四話
「キミの……名前はなんだい?」
「…………」
「どうしました?」
「いや、出落ちすぎる気がしましたから」
「それもそうですね。では」
「普通にお願いします」
私が「どっこらせっk」と言いかけると、
「なにを言うつもりだ?」
「ん? お約束ですが?」
「どこがだ! ただの……もうなんでもありません……」
ヨルは黙った。
「七個目いきます。苦手な、或いは嫌いな食べ……人の性格は?」
「なんで言い換えた!?」
「食べ物だと盛り上がりませんし、魔戦士」
「魔戦士ってなんだよ、普通に食べ物を答えさせて!」
「だが断る」
「こっちもだよ!」
「ではお答えください」
「……スルーですか」
「ないとかなしですよ」
「わかってるよ」
「がらがら」
「なんの効果音!? そこは『ドキドキ』とかじゃない?」
「男相手に興奮しねぇからこっちは!」
「なに怒ってるんだよ、僕が怒りたいくらいだよ!」
「はいはい、わかったわかった」
私がお母さんのように面倒臭そうにするとヨルは諦めた。
「苦手な性格、か……人それぞれとは思うけど、暴力を振るう、罪を犯す、自分勝手な、とか」
「ちなみに私はですね」
「なんで友城さんが答えるんですか」
「ダメ?」
「ダメではないですけど良くはない」
「そうだね」
「けどやっぱり、他人に迷惑……違うか、自分の欲に周りを巻きこむ人、ですかね」
「それはなんでですか?」
私にはよく理解はできていなかった。
「人を殺めたりして自分には不必要だとか、こいつがいるから自分はうまくいかないとか、他人の魅力や才能を認めずに陥れようとする人。多々いると思う。自分には限界がある、練習しても練習してもその人には到底追いつけない。だから殺めたり、不評をバラまいたりしてその人をどん底に落として、自分が……けどほかにまた出てきて、と結局自分が認められる日が来るわけがないのに……だって自分は努力をしていないからね……」
「五行に渡っての説明乙」
「そうだな、まあ僕は人を嫌いにはなれないってことだ」
「そう書いておきます」
「よろしく」
「はい。八個目。さあ終わりが見えてきました。内容は『好きなパンツの色は?』です」
「……答えなきゃダメか?」
「なんで恥ずかしいんですか? 堂々と公表しちゃいなよYOU」
「えっと」
「なら好きな下着の色は? に変えましょうか?」
「一緒じゃねぇか!」
「ちなみに僕は白です」
「どうでもいいよ!」
「自分の性癖を晒しちゃいなよ」
「嫌だよ!」
「どうせ空想の人物だから失うものなんてないんだぜ(にぱー)」
「メタいこと言うなよ!」
「じゃあ無いってことでいいんですか?」
「それでお願いします……」
「そうなってくるとヨルさんは『なんでもいい男』のレッテルが貼られますけど、それでもいいんですか?」
「それ、どういうこと?」
「女性が勝負下着をつけたのにヨルさんが無反応すぎるからって、百年の恋も冷めますよ?」
「…………」
ヨルは目線をキョロキョロとさせて、
「じゃあ……水色で」
「はい、いただきました。これで明日の冬葉さんの下着はきっと水色のはずです」
「…………」
ヨルはツッコミもせずにコップに注ぎ始めたトマトジュースのようにだんだんと顔を真っ赤にさせた。
そして、俯かせた。
最終話につづく