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32話 ヒロインと騎士が気になるようです

悪目立ちすると悪い人たちに狙われる可能性があるとのことで、質素なワンピースに着替えた私はマリーにヘアアレンジをしてもらっていた。

本日は髪を結いあげて、結った部分に兄から貰ったリボンを結んである。

そして袖に隠れる手首には以前ジェード様に結んで貰った細いリボン。

返すべきかとも思ったが何となく愛着が沸いてしまい、中々返せないままずっと私の手元にある。

今度こそ返さなければと思っていると部屋のドアがノックされた。返事をすると着替をすませた兄とジェード様、そしてその後ろに動きやすそうな私服を着たエリックがいた。


「アリス、準備は終わったかな?」

「はい、もう行けます…あの」

「あぁ、エリックは今回護衛でついてきてもらうことになった。今後は実践訓練という形で少しずつアリスの護衛につくことになるそうだ」

「そうなのですね……エリック、宜しくね」

そう言って微笑みかけるとエリックは緊張からかほんのり頬を染めて頭を下げた。

「よ、宜しくお願い致します。アリス様」

護衛にジェード様とエリックを引き連れ馬車に乗り込み私達は城下町へと向かう。



視察をする目的地は何ヵ所かあり、そこではどのくらいの集客が期待されるのかまた防犯はどうなっているのか、どのくらいの収益が見込まれるのか等を調査するのが今回の目的らしい。

久しぶりの街への外出に私は浮き足立っていた。

年始に向けて受かれているのは私だけでなく街の人たちも同じようで、早くも特別に屋台を出している店もいくつか見受けられる。屋台を気にしてそわそわしていたら兄に微笑まれた。

「視察が終わったら少しだけ露店を見てみようか」

「本当ですか!やった!」

思わず声をあげてしまいはっと回りを見れば兄は勿論、ジェード様やエリックまで私に微笑ましい視線を向けていた。子供っぽい言動につい恥ずかしくなって俯くと皆に笑われてしまった。



羞恥心と戦っているうちに最初の目的地へと到着する。

そこは街を警備する自警団の屯所だ。そこのトップと思われる中年の男性に出迎えられる、警備体制について兄と話があるとの事で同席してもつまらないだろうと言われた私はエリックと大人しく馬車で兄を待つことになった。

エリックと他愛ない会話をしながら馬車の小窓から街の様子を見ていると、そこに見覚えのある女性が通り掛かる。

私は馬車のドアを開けて身を乗り出すとその女性に声をかけた。


「フィオナ様!」


その女性――フィオナ様は私の姿を見つけるとぱっと顔を輝かせて馬車に駆け寄ってくる。

エリックに手を借りて馬車を降りた私は笑顔でフィオナを迎えた。

以前は打算的に『兄の婚約者にする!』といった欲があったけれど今回は素直に会えたことが嬉しい。


「お久しぶりです、フィオナ様!お元気そうで何よりですわ」

そう言って微笑みかけるとフィオナも嬉しそうに笑顔を返してくれる。

「お久しぶりです。アリス様もお元気そうで……本日はお出掛けですか?」

フィオナは馬車を見て首をかしげる。

「えぇ、お兄様の視察の付き添いです。今、警備について大事なお話をされているのでそのお帰りを待っているのです」

私がそう告げるとフィオナは私の後ろに控えていたエリックを見つけぺこりと頭を下げて微笑む。エリックは表情を変えないまま頭を下げた。


ヒロインの無敵な笑顔も攻略対象外のエリックには通じないらしい、私は『さすがヒロイン、笑顔が可愛い!』等とほだされてしまいそうになるけれど。

「フィオナ様はお出掛けですか?」

見たところ身内の方や従者を連れている様子はない。仮にも公爵家のご令嬢である彼女が一人で出歩くなんて何かあったのだろうかと首をかしげるとフィオナは少しばつが悪そうに視線を落とした。


「実は……兄と買い物していたのですが……気になるものを見ていたらいつの間にかはぐれてしまって…」


要するに迷子か。

さすがヒロイン、好奇心は人並み以上らしい。


「でしたらお兄様に相談して―」

「フィオナ?何故ここに?」

噂をすればなんとやら。兄がジェード様を伴い戻ってきた。


呼んだ瞬間現れるとか、お兄様実はスタンバってました?


フィオナは淑女の礼をすると身内とはぐれてしまった事を説明する、それを聞いた兄の行動は早かった。

どの辺ではぐれたのか聞き出し大体の目星を付けるとエリックをその場所に向かわせる。

自警団の屯所前ということもあり彼女がここにいる分には安全だと判断したのだろう、私達と一緒にエリックを待つことになった。

はぐれた場所もここからそう遠くないらしく、すぐに見つかりそうだ。


「お手を煩わせてしまって申し訳ありません」

エリックを見送った私達にフィオナは深々と頭を下げる。

「気にしなくて良い、友人が困っているんだ。手を貸すのは当然だろう」

そう言って微笑む兄はいつもよりイケメンが五割増しだ。なぜがいつもよりキラキラを振りまいている。


あらら…?

これはひょっとすると、ひょっとしちゃう感じ?


私は口許がニヤつきそうになるのを堪えながら兄を眺め、フィオナに視線を移しふと違和感を感じた。

フィオナは兄と会話をしているのに時々ちらりと視線を動かしては照れたように頬をほんのり染めたりしている。

不審に思った私はフィオナが時々向ける視線の先を追い掛けて、目眩を覚えた。



恋する乙女のようにフィオナが視線を向けては頬を染めている相手――それはあろうことか私の想い人、ジェード様だった。


やっとタイトル回収ですよー(о´∀`о)



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