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魔王ト俺ガ、要らない世界  作者: 津軽 毅然
3/5

「「全く、ここからどうしたもんか……」」

0.3 転生?違う。

意識を手放してどれほどの時間が経っただろう。

僕は今現在、おかしな空間を漂っている。

ここがどこなのか、今がいつなのか、そして何より死んだはずの僕にまだ意識が不思議でならない。

目が覚めてからというものの、そのことばかりに思考を巡らせ続けて続けている。

いい加減に頭が痛くなってくる。

一つずつ整理していこう。まずは、現状をまとめるところから始めよう。

一つ目は、意識があること、身体があること、三つの感覚(視覚・聴覚・触感)がある。

二つ目は、何をしているか⇒見回した限りじゃカラフルで何一つ定まったものが見えない変な空間を漂い続けている。どんなに体に力を入れても漂っている。

取り敢えずこんなとこだが、何一つまとまっていない。

「ほんとに......、なんだここ」

思わず溜息とともに本音が出るがどうしようも……

ん?なんだ?

今何かが見えた。

けどこんな変な場所に何があるっていうんだ?

物一つ、物理法則の一つも存在しない空間に物が存在しうるのだろうか。

でもそれは手のひら返せば、何があってもおかしくないことにもなる。

どちらにせよ、今見えたものが何なのかとても気になる。

と、とにもかくにも近くで確認しなくては埒が明かない。

決心して進路をそちら側に移して前進?していく。

そこにはダイヤ型の透明な、クリスタル?に入った、人に酷似した翼の生えた異形の生命体が入っていた。

超空間、異次元空間、次元の狭間、etc.と言ったように俺たち生命が知らないだけでこういった謎空間は無数に存在する。俺が知る限りはこの三つが代表的だが、どれがどれかまではわからない。ただ分かっていることと言えばこの空間は未だ「支配者」がいないことだ。

超空間の無限・メビュースドラゴン。異次元の統合者・ラファリオン=エース。狭間の探求心・ラバリアス=ガロン。という感じに本来ならばこの異空間にはそれぞれ支配者が君臨し、各々の空間に迷い込んだものを排除したり、外界へと導いたりするものなのだがここにはそれがない。

要するにここはあの魔術師どもの背後の誰かが作り出したとみて間違いはなさそうだが、問題はどうやって封印を解くか、だ。空間を破ること自体は作れるものが破壊できないはずがないように破ることができる。

だが封印結界を解かないことには……なんだ?

何かがこちらに………人間?

なぜ人間がこんなところに?いや、それ以前にどうやって奴はここにきた?

そんな疑問ばかり考えているうちに人間はとうとう俺の封印結界の近くまで来ていた。

             ※

一体誰なのか?シルエットこそ人間に似ているが、明らかに違う点がいくつも見受けられる。

この生物がまず生物なのかも分からない。

だが、唯一理解できることがある。

こいつがクリスタルに閉じ込められているということだ。そしてこいつはクリスタルから出ようとしていることだ。

先程から微動だにしないが、何となく伝わってくる。

「……を、……れ」

どこからともなく声がする。誰だろう。

「……やく……しろ」

辺りには、もちろん誰もいない。と、いうことは……。

「とっとと…しろ!」

やっぱり。こいつだ。この異形生物がしゃべってるんだ。

「何をしろって?」

「思いっきりこの結界を殴れ!」

そう怒鳴りなさんな。てかこいつ何言ってんだ?

