フェスレディオ
ラジオが好きなのだ!
ラジオ……
あぁ…ラジオ……。
……どうしてあなたはラジオなの?
壊れかけていなくても…ラジオは良い……。
孤独な車内を切り裂く陽気なパーソナリティの声と…
流行りの曲はもちろん……、痒いところに手が届いたミュージックチョイス…。
生活音みたくダラダラ流しておき、聞きたいときにだけ耳をすませば良い気軽さも素敵!!
かくいう玉虫ですが…元々はラジオ何て全然好きじゃなかった…!
ラジオに出会ったのは、入社してすぐ…
上司に、営業車を紹介された直後だった。
窮屈な営業車には、CDはおろか…カセットの挿入口すらなく…
……音楽と共に生き、音楽と共に暮らす、我ら音の民にとってこれは死活問題であった!
『…俺の営業ライフは終わりだ……』
……入社して2日。
早くも辞表の書き方を検索しようと携帯を手にしたその時、光の矢が営業車に突き刺さっていることに気づいた!!
それはっ‼………………アンテナッ!!!!!
『はわわわ………こいつぁー…てぇーへんだ……』
俺は…恐る恐る…車の扉を開けて……車のキーを回す。
デザイン性がカブトムシの腹回りにも劣る車の内装には…
乳首のような突起が1つ……
『…………ゴクリ』
……………押した……
刹那……車内に響くロックンロール!
『春らしい素敵な曲でしたねー!!』
曲が終われば入るよMC!
…棺桶かと思われたポンコツの営業車が、ボタン1つでライブ会場となったのだ!!
音楽を得た音の民たまむしは、陽気なラジオと街に繰り出した‼
するとどうだろう…
すれ違う車という車が…
ライブ仲間!(何となく皆が同じラジオを聞いているような気がしたんだ…)
オイラは一人なんかじゃない!
……むしろっ!…これ…
夏フェスじゃねーか!?
すれ違うみんな…!
フェス仲間じゃねーか!?
……これがラジオとの出会い。
そして孤独な俺ら営業を支える…ライフラインなのさ。