死んだ魚を食べて壊れたロボット
シサタコロ♪
シサタコロ♪
シサタコロの本名は♪
死んだ魚を食べて壊れたロボット♪
死んだ魚を食べて壊れたロボット♪
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黒髪の、サラサラとした肩まで伸びている絹のような髪をたなびかせ、とある高校の制服を着た少女が軽快なリズムで言葉を紡ぐ。
そこに白い白衣を着た二十代後半の男が近づいてくる。
「耳に痛い歌を歌っているヤツがいると思ったらお前か」
「あら、悪い?」
少女は歌うのをやめて、白衣の男に向き直る。
「アナタのために部活の後輩が作ってくれたの。感謝してよね」
「俺のためと言うより、お前の妹のためだろ」
「まあ、そうとも言うよ。あの子、喜々として妹の入ってたロボットと妹を見比べて作ってたし」
つん、とした態度のまま少女は言う。
今は夏休みが終わる一週間前。彼女は白衣の男に呼び出されて、この男と出会った病院に来た。少女は玄関近くの外ベンチに座り、つぶやき程度で歌っていたのだが、声が届いていたらしい。
「で? 用件をどうぞ」
少女が言うと、白衣の男は手に持っていた紙袋を少女に差し出した。
「何これ?」
「この間の礼をしていなかったのを思い出してな。菓子だ。そんじょそこらの菓子とは違う、高級和菓子だ。この間のメンバーで分けて食べてくれ」
「そりゃどうも」
少女は紙袋を受け取りつつ、男が言ったこの間の出来事に思いを馳せた。