「何言ってんだって顔してんじゃねえ、はよしろ」

「んあぁ、わかったよ」

正直メンドイがやってやるか。と、固く握った拳を思い切り振り下ろす。

するとクリスタルは簡単に砕け散る。

そして中から烏の様な翼、禍々しく刺々しい翼?を大きく広げた者が現れた。

やっとこさこの人型異形生命体の正体ががわかる。ついでにここがどこでどうやったら出られるかも知ってれば最高なのだが、そう都合のいいもんじゃないのが現実だしなぁ。まあ、少なからずの希望ということでいいか。

「大丈夫か。なんか閉じ込められとったけど」

取り敢えず話しかけてみる。

「ああ、おかげさんでな。」

おお、普通に話せるとは都合がいい。んじゃま、アレ聞いてみっかな。

「そういえばここは一体何なんですかね」

「ん、ああ。ここか。ここは多分、異次元空間だな。あくまで推測だが」

多分て……まあいいや。仮にそうならこの者は恐らく脱出方法を知っているんだろう。

「こっから出ることはできないってこと?」

辺りはもちろん色とりどりで見ているだけで気持ちが悪いくらいだが、こいつは冷静にかつ単純にこう返してきた。

「出来ないこともないが今の俺じゃ魔力が足りん。よって、不可能」

そんな殺生な。やっぱそううまくはいかないか。

「そろそろ俺の方から質問していいか?一応礼を言うがお前は誰だ、そしてどうしてこんな所にいる?」

おっと、まさかの返し。

「僕は、千樹光毅せんじゅ みつき。なぜここにいるのかは分からない、意識を失ったと思ったらここにいたんだ」

「そうか、手短な説明。ありがとさん。んでここから出るって話だったな」

「ああ、でも魔力が足りないんだったような………」

「うん。足りないよ。あの結界に吸収されて全然全く足りてないね……でも……」

ん、なんだ?もったいぶらずに言えよ。別に命なんてもう持ってない訳だし。

「他に方法でもあるのか?」

「無いとは言えないが、良策でないのも確かだな」

「愚策でもなんでもいいから言ってみぃ」

「まあ、いいか。んじゃ教えてやる」

ゴクリ。


「俺と一つになることだ」


は?こいつ今なんつった?

「ごめん、こっちの聞き間違いかな。一つになるとかなんとか……」

「間違ってねぇよ。ちゃんと聞こえてんじゃねぇか」

え、何?一つになるって。

「と言っても一時的な融合だ。こっから出たら解除すればいい。それだけだ…」

「でもなんでまた、融合?」

「さっき俺の封印結界をお前は拳一つで破っただろ?」

まあ確かに。こいつに言われ通りに思い切り殴ったら簡単に破壊できたな。てかあのクリスタルが封印結界って、こいつ一体何なんだ。結局自分は名乗らないままだし。

「それだよ。あんなことができるってことはそれなりには魔力があった証拠だ」

「僕の魔力を融合して消費することで脱出するってこと?」

「察しがよくてで助かるな。要約するとそういうことだな」

僕に魔力があるって話はなんだか怪しいが、おそらくこいつは嘘をついていないだろうと直感したが、思い返してみれば見るほど怪しい話だ。が、今はそんな贅沢を言える状況でもないのもまた事実。ここはこいつに従った方が得策なようだ。

「脱出後…本当に戻れるって保証はちゃんとあるんだろうな?」

「もちろんだ。てか寧ろ、分裂しないと互いに都合が悪いだろ?」

仰るとおりで。まあ、要は出られりゃお互いに用はないってことだけどね。

何でもいいけどこの気持ちの悪い空間から出られるのであればそれに越したことはない。寧ろ万々歳だ。

「そんじゃ、やってくれ」

「そこは『お願いします』だろ。全く………ほいじゃ……お前の魔力、頂くぜ!」

と、叫び左拳を頭上に掲げる。すると、奴の体がドスの効いたオーラを放つ。

さすがに二人息を合わせて人差し指を合わせたりはしない方なんですね。

「おい、同じようにお前もやるんだよ」

このフュージョンはあれだ二人の戦士の力で戦うヤツだ。あれは割と好きだったな。振りがない感じ、「光の力」感半端ないんですがそれは。

あんな感じでいいならできるな。

「お、おう。………切り札一発、頼んだぜ!」

同様に左拳を頭上に掲げる。さすがにないと思っていたオーラが僕の体からも放たれる。僕は…黒か。

すると、左掲げたままの僕たちがどんどんと引き寄せられていく。

その後のことは………よく覚えていない。

プロローグ終わりだよ。

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