最終話
ある日。
その日の天気は、総理大臣も思わず「蒸し暑くてたまらんべぇ」と田舎の畑を耕す若者みたいな愚痴をとなりを歩く犬に言うことだろう。
そんな些細な会話も無視をするとして、ビル――いや、町工場の一室で私と一人の少年が居心地悪そうにも見えない。
よくわからない雰囲気の中で、なにか意味不明な会釈を繰り返す。
「ちょっとまて――――っ!!!」
「どうしたの。主人公?」
「区切り方で勘違いされるからやめろ! じゃなくて」
「わかった! ウ○コしたいんだな、そう我慢するもんじゃない。ほら、早くいってきなさい」
「あ、そうですか? なら遠慮なく……じゃなくて! 冒頭の説明はなんだよ! なんで総理大臣が……ああ……ツッコミどころが多すぎてわけがわからなくなった」
「総理大臣がなんで犬とア○○ピ――――(自主規制)。をしたこと?」
「なんかすげぇこと言ってる……僕なんでこの人が生まれ親なんだろう。つくづく思うよ……」
ヨルがため息一つ。
「では早く終わらせて〝ヨル〟の奢りでウナギでも食べましょう」
「普通そこは友城さんなのでは?」
「だって暑いでしょ? 暑い時は、やっぱりウナギの蒲焼きにかぎりますなー」
「あ、あの……」
「私この前、めっちゃうまい蒲焼きを出してくれるところを見つけたんですよ。いきましょうよ」
「は、はい……」
ヨルは唐突に財布を取りだして「お金あったかな……」と呟く。
ここは大人である私が……と思う節はあるけど、私は万年金欠の貧乏さんなのである。すまない少年! 宝くじが当たったら返します。
「九個目。また連載してほしいですか? です」
「それは、友城さん次第なのでは?」
「まあそうですよね」
「本当に『一番近くにある日常』は、終わったんですか? じつはいうと僕はあまり納得してないんですけど」
「う、うー……」
「うー。言ってないで答えてください」
「話のストックとか、ラストとかある程度は考えてはいたんですけどね……まあ、なんというか、『ほかの話を書きたくなった』というのが本音です」
「そ、そうですか……」
「はい……」
「ちなみにラストはどんななんですか?」
「それは言えません」
「え? なんで? だってもう書かないんでしょ?」
「それはそうですけど……」
「じゃあ、全何話まで考えてたんですか?」
「…………百十五話」
「長っ!? そこまで書ける自信あったの!?」
「つい……」
「ついって……」
「ははは」
「で、もう今後書くことはないってことでいいんですか?」
「まあ、今のところは」
「もう最後にいきましょう」
「はい。最後はシンプルに読者に一言あれば」
「そうですね。僕を含むみんなを見てくれてありがとうございます。作者もこんな感じですが今後の活動を優しい目で見ていてください。また会えたら、その時もよろしくお願いします」
「はい。ありがとうございます」
「いいえ、こちらこそ。なんだかんだいって楽しい時間でした」
私とヨルは立ち上がり、最後に握手を交わした。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございました。
友城にい