表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

蛇足

 

 主をすっぽりとその腕に囲ってふてくされている年若い悪魔をみやり、魔女は密かに笑った。

 同じリトグラフに住み着いているとはいえ、一番年下の弟分の悪魔はまだまだ甘い。見せ付けるように主の作ったカボチャのケーキをほおばる。

 同胞達もそれぞれ菓子を食べるさまはどう好意的に見たってお預けを食らっている悪魔に見せ付けてからかっているとしか思えない。


「お菓子か私か?」


 奴にとって究極の選択を突きつけられた悪魔はずいぶんと長い逡巡の末、主を選んだ。

 その選択に非常に満足そうに頷いた主は暗黙の了解であった約束を果たすと、我々に菓子を配り始めた。もちろん、悪魔には渡したりはしない。目の前で上手そうに菓子を貪る我々を悪魔は恨めしそうな顔で睨みつけていたが、それを意に介する輩はいない。

 しばらく未練たらしく菓子を眺めていた悪魔だったが、物悲しい溜息を一つつくと側にいた主をまるで所有権を示すかのように腕に抱え込んで今に至る。


 主はニコニコと悪魔の腕の中で菓子を食べているが決して悪魔に渡そうとはしない。

 主を選んだからこその結末だが、もし菓子を選んでいたら、奴はきっと今頃、ケーキを前に一人、途方にくれていたのだろうと想像するとそれはそれで面白かったかもしれないと嬉しくなってしまう。私は所詮、ハロウィンの夜に住まう魔女。けして善良な性質ではないのだと今更に自覚を新たにする。

 けれど、にまにまと悪魔に見せ付けるようにケーキを食べながらも、こっそりと一切れ、後で渡してやろうと取り置いてしまう私はこの可愛い弟分に甘いのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