでなくご家族やロレンツィ公爵家に勤める使用人全てがルパートに操られていたようですわ……件の植物も庭園にて栽培されていたようです。こちらは第二騎士団の手によって既に処分されております」

この短時間で全て調べたのか、さすがメアリー。忍者とかスパイの称号を与えたい。



メアリーだけじゃない、第二騎士団の皆さんも仕事早いですね…さすがウィル叔父様。

やる時はやる男。



「フィオナ様は?」



「先ほど目を覚まされました。今は監視をつけ客室で大人しくしていただいております」


いくら操られていたとはいえ、王族誘拐の片棒を担いだのだ。無罪ではすまないだろう。

ロレンツィ公爵家も潰されてしまうかもしれない、そこは父にお願いして情状酌量の余地を与えてもらわねばならない。

万が一死刑など下されようものなら…私はきっと後悔する。

けれど仮に私が許したとしても、王族に危害を加えたものを国王たる父は許しておけないだろう。ならばせめてその処罰が軽くなるように。


「メアリー、お父様にお話があると伝えて」


私の言葉にメアリーは数回目を瞬かせた後、畏まりましたと頭を下げた。

メアリーが出ていってすぐにドアの外が騒がしくなる。


ルパートも捕まった今、私の回りの警備は通常に戻っていて部屋のドアの前にはエリックが居るはすだ。

そっとドアの隙間から顔を覗かせ傍に待機していたエリックに声をかける。

「エリック、何かあったの?」


「いえ、何も。何もありませんからどうぞお戻りをアリス様はお疲れでしょう」

「え……でも…」


廊下から聞こえてくる声を突き止めようと部屋から出ようとすればエリックに遮られる。

見せたくないものでもあるのだろうかと首をかしげていると、暢気な声が響いてきた。



「王女殿下ー!お見舞い持ってきましたよ!早く元気になってくださいね!」

「エルバート様っ、姫様はまだお疲れなのです、そのような大声はお控えくださいませ」

「わ、ごめんマリー!すみませんでした、王女殿下ー!」

「お前静かにしろって言ってるだろバカバート」

「………はぁ」



エリックの肩越しに見えたのはブンブンと千切れそうな位手を振るエルバートとそれを嗜めるマリー、そしてその後ろから呆れ顔でついてくるアシュトンと頭を抱えたルシオの姿だった。


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